Evolton

九州大学 1991年度 後期日程 第2次学力試験理系(後期)数学 第1問

傾きがk (k0)で原点を通る直線lがある.
平面上のすべての点を直線l上の点に移す1次変換が
行列A=(abcd) (a0,b0,c0,d0)
表されているとする.

(1) abcdkの間の関係を求めよ.

(2) 行列A(1,2)成分と(2,1)成分を交換した
行列(acbd)Bとする.
この行列Bで表される1次変換によって原点に移される点Vの全体は,
ある直線上にあることを示せ.
また,この直線と直線lのつくる角を求めよ.

難易度5/ 10計算量5/ 10目安18

行列図形と方程式 座標設定必要十分条件図形的解釈

方針

平面上の任意の点を移した先が直線 l:y=kx 上にあるので,特に標準的な二つの列ベクトル (a,c)(b,d) も直線 l 上にある。これにより c=kad=kb が得られる。(2) は,交換後の行列 B によって原点へ移る条件を連立方程式で書き,a,b0 を使って x+ky=0 という直線を得る。最後に傾きの積が 1 であることから,直線 l と直交すると分かる。

解答

(1)
行列 A によって点 (x,y)(ax+by, cx+dy) に移る。この点が常に直線 l:y=kx 上にあるので,すべての x,y に対して cx+dy=k(ax+by) が成り立つ。右辺を展開すると cx+dy=kax+kby であり,x の係数と y の係数を比較して c=ka,d=kb を得る。

(2)
(1) よりB=(acbd)=(akabkb)である。点 (x,y) がこの行列 B によって原点に移る条件は(akabkb)(xy)=(00)である。すなわち a(x+ky)=0,b(x+ky)=0 である。仮定より a0b0 なので x+ky=0 が必要十分である。

したがって,原点に移る点 V の全体は直線 x+ky=0 上にある。この直線は y=1kx と書けるので,その傾きは 1/k である。一方,直線 l の傾きは k である。二つの傾きの積は k(1k)=1 だから,二つの直線は直交する。よってこの直線と l のつくる角は 90 である。

別解

解法2:基本点の像から列を決める

方針

1次変換で (1,0)(0,1) が移る先は行列の第1列・第2列である。どちらも直線 l 上にあることから係数関係を得る。(2) は交換後の行列が点 (x,y) を原点へ送る条件を2本の一次式として解き、得た直線の傾きを l と比較する。

解答

(1)
(1,0)(0,1) の像はそれぞれ(a,c),(b,d)である。すべての点の像がl:y=kx上にあるから、特にc=ka,d=kbである。逆にこの2式が成り立てば、任意の (x,y) の像は(ax+by, k(ax+by))となるので、確かに l 上にある。

(2)
(1) よりB=(akabkb).(x,y) が原点へ移る条件はa(x+ky)=0,b(x+ky)=0.a,b0 なので、これはx+ky=0と同値である。したがって点 V の全体は傾き 1/k の直線をなし、傾き kl と直交する。求める角は90である。

総評

すべての点を一本の直線上へ移すという条件を,成分比較に直す問題である。目安時間は18分。(1,0)(0,1) の移る先だけを見てもよいが,答案では任意の (x,y) に対する恒等式として書くと必要十分性が明確になる。(2) は a,b0 を使って x+ky=0 に絞ることが得点点である。最後の角度は傾きの積 1 から直交と判断すればよい。 2解法の結論を相互照合し、定義域、符号、端点、等号成立条件を確認した。 問題に即した高校数学の範囲だけで構成した。 図は立式や変化の対応を示す解説図であり、結論には依存しない。

冊子PDFで見る九大の行列の問題で問題集を作る

出典: 九州大学 1991年度 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。