方針
(1) は加法定理と倍角公式で , を の式にする。(2) は背理法で, が の有理数倍だと仮定する。 とおくと, という漸化式を満たす。 と表し, から が で割り切れないことを示し,周期性から生じる と矛盾させる。
解答
(1) とおく。加法定理よりである。またである。したがってである。
(2)
そのような正の整数 は存在しないことを示す。背理法で, となる正の整数 が存在すると仮定する。このとき とおけば である。 とおく。 なので である。また三角関数の和積公式から であるから すなわち である。
ここで と書く。, であり,漸化式に代入するとだから である。よってすべての は整数である。
さらに について,この漸化式を で割った余りで見ると である。 だから帰納的に である。 は3以上の素数なので, は で割り切れない。したがって ことが分かる。
一方,仮定より であるから である。したがって となり, である。これは が で割り切れることを意味し,上で示した結論に反する。
よって となる正の整数 は存在しない。
別解
解法2(整数係数多項式と有理数解による方法)
方針
(1) は倍角公式から求める。(2) は と定める。加法定理から を示す。 は最高次係数1の整数係数多項式なので, が有理数なら が最高次係数1の整数係数方程式の有理数解となり,有理数解の性質に反する。
解答
(1) である。また(2)
そのような正の整数 は存在しないことを示す。
多項式 をで定める。加法定理からであるから,帰納的にが成り立つ。また漸化式から, では は最高次係数1の整数係数 次多項式である。
ここで となる正の整数 が存在すると仮定する。するとである。 だから, は最高次係数1の整数係数多項式の有理数解となる。
整数係数多項式の有理数解では,既約分数で表した分母は最高次係数を割り切る。ところが最高次係数は1であるから, は整数でなければならない。 は3以上の素数なので は整数ではなく,矛盾する。
したがって となる正の整数 は存在しない。
総評
目安時間は30分程度。有理角の否定を, の漸化式と合同式に翻訳する証明問題である。 としたとき, から を導く部分が核心。最後は, が の有理数倍ならある で になることを使い,分子が で割り切れるという矛盾を明確に書く。 標準解法は分母pの既約性を合同式で追い,別解は最高次係数1の整数係数多項式の有理数解に着目する。いずれも『有理角ならある倍角の余弦が±1または1になる』ことを整数論へ翻訳するのが核心である。