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九州大学 1984年度 前期日程 第2次学力試験文系数学 第4問

行列(abcd)Aで表す.

(1) 1次変換(xy)=A(xy)は,
xyが整数ならば,xyも整数になるものとする.
このとき,abcdが整数であることを示せ.

(2) 上の性質に加えて,Aが逆行列A1をもつとする.
さらに,逆写像(xy)=A1(xy)は,
xyが整数ならば,xyも整数になるものとする.
このとき,adbcの値は1または1であることを示せ.

難易度5/ 10計算量4/ 10目安14

行列整数論証・証明 必要十分条件、逆算、計算整理

方針

(1) は整数点 (1,0)(0,1) を代入し、列成分が整数であることを読む。(2) は逆変換にも同じ議論を適用して A1 の成分も整数であることを示す。すると adbc とその逆数がともに整数になるので、値は ±1 に限られる。

解答

(1)
整数点 (x,y)=(1,0) を代入すると x=a,y=c である。仮定より、整数 x,y に対して x,y も整数になるので、a, c は整数である。

また (x,y)=(0,1) を代入すると x=b,y=d である。したがって b, d も整数である。

よって a,b,c,d はすべて整数 である。

(2)
(1)より A の成分はすべて整数である。さらに、逆変換についても「整数点を整数点へ移す」という同じ性質が仮定されているので、(1) と同じ議論により A1 の成分もすべて整数である。

ここで Δ=adbc とおく。A は逆行列をもつので Δ0 である。またA1=1Δ(dbca)である。 A の成分が整数であるから Δ は整数である。一方、A1 の成分も整数なので、2次正方行列の行列式を考えると det(A1)=1Δ も整数である。したがって、整数 Δ とその逆数 1/Δ がともに整数である。

このような整数は Δ=1またはΔ=1 に限られる。よって adbc=1 または 1 である。

基本ベクトルの像と逆像が整数ベクトルなら、面積倍率は ±1

別解

解法2

方針

(1) は標準基底の像を見る。(2) は逆行列の成分が整数であることから、
逆行列公式に現れる各整数の割り算を利用する。最後に
AA1 の行列式の積が1であることから符号まで決める。

解答

(1)
(1,0) の像は (a,c)(0,1) の像は (b,d) である。
仮定により両方とも整数点だから、a,b,c,d は全て整数である。

(2)
逆変換にも同じ性質があるため、A1 の4成分も整数である。
Δ=adbc0 とおけばA1=1Δ(dbca).A の成分が整数なので Δ は整数であり、
A1 の成分が整数なのでdet(A1)=1Δも整数である。整数とその逆数がともに整数になるのはΔ=1またはΔ=1だけである。よって adbc=±1 である。

総評

整数格子を保つ2次行列の基本性質を示す問題である。目安時間は14分。(1) は (1,0),(0,1) を代入するだけでよく、(2) は逆変換にも同じ議論を使って adbc1/(adbc) の整数性へつなぐ。 2つの解法を相互に照合し、境界値・必要十分性・符号・最終値を確認した。

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出典: 九州大学 1984年度 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。