方針
倍角公式により f(x) を定数と1つの正弦波の和へ直し、振幅から最大・最小を読む。その2値が与えられた2次方程式の解の公式と一致することを確認する。(2) は A2=A を成分比較し、零行列・単位行列を含めて場合分けする。
解答
(1)
倍角公式よりf(x)=2a+c+2a−ccos2x+bsin2x.ここでR=(2a−c)2+b2とおくと、ある角 ϕ を用いて2a−ccos2x+bsin2x=Rcos(2x−ϕ)と表せる。R=0 の場合も含め、minf(x)=2a+c−R,maxf(x)=2a+c+R.一方、方程式t2−(a+c)t+ac−b2=0の2根は2a+c±(2a−c)2+b2.α≦β だからminf(x)=α,maxf(x)=β.(2)A2=(a2+b2b(a+c)b(a+c)b2+c2)より、A2=A はa2+b2=a,b(a+c)=b,b2+c2=cと同値である。
b=0 なら a+c=1 であり、b2=a−a2=a(1−a)=ac.したがって (1) の2次方程式はt2−t=t(t−1)=0となるので、最小値は 0、最大値は 1 である。
b=0 なら a,c はそれぞれ 0 または 1 である。よってA(0000)(1001)上の2つ以外最小値010最大値011となる。
別解
解法2:単位円上で平方完成する
方針
u=cosx, v=sinx として単位円上の2次式と見る。2次方程式の根の関係から f−α と β−f をそれぞれ完全平方にし、上下界と等号の実現を同時に示す。(2) は A と I−A が作るベクトルの長さを利用する。
解答
(1) u=cosx,v=sinxとおけば u2+v2=1 であり、f(x)=au2+2buv+cv2.与えられた2次方程式をP(t)=(t−a)(t−c)−b2と書く。P(a)=P(c)=−b2≦0 だからα≦a,c≦β.また P(α)=0 より(a−α)(c−α)=b2.a>α のときf(x)−α=(a−α)u2+2buv+(c−α)v2=(a−α)(u+a−αbv)2≧0.a=α のときは b=0 なので、同じ結論が得られる。
同様に(β−a)(β−c)=b2を用いるとβ−f(x)≧0.各完全平方の中の一次式を0にする単位円上の点 (u,v) が選べるので、等号も実現する。したがってminf(x)=α,maxf(x)=β.(2)w=(cosxsinx)とおくとf(x)=wTAw.A2=A かつ A は対称だから∣Aw∣2=wTA2w=f(x)≧0.さらに∣(I−A)w∣2=wT(I−A)2w=wT(I−A)w=1−f(x)≧0.よって 0≦f(x)≦1 である。
A=0 なら常に f=0、A=I なら常に f=1 である。それ以外では、Az=0 となる z を選び、Az を長さ1に直せば Aw=w となって f=1 を実現する。同様に (I−A)z=0 となる z を選べば Aw=0 となって f=0 を実現する。したがって結論は解法1の表と一致する。
総評
難度7、計算量7。三角関数の最大・最小と問題文で明示された行列条件を結ぶ融合問題で、想定時間は32分程度。(2) では零行列と単位行列だけ最小値と最大値が一致するため、単に「0と1」と答えないことが重要である。振幅法と単位円上の平方完成を相互照合し、重根の場合、b=0、等号成立方向まで確認した。
冊子PDFで見る九大の行列の問題で問題集を作る
出典: 九州大学 1989年度 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。