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九州大学 1994年度 後期日程 第2次学力試験理系(後期)数学 第4問

半径がrの円筒形の容器Vが軸を垂直にして置かれており,
Vの上面からは水が流入し,Vの底面からは水が流出しているとする.
その流入速度は一定値aであるが,
流出速度はVにたまった水の深さに比例(比例定数b)しているものとする.

(1) 時刻tにおける水の深さをf(t)とするとき,
tの関数f(t)はいかなる微分方程式を満たすか.

(2) f(0)=0としたとき,水がVの上面からあふれださないためには,
Vの高さがどれくらいあればよいか.

難易度5/ 10計算量5/ 10目安20

微分指数・対数 式変形、計算整理、極限計算

方針

水量を πr2f(t) と表し、その時間変化を「流入速度 a から流出速度 bf(t) を引いたもの」として微分方程式を立てる。(2)では初期条件 f(0)=0 を用いて一次微分方程式を解き、深さが単調に a/b に近づくことを確認する。有限時刻では a/b 未満で、限界値が a/b なので、容器の高さは少なくとも a/b 必要である。

解答

(1)

時刻 t における水の深さが f(t) であるから、容器内の水量は πr2f(t) である。単位時間あたりの流入量は a、流出量は水の深さに比例して bf(t) である。したがって水量の増加速度は abf(t) である。

よって ddt{πr2f(t)}=abf(t) であり、求める微分方程式は πr2f(t)=abf(t) である。

(2)

(1) の式を f(t)+bπr2f(t)=aπr2 と書く。定数解は f(t)=a/b であるから g(t)=f(t)ab とおくと g(t)+bπr2g(t)=0 となる。したがって g(t)=Cebt/(πr2) である。

初期条件 f(0)=0 より g(0)=ab であるから f(t)=ab(1ebt/(πr2)) である。

ここで t0 では 01ebt/(πr2)<1 であり、t が大きくなると f(t)ab である。したがって水があふれださないためには、容器の高さが ab 以上あればよい。最小限の高さは ab である。

別解

解法2

方針

平衡水深 a/b に対する差 a/bf(t) を変数として分離形で解く。微分方程式の立式、単調性、上限と極限から必要十分な容器の高さを判定する。

解答

(1)
水量は πr2f(t) である。したがって、流入量から流出量を引いてπr2f(t)=abf(t).(2)
平衡水深との差u(t)=abf(t)を考える。(1)からu(t)=bπr2u(t).変数分離してduu=bπr2dt.初期条件 f(0)=0、すなわち u(0)=a/b を使うとu(t)=abexp(btπr2).よってf(t)=ab{1exp(btπr2)}.f(t) は単調に増加し、任意の有限時刻では a/b 未満、極限は a/b である。したがって、あふれないための容器の高さ H の必要十分条件はHab.

総評

水量の変化率は深さではなく πr2f(t) の微分である。平衡水深 a/b との差を取ると分離形になり、解の単調増加と上限が同時に見える。水深は有限時刻には a/b に達しないが極限で近づくため、容器高は a/b 以上が必要十分である。

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出典: 九州大学 1994年度 後期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。