方針
1回で外れる確率をrとし,20回で少なくとも1回当たる確率を余事象で表す。1−r20=0.36からr10=4/5を得るので,N回で90%以上となる条件は(4/5)N/10≦1/10である。常用対数を取り,log10(5/4)=1−3log102を与えられた範囲で上下から評価して,最小の整数Nを決める。
解答
1回ボタンを押して「はずれ」が出る確率をrとする。各回の確率は同じなので,20回すべてはずれる確率はr20である。20回のうち1回以上「あたり」の出る確率が36%であるから,余事象を用いて 1−r20=0.36 である。よって r20=0.64=10064=(54)2 であり,0<r<1なので r10=54 を得る。 N回押したとき,1回以上「あたり」の出る確率が90%以上となる条件は 1−rN≧0.9 すなわち rN≦0.1 である。r10=4/5を使うと,これは (54)N/10≦101 と同値である。
常用対数を取ると,log10(4/5)<0であるから不等号の向きに注意して 10Nlog1054≦−1 となる。したがって N≧log10(5/4)10 である。
ここでlog1045=log105−log104=(1−log102)−2log102=1−3log102である。与えられた 0.3010<log102<0.3011 より 0.0967<log1045<0.0970 である。したがって 0.097010<log10(5/4)10<0.096710 であり,数値として 103<log10(5/4)10<104 が分かる。
よって条件を満たす最小の整数は 104 である。
別解
解法2
方針
一般の下限を小数近似してから切り上げる代わりに,境界候補の103回と104回を直接判定する。20回の情報からr10=4/5を得て,N回すべて外れる確率が1/10以下かどうかを,Nlog10(5/4)と10の大小で厳密に比較する。
解答
1回で外れる確率をrとする。20回で1回以上当たる確率が0.36なので1−r20=0.36,r20=0.64=(54)2.0<r<1よりr10=54である。
N回で1回以上当たる確率が90%以上である条件はrN≦1/10である。正数の常用対数を取り,r10=4/5を用いるとrN≦101⟺10Nlog1054≦−1⟺Nlog1045≧10.ここでlog1045=1−3log102であり,問題文の評価から0.0967<log1045<0.0970を得る。
そこで境界の2整数を直接調べる。103回では103log1045<103×0.0970=9.991<10であるから,条件を満たさない。一方,104回では104log1045>104×0.0967=10.0568>10であるから,条件を満たす。回数を増やせばrNは単調に減少するので,必要な最小回数は104回である。
総評
難度4,計算量3。目安時間は15分。余事象を使って「全部はずれ」を見るのが最短である。20回の条件からr20ではなくr10=4/5まで落とすと,90%条件の対数評価が扱いやすくなる。注意点は,log(4/5)が負なので不等号の向きが変わることと,最後に小数近似ではなく与えられたlog102の範囲から103と104の間にあることを示すことである。
冊子PDFで見る京大の確率の問題で問題集を作る
出典: 京都大学 2016年度 第2次学力試験 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。