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九州大学 1986年度 前期日程 第2次学力試験文系数学 第2問

abcを空間内の単位ベクトルとし,
任意の単位ベクトルdに対して,
(ad)2+(bd)2+(cd)2
一定の値kをとるとする.
ただし,st
ベクトルstの内積を表す.
このとき,次の(1),(2)に答えよ.

(1) kを求めよ.

(2) abc
互いに直交することを示せ.

難易度6/ 10計算量5/ 10目安20

ベクトル論証・証明 内積の利用座標設定必要十分条件

方針

一定値 k を求めるには,任意に取った直交する3方向の単位ベクトルを d に代入して和を取る。各ベクトルの3方向への成分の平方和は長さの平方になるので,3k=3 が出る。互いの直交性は,d=ad=bd=c を順に代入し,平方和が0になることから示す。

解答

(1) 空間内に,互いに直交する3つの単位ベクトル e1,e2,e3 を取る。仮定より,d=ei としたときの値はいずれも k である。したがって3k=i=13{(aei)2+(bei)2+(cei)2}=i=13(aei)2+i=13(bei)2+i=13(cei)2である。 e1,e2,e3 は直交する単位ベクトルなので,右辺の各和はそれぞれのベクトルの長さの平方に等しい。よって 3k=a2+b2+c2=1+1+1=3 である。したがって k=1 である。

(2) (1) より,任意の単位ベクトル d に対して (ad)2+(bd)2+(cd)2=1 である。ここで d=a とおくと,a は単位ベクトルだから 1+(ba)2+(ca)2=1 となる。したがって (ba)2+(ca)2=0 である。平方はどちらも0以上なので ab=0,ac=0 を得る。

同じように d=b とおけば (ab)2+1+(cb)2=1 となり bc=0 である。以上より,a,b,c は互いに直交する。

別解

解法2(単位球面の恒等式を拡張する)

方針

まず直交三方向への代入で k=1 を得る。単位ベクトルに対する式を任意ベクトルの長さの恒等式へ直し、a,b,c を順に代入する。

解答

(1)
互いに直交する単位ベクトル e1,e2,e3 を取り、それぞれを d に代入して加える。各単位ベクトルの成分の平方和は1だから3k=a2+b2+c2=3.従って k=1 である。

(2)
任意の零ベクトルでない x に対してd=xxを代入し、両辺に x2 を掛けると(ax)2+(bx)2+(cx)2=x2.x=a とすれば1+(ab)2+(ac)2=1,従って ab=ac=0 である。さらに x=b とすれば bc=0 も得る。よって三ベクトルは互いに直交する。

総評

難易度は6,計算量は5程度である。想定時間は18分から25分程度。(1) は「任意の単位ベクトル」に3つの直交方向を選んでよいことに気づくのが中心である。成分の平方和が長さの平方になる事実を使うと,k はすぐに1と決まる。(2) は d=a の代入で,すでに1が出ている項以外の平方和が0になる点が重要である。平方和が0なら各項が0,という一言を省かないことが採点上大切である。 解法2では単位球面上の恒等式を任意ベクトルへ拡張し、特別な代入だけで直交性を得る。

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出典: 九州大学 1986年度 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。