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京都大学 2023年度 前期日程 一般選抜理系数学 第6問

pを3以上の素数とする.また,θを実数とする.

(1) cos3θcos4θcosθの式として表せ.

(2) cosθ=1pのとき,
θ=mnπとなるような正の整数mnが存在するか否かを
理由を付けて判定せよ.

難易度7/ 10計算量5/ 10目安30

三角関数整数論証・証明 式変形、合同式、背理法

方針

(1) は加法定理と倍角公式で cos3θcos4θc=cosθ の式にする。(2) は背理法で,θπ の有理数倍だと仮定する。bk=2coskθ とおくと,bk+1=(2/p)bkbk1 という漸化式を満たす。bk=Ak/pk と表し,Ak2k(modp) から Akp で割り切れないことを示し,周期性から生じる bq=2 と矛盾させる。

解答

(1) c=cosθ とおく。加法定理よりcos3θ=cos(2θ+θ)=cos2θcosθsin2θsinθ=(2c21)c2(1c2)c=4c33cである。またcos4θ=2cos22θ1=2(2c21)21=8c48c2+1である。したがってcos3θ=4cos3θ3cosθ,cos4θ=8cos4θ8cos2θ+1である。

(2)
そのような正の整数 m,n は存在しないことを示す。背理法で,θ=mnπ となる正の整数 m,n が存在すると仮定する。このとき q=2n とおけば qθ=2mπ である。 bk=2coskθ(k=0,1,2,) とおく。cosθ=1/p なので b0=2,b1=2p である。また三角関数の和積公式から 2cos(k+1)θ+2cos(k1)θ=4coskθcosθ であるから bk+1+bk1=2pbk すなわち bk+1=2pbkbk1 である。

ここで bk=Akpk と書く。A0=2A1=2 であり,漸化式に代入するとAk+1pk+1=2pAkpkAk1pk1だから Ak+1=2Akp2Ak1 である。よってすべての Ak は整数である。

さらに k1 について,この漸化式を p で割った余りで見ると Ak+12Ak(modp) である。A1=2 だから帰納的に Ak2k(modp)(k1) である。p は3以上の素数なので,2kp で割り切れない。したがって Ak は p で割り切れない ことが分かる。

一方,仮定より qθ=2mπ であるから bq=2cos(qθ)=2 である。したがって Aqpq=2 となり,Aq=2pq である。これは Aqp で割り切れることを意味し,上で示した結論に反する。

よって θ=(m/n)π となる正の整数 m,n は存在しない。

別解

解法2(整数係数多項式と有理数解による方法)

方針

(1) は倍角公式から求める。(2) は P0(X)=2,P1(X)=X,Pk+1(X)=XPk(X)Pk1(X) と定める。加法定理から Pk(2cosθ)=2coskθ を示す。Pk は最高次係数1の整数係数多項式なので,θ/π が有理数なら 2/p が最高次係数1の整数係数方程式の有理数解となり,有理数解の性質に反する。

解答

(1) cos3θ=2cosθcos2θcosθ=4cos3θ3cosθである。またcos4θ=2cos22θ1=2(2cos2θ1)21=8cos4θ8cos2θ+1.(2)
そのような正の整数 m,n は存在しないことを示す。

多項式 Pk(X)P0(X)=2,P1(X)=X,Pk+1(X)=XPk(X)Pk1(X)で定める。加法定理から2cos(k+1)θ=(2cosθ)(2coskθ)2cos(k1)θであるから,帰納的にPk(2cosθ)=2coskθが成り立つ。また漸化式から,k1 では Pk(X) は最高次係数1の整数係数 k 次多項式である。

ここで θ=mπ/n となる正の整数 m,n が存在すると仮定する。するとP2n(2cosθ)=2cos(2nθ)=2である。cosθ=1/p だから,2/p は最高次係数1の整数係数多項式P2n(X)2の有理数解となる。

整数係数多項式の有理数解では,既約分数で表した分母は最高次係数を割り切る。ところが最高次係数は1であるから,2/p は整数でなければならない。p は3以上の素数なので 2/p は整数ではなく,矛盾する。

したがって θ=(m/n)π となる正の整数 m,n は存在しない。

総評

目安時間は30分程度。有理角の否定を,2coskθ の漸化式と合同式に翻訳する証明問題である。bk=Ak/pk としたとき,Ak+1=2Akp2Ak1 から Ak2k(modp) を導く部分が核心。最後は,θπ の有理数倍ならある qbq=2 になることを使い,分子が p で割り切れるという矛盾を明確に書く。 標準解法は分母pの既約性を合同式で追い,別解は最高次係数1の整数係数多項式の有理数解に着目する。いずれも『有理角ならある倍角の余弦が±1または1になる』ことを整数論へ翻訳するのが核心である。

冊子PDFで見る京大の三角関数の問題で問題集を作る

出典: 京都大学 令和5年度一般選抜 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。