方針
直線の方向ベクトル への正射影を内積で表して行列化する。 を図形と積の両方で確認し、帰納法で を示す。(4)は変換後の方向ベクトルが元と平行になる必要十分条件を解く。
解答
(1)
直線 の方向ベクトルを とする。点 をこの直線に正射影した点を とすると、 は 方向のベクトルであり、 である。したがって であり、 となる。よって行列 は、第1行が 、第2行が の行列である。
(2)
上で得た に対し、任意の点 をまず で移すと、 となり、これは直線 上の点である。この点をもう一度同じ直線に正射影しても点は変わらない。したがって任意の に対し である。よって が成り立つ。
式で確認してもよい。 を第1行が 、第2行が の行列とすると であり、直接計算で となる。ゆえに である。
(3) である。 のとき で成り立つ。
ある自然数 で が成り立つと仮定する。このとき、(2)の を用いるとよって数学的帰納法により、すべての自然数 について が成り立つ。
(4)
直線 がそれ自身の上へ移されるためには、その方向ベクトル が、変換後も同じ直線の方向を向けばよい。すなわち が と平行であればよい。
まず だから である。これを成分で書くと である。
このベクトルが と平行である条件はである。左辺を整理するとしたがって である。 より を得る。
実際、 の直線は射影先の直線そのものであり、 によって方向は変わらない。また の直線は に垂直で、この方向の点は によって原点へ送られるため、 ではやはり同じ直線上に残る。
別解
解法2
方針
任意のベクトルを直線方向 と垂直方向 に分解する。 が前者を2倍、後者をそのままにすることから、累乗公式と不変な2直線を一度に説明する。
解答
(1) と置くと、二つは垂直で長さの2乗はいずれも である。
任意の の直線方向成分はこれが正射影だから(2)
は 方向の成分を残し、 方向の成分を0にする。
一度 を作用させたベクトルは 方向なので、もう一度作用させても変わらない。
したがって である。
(3)
は を に、 を に移す。
よって任意のベクトルを と表すと一方、も同じである。任意のベクトルに対する像が一致するので(4)
は直交する二方向 をそれぞれ別の倍率で移す。
両成分がともに0でない方向は作用後に成分比が変わるため、同じ直線上には残らない。
したがって不変な直線はだけである。傾きはそれぞれ だから
総評
正射影の行列表示から始まり、行列の累乗と直線の不変条件まで進む問題である。前半は内積による射影公式を正しく行列化できれば標準的である。(3)では の利用が中心で、累乗を展開しすぎないことが大切である。(4)は2本の直線が答えになるが、「その2本は確かに成り立つ」だけでは不足で、 と の平行条件からそれ以外がないことを示す必要がある。目安時間は20分。 採点上は、方針の根拠、条件から決まる範囲、境界・等号条件、最終結論を別々に明記したい。 2解法を照合すると、符号や領域の向き、候補の除外を自己検算できる。