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九州大学 1987年度 前期日程 第2次学力試験文系数学 第3問

行列(abba)によって定義される1次変換をfとする.
一般に,点P0(x0,y0)に対して,
点列Pn(xn,yn)Pn=f(Pn1) (n1)によって定義する.
このとき,次の問に答えよ.

(1) P0(1,1)(1,1)の2つの場合について,
xnynを,abを用いて表せ.

(2) P0=(x0,y0)のとき,xnynを,abを用いて表せ.

難易度5/ 10計算量5/ 10目安15

行列数列 置換漸化式の変形、計算整理

方針

xn+ynxnyn を作ると、1回の変換でそれぞれ a+b 倍、ab 倍される。この2つの量を先に求め、最後に xnyn を和と差から戻す。(1) の2つの初期点は、和だけが残る場合と差だけが残る場合として扱えるので、(2) の一般式の準備にもなる。

解答

(1)
変換の定義から xn+1=axn+byn,yn+1=bxn+ayn である。まず P0=(1,1) の場合を考える。このとき x0=y0=1 であり、もし xn=yn なら xn+1=yn+1=(a+b)xn となる。したがって xn=(a+b)n,yn=(a+b)n である。

次に P0=(1,1) の場合を考える。このとき y0=x0 であり、もし yn=xn なら xn+1=(ab)xn,yn+1=(ab)xn となる。したがって xn=(ab)n,yn=(ab)n である。

(2)
一般の初期点 P0=(x0,y0) について sn=xn+yn,dn=xnyn とおく。すると sn+1=xn+1+yn+1=(a+b)(xn+yn)=(a+b)sn であり、また dn+1=xn+1yn+1=(ab)(xnyn)=(ab)dn である。したがって sn=(a+b)n(x0+y0),dn=(ab)n(x0y0) となる。

最後に xn=sn+dn2,yn=sndn2 を用いれば xn=(x0+y0)(a+b)n+(x0y0)(ab)n2 であり、yn=(x0+y0)(a+b)n(x0y0)(ab)n2 である。

別解

解法2(2つの不変な方向)

方針

方向 (1,1)(1,1) が変換後も同じ方向に保たれることを使う。一般の初期点をこの2方向の和に分解し、それぞれの倍率を n 回掛ける。

解答

(1)
変換を (x,y)(ax+by,bx+ay) と書く。(1,1)(a+b,a+b)=(a+b)(1,1)だから、初期点が (1,1) なら(xn,yn)=((a+b)n,(a+b)n).同様に(1,1)(ab,ba)=(ab)(1,1)より、初期点が (1,1) なら(xn,yn)=((ab)n,(ab)n).(2)
一般の初期点は(x0,y0)=x0+y02(1,1)+x0y02(1,1)と一意に分解できる。変換は和と実数倍を保つので、n 回後には(xn,yn)=x0+y02(a+b)n(1,1)+x0y02(ab)n(1,1).したがってxn=(x0+y0)(a+b)n+(x0y0)(ab)n2,yn=(x0+y0)(a+b)n(x0y0)(ab)n2.

総評

対称な行列変換の反復を扱う問題で、目安は15分。和と差、または2つの特別な方向へ分解すると1項の等比数列になる。問題文が行列を明示するため行列の利用は適切だが、対角化の用語は不要である。

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出典: 九州大学 1987年度 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。