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九州大学 1993年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第5問

動点Pは原点から出発して,時刻tにおける座標は(t,0)であるとする.
また動点Qは時刻t=0のとき点(0,1)から出発して,点Pとの距離を一定に保ちながら,
常に点Pに向かって(すなわちQの速度ベクトルがQPと平行であるように)進むとする.
このとき次の問に答えよ.

(1)Qの時刻tにおける座標を(x,y)とすると,dydx=y1y2が成り立つことを示せ.

(2)Qy座標が32となったときのx座標をa
y座標が12となったときのx座標をbとする.
Qの描く曲線とx軸,直線x=a,および直線x=bにより囲まれる領域の面積を求めよ.

難易度7/ 10計算量6/ 10目安28

微分積分図形と方程式 式変形、置換積分、面積計算

方針

距離 PQ は初期値から常に1なので,(tx)2+y2=1 が成り立つ。また Q の速度方向は QP=(tx,y) に平行であるから,接線の傾きは y/(tx) になる。対象となる範囲では tx=1y2 と取れるので,微分方程式が得られる。面積は dx/dy に直して y で積分し,最後の積分は y=sinθ により計算する。

解答

(1)
時刻 t において P=(t,0),Q=(x,y) である。距離 PQ は一定で,初めに P=(0,0)Q=(0,1) だからその距離は1である。したがって (tx)2+y2=1 が成り立つ。

また,Q は常に P に向かって進むので,Q の速度ベクトルは QP=(tx,y) に平行である。したがって,曲線の接線の傾きは dydx=ytx である。

問題で扱う点では Qx 軸より上にあり,PQ の右側にあるので tx0 である。距離条件から tx=1y2 となる。よって dydx=y1y2 が成り立つ。

(2)
(1)より,0<y<1dxdy=1y2y である。y32 から 12 へ下がるにつれて x は増えるので,求める面積は abydx である。これを y で積分するとabydx=3/21/2ydxdydy=3/21/21y2dyである。したがって abydx=1/23/21y2dy となる。

ここで y=sinθ とおく。y=12 のとき θ=π6y=32 のとき θ=π3 であり,dy=cosθdθ である。よって1/23/21y2dy=π/6π/3cos2θdθである。さらに cos2θ=1+cos2θ2 よりπ/6π/3cos2θdθ=[θ2+sin2θ4]π/6π/3である。ここで sin2π3=sinπ3=32 なので,三角関数の項は打ち消し合う。したがって面積は 12(π3π6)=π12 である。

別解

解法2

方針

速度ベクトルが QP の正の定数倍であることを成分で表し,距離条件から比例係数を消去する。面積は微分方程式によって単位円の弧の下の面積へ移し,2つの扇形と直角三角形の差として図形的に計算する。

解答

(1)
距離 PQ は初めから常に1なので(tx)2+y2=1.(1)また,ある正の数 λ を用いて(dxdt,dydt)=λ(tx,y)と書ける。したがってdydx=ytx.QP の左側にあるので,(1)からtx=1y2.よってdydx=y1y2が成り立つ。

(2)
y3/2 から 1/2 へ減少し,xa から b へ増加する。したがって面積 SS=abydx=3/21/2y(1y2y)dy=1/23/21y2dy.これは単位円X2+y2=1の右半分で,y=1/2y=3/2 に挟まれた面積である。対応する偏角は π/6π/3 である。両端にできる直角三角形の面積はともに121232で等しく,差を取ると消える。したがって残るのは中心角 π/3π/6 の扇形の面積であり,S=12(π3π6)=π12.

総評

追跡運動を微分方程式に直し,面積を変数変換で計算する問題である。目安時間は28分。(1)では距離一定から (tx)2+y2=1 を作るだけでなく,速度方向が QP に平行であることを傾きに反映させる必要がある。tx の符号を正に取る理由も書いておくとよい。(2)では x を直接求める必要はなく,dx/dy を使って面積 ydxy の積分へ変えるのが効率的である。最後の積分は三角置換でも図形的な面積でも処理できる。

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出典: 九州大学 1993年度 前期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。