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九州大学 1993年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第4問

正の数tに対し
A=(12(t+1t)12(t1t)12(t1t)12(t+1t))とおく.
次の問に答えよ.

(1) 行列Aの表す1次変換による単位円x2+y2=1の像Cを表す式を求めよ.

(2) 曲線Cを原点のまわりに45回転して得られる曲線の式を求めよ.

(3) tが正の数全体を動くとき,
単位円x2+y2=1上の定点P0(x0,y0)の行列Aの表す1次変換によって移る点の軌跡を求めよ.

難易度7/ 10計算量6/ 10目安26

行列図形と方程式 回転・拡大軌跡図形的解釈

方針

u=x+y2v=xy2 と座標を取り替えると,この行列は u 方向を t 倍,v 方向を 1/t 倍にするだけになる。したがって単位円の移った曲線は,u,v 座標で楕円としてすぐに書ける。(2)は回転の向きに注意して,x=y 方向と x=y 方向が新しい座標軸のどちらに重なるかを明示する。(3)では定点 P0u,v 成分を u0,v0 とし,移った点の成分 U,VU=tu0V=v0/t を満たすことから UV=u0v0 と符号条件を読む。

解答

(1)
新しい座標として u=x+y2,v=xy2 を用いる。逆に x=u+v2,y=uv2 である。

(x,y) が行列 A により (X,Y) に移るとする。すると X+Y=t(x+y),XY=1t(xy) である。つまり u,v 座標で見れば utu,v1tv という変換である。

単位円は u2+v2=1 である。移った後の点の u,v 座標を改めて u,v と書くと,もとの点の座標は ut,tv であるから (ut)2+(tv)2=1 となる。したがって u2t2+t2v2=1 である。もとの x,y で書けば (x+y)22t2+t2(xy)22=1 である。

(2)
曲線を時計回りに 45 回転し,もとの x=y 方向を新しい x 軸に重ねると,(1)の u 軸が新しい x 軸,v 軸が新しい y 軸になる。したがって回転後の式は x2t2+t2y2=1 である。

なお,反時計回りを正として 45 回転する約束で書くなら,u 軸は新しい y 軸に重なるので,式は t2x2+y2t2=1 となる。回転の向きが指定されていない場合は,この2つは軸の入れ替わりとして区別される。

(3)
定点 P0(x0,y0) について u0=x0+y02,v0=x0y02 とおく。移った後の点を (X,Y) とし,その u,v 座標を U=X+Y2,V=XY2 とおく。(1)より U=tu0,V=v0t である。したがって UV=u0v0 であり,これは (X+Y)(XY)2=(x0+y0)(x0y0)2 すなわち X2Y2=x02y02 と書ける。

ただし t>0 なので,符号条件も必要である。x0+y00x0y00 のときは (X+Y)(x0+y0)>0,(XY)(x0y0)>0 を満たす枝である。

もし x0+y0=0 なら U=0 なので,軌跡は直線 X+Y=0 上で (XY)(x0y0)>0 を満たす半直線である。もし x0y0=0 なら V=0 なので,軌跡は直線 XY=0 上で (X+Y)(x0+y0)>0 を満たす半直線である。

別解

解法2

方針

行列の2本の固有方向 (1,1)(1,1) を直接調べ,それぞれの伸縮率が t,1/t であることを使う。(2)では反時計回り45度の回転公式を代入する。(3)では像の和と差の積を取って t を消去し,t>0 に由来する枝の条件も残す。

解答

(1) A(11)=t(11),A(11)=1t(11).したがって,x=y 方向は t 倍,x=y 方向は 1/t 倍される。像の点を (X,Y) とするとX+Y=t(x+y),XY=1t(xy).もとの単位円は(x+y)22+(xy)22=1だから,像 C(X+Y)22t2+t2(XY)22=1で表される。

(2)
C 上の点 (X,Y) を原点のまわりに反時計回りに45度回して (x,y) へ移すとx=XY2,y=X+Y2.これを(1)の式へ代入してt2x2+y2t2=1を得る。

(3)
P0=(x0,y0) の像を (X,Y) とするとX+Y=t(x0+y0),XY=1t(x0y0).両式を掛ければX2Y2=x02y02.ただし t>0 なので,x0+y00 かつ x0y00 のときは(X+Y)(x0+y0)>0,(XY)(x0y0)>0を満たす枝だけである。

x0+y0=0 のときはX+Y=0,(XY)(x0y0)>0を満たす半直線である。x0y0=0 のときはXY=0,(X+Y)(x0+y0)>0を満たす半直線である。以上が軌跡である。

総評

行列を斜め45度の座標軸で見ると急に簡単になる問題である。目安時間は26分。成分計算だけで押すと式が重くなるが,x+yxy を足し引きすれば,t 倍と 1/t 倍が見える。(2)は「曲線を回す向き」によって長軸と短軸が入れ替わるので,答案ではどちらの向きで回したかを明示したい。(3)は方程式 X2Y2=x02y02 だけでなく,t>0 から来る符号条件を書くことが重要である。対角線上の点では双曲線ではなく半直線になる点も落としやすい。

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出典: 九州大学 1993年度 前期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。