方針
Ak の形を数学的帰納法で確定し、Sn,Tn を成分ごとの和で求める。最後は Sn の逆行列を左から掛ける。
解答
(1)
直接計算からAk=(10k1)と予想できる。実際、この式が k で成り立つならAk+1=(10k1)(1011)=(10k+11),したがって数学的帰納法により正しい。
よってSn=(n02n(n+1)n).さらにm=1∑n2m(m+1)=6n(n+1)(n+2)だからTn=2n(n+1)06n(n+1)(n+2)2n(n+1).(2)Sn−1=n10−2nn+1n1なのでX=Sn−1Tn.積を計算すると、右上成分は6(n+1)(n+2)−4(n+1)2=−12n2−1.したがってX=2n+10−12n2−12n+1.\enlargethispage{4\baselineskip}
別解
解法2(零平方行列と成分比較)
方針
A=I+N、N2=O と分解し、積の展開を一段で止める。Sn,Tn,X を I,N の1次結合として扱い、係数を比較する。
解答
(1) I=(1001),N=(0010)と置くと A=I+N、N2=O である。したがって積を展開したとき N2 以上の項は消え、Ak=(I+N)k=I+kN.よってSn=nI+2n(n+1)Nであり、さらにTn=2n(n+1)I+6n(n+1)(n+2)N.これは解法1の行列表示と同じである。
(2)
次に X=αI+βN と置く。N2=O よりSnX=nαI+{nβ+2n(n+1)α}N.これを Tn と比較するとnα=2n(n+1),よってα=2n+1.また N の係数からnβ+4n(n+1)2=6n(n+1)(n+2),したがってβ=−12n2−1.ゆえにX=2n+10−12n2−12n+1.
総評
原問題が行列を明示的に扱うため、この問だけで行列を使用した。目安時間は25分。通常解法では右上成分の二重和、別解では N2=O によって積が簡単になる構造が要点である。小さい n を代入して SnX=Tn を確認すると、右上成分の符号を検算できる。
冊子PDFで見る九大の行列の問題で問題集を作る
出典: 九州大学 1983年度 前期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。