Evolton

京都大学 2021年度 前期日程 第2次学力試験文系数学 第3問

nを2以上の整数とする.1からnまでの番号が付いたn個の箱があり,
それぞれの箱には赤玉と白玉が1個ずつ入っている.
このとき操作(*)をk=1,,n1に対して,kが小さい方から順に1回ずつ行う.

(*) 番号kの箱から玉を1個取り出し,番号k+1の箱に入れてよくかきまぜる.

一連の操作がすべて終了した後,番号nの箱から玉を1個取り出し,番号1の箱に入れる.
このとき番号1の箱に赤玉と白玉が1個ずつ入っている確率を求めよ.

難易度6/ 10計算量4/ 10目安22

確率 状態分類確率漸化式、独立性の利用

方針

箱全体の中身をすべて追うのではなく,次の箱へ移される玉の色だけを追う。最初に箱1から出た色が最後に箱1へ戻れば,箱1には赤白が1個ずつ入る。各中間箱にはもとの赤白1個ずつに加えて直前に移ってきた色の玉が入るため,次に出る色が同じである確率は 2/3,反対である確率は 1/3 である。この2状態の漸化式を,最後に箱 n から取り出す操作まで n1 回適用する。

解答

最初に箱1から箱2へ移された玉の色を基準の色と呼ぶ。箱1には,この基準の色と反対の色の玉が1個残る。したがって,最後に箱 n から箱1へ入れる玉の色が基準の色であれば,箱1には赤玉と白玉が1個ずつ入る。

いま,ある箱に直前から移されてきた玉の色を C とする。その箱には,もともと赤玉と白玉が1個ずつ入っており,さらに色 C の玉が1個加わっている。よって次に取り出される玉の色が C のままである確率は 23 であり,反対の色になる確率は 13 である。

基準の色と同じ色が移されている確率を pm とする。ここで m は,最初に箱1から箱2へ移した後,さらに色の受け渡しを m 回行った時点を表す。初めは p0=1 である。上の考察より pm+1=23pm+13(1pm)=13pm+13 である。

この漸化式を定数解 1/2 からの差で見ると pm+112=13(pm12) である。したがって pm=12+123m である。

最初に箱1から箱2へ移した後,箱2から箱3,,箱n1から箱n,さらに箱nから箱1へ移すまで,色の推移は全部で n1 回起こる。よって求める確率は 12+123n1 である。

別解

解法2(赤優勢・白優勢の連立漸化式を対角化する)

方針

箱1から最初に赤玉を移した場合と白玉を移した場合を分ける。途中の箱が赤2白1または赤1白2になる確率を連立漸化式で表し,和と差を取って解く。最後に箱1の残りの色と反対の玉が戻る確率を合計する。

解答

最初に箱1から赤玉を箱2へ移した場合を考える。この事象の確率は 1/2 である。操作直前の箱 k が赤2個・白1個である確率を rk,赤1個・白2個である確率を wk とする。この条件の下ではr2=1,w2=0であり,1個を次へ送るとrk+1=23rk+13wk,wk+1=13rk+23wkとなる。したがってrk+1+wk+1=rk+wk=1,rk+1wk+1=13(rkwk)であるからrn=12{1+(13)n2},wn=12{1(13)n2}を得る。

箱1には白玉が残っているので,最後に赤玉が戻ればよい。その条件付き確率は23rn+13wn=12+12(13)n1である。最初に白玉を移した場合も色を入れ替えれば同じ確率である。よって求める確率は12+123n1である。n=2 でも 2/3 となり,直接計算と一致する。

総評

難度6、計算量4。想定時間は22分程度。全ての箱の中身を追うと複雑に見えるが,実際に必要なのは「直前に移された玉の色が最初の色と同じかどうか」だけである。最後に箱1へ戻る玉が最初に箱1から出た色と同じなら成功,という読み替えが核心になる。推移回数が n1 回である点を誤ると指数がずれるので,n=2 の小さい場合で検算するとよい。 最初に移した玉と最後に戻る玉の色が一致することが事象の言い換えである。遷移回数は箱2から箱1へ戻るまでの n1 回であり,指数を n2 と取り違えないことが重要である。

冊子PDFで見る京大の確率の問題で問題集を作る

出典: 京都大学 2021年度 前期日程 第2次学力試験 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。