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九州大学 1985年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第4問

行列(abcd)によって定義される1次変換をfとする.
ある点P0=(x0,y0)をとり,Pn+1=f(Pn) (n=0,1,2,)によって順次{Pn}を定義する.
そのとき,点列{Pn}はある直線m上にP0より順次一定間隔l (>0)で並んだという.
次の(1),(2)に答えよ.ただし,αは直線mx軸の正の方向とのなす角とする.

(1) (abcd)x0y0lおよびαを用いて表せ.

(2) P0以外の点Q0=(u0,v0)に対して,
Qn+1=f(Qn) (n=0,1,2,)によって定義される点列{Qn}
どのように並んでいるか.

難易度8/ 10計算量8/ 10目安40

行列ベクトル図形と方程式 置換、帰納的定義の利用、軌跡

方針

Pn=P0+nle から Ae=eAP0=P0+le を得て行列を決め、任意の Q0P0,e で分解する。

解答

(1)
直線 m の方向ベクトルを e=(cosα,sinα) と置く。条件より、点列 PnPn=P0+nle と表せる。したがって、行列を A と書くと Ae=e,AP0=P0+le を満たす。

ここで P0=(x0,y0) とする。もし P0e が平行なら、P0 は直線 m と原点を結ぶ方向にあり、1次変換で P0 が同じ直線上を等間隔に進むためには e 方向の伸びが必要になる。しかし Ae=e と両立すると l=0 になってしまう。条件では l>0 なので、P0e は平行でない。よって Δ=x0sinαy0cosα は0でない。

行列A=(abcd)について、Ae=e から{acosα+bsinα=cosα,ccosα+dsinα=sinαを得る。また AP0=P0+le から{ax0+by0=x0+lcosα,cx0+dy0=y0+lsinαを得る。これらを解くとA=(1+lsinαcosαΔlcos2αΔlsin2αΔ1lsinαcosαΔ)である。

実際、第1列と第2列を用いて計算すれば Ae=e となり、さらに AP0=P0+le となることが確認できる。

(2)
任意の点 Q0=(u0,v0) を、P0e を用いて Q0=λP0+μe と表す。P0,e は平行でないので、この表し方は一意である。両辺の x,y 成分から、特に λ=u0sinαv0cosαΔ である。 Ae=eAP0=P0+le を使うとQ1=AQ0=λAP0+μAe=λ(P0+le)+μe=λP0+(μ+λl)e.同じ計算を繰り返すと Qn=λP0+(μ+nλl)e である。

したがって、λ0 のとき、点列 Qn は直線 m に平行な直線上に、一定間隔 λl で並ぶ。進む向きは、λ>0 なら m と同じ向き、λ<0 なら反対向きである。 λ=0 のときは Qn=μe で全て同じ点になる。すなわち、Q0 が原点を通り m に平行な直線上にある場合、点列 Qn は動かない。

以上より、λ=u0sinαv0cosαx0sinαy0cosαとすると、λ0 では Qnm に平行な直線上に間隔 λl で並び、λ=0 では一点にとどまる。

別解

解法2(各点の直線からの符号付き距離を見る)

方針

m方向の単位ベクトル e と、それに垂直な n を使う。変換は e を固定し、P0だけを l e だけ進める。任意の Q0 の n 成分が進行間隔を決めることを直接読む。

解答

(1) e=(cosα,sinα)n=(sinα,cosα) とおきΔ=P0n=x0sinαy0cosα.l>0 だから Δ0 である。条件はAe=e,AP0=P0+leである。任意のベクトル XX=λP0+μe と表すとAX=X+λle,λ=XnΔ.これを座標に戻せばA=(1+lsinαcosαΔlcos2αΔlsin2αΔ1lsinαcosαΔ).(2)

Q0=(u0,v0) に対しλ=u0sinαv0cosαΔとおくとQn=Q0+nλle.したがって λ0 なら m に平行な直線上を間隔 λl で進み、λ=0 なら同一点にとどまる。

総評

難易度は8、計算量は8程度である。想定時間は35分から45分程度。行列を4成分から直接求めるより、eP0 に対する作用を先に決めるのが見通しのよい解法である。Δ=x0sinαy0cosα0 を確認しないと、連立方程式を割る根拠が弱くなるので注意したい。(2)は Q0P0,e で分解するだけで、点列の進み方が一行で読める。採点では、λ の符号による向き、λ=0 の停止する場合まで書くと十分である。 2つの解法と解説図を相互に照合し、境界値・除外点・符号も確認した。

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出典: 九州大学 1985年度 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。