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九州大学 1995年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第1問

次の問に答えよ.

(1) 行列A=(abbc)b0を満たすとする.
行列Aで表される1次変換fによって直線y=αxはそれ自身に移り,
また直線y=βxもそれ自身に移るという.
αβのとき,この2つの直線y=αxy=βxとは直交することを証明せよ.

(2) 正の整数lmn(lm)n>lmnを満たす組(l,m,n)をすべて求めよ.

難易度6/ 10計算量5/ 10目安20

行列方程式・不等式整数 式変形、必要十分条件、範囲評価

方針

(1) は直線 y=αx 上の方向ベクトル (1,α) が、変換後も同じ直線方向にある条件を作る。α,β は同じ二次方程式の異なる2根になるので、解と係数の関係から傾きの積を出す。(2)は l=1l>1 に分け、l>1 では底が同じなので指数 mnmn を比較する。

解答

(1)

直線 y=αx がそれ自身に移るとは、方向ベクトル (1,α) が、移った後も (1,α) と平行であることを意味する。

行列 A によって(1α)(a+bαb+cα)に移る。これが (1,α) と平行であるから b+cα=α(a+bα) である。整理すると bα2+(ac)αb=0 となる。

同様に β もこの二次方程式を満たす。b0 であり、αβ だから、α,β はこの二次方程式の2つの異なる解である。よって解と係数の関係より αβ=bb=1 である。傾きの積が 1 であるから、2直線 y=αxy=βx は直交する。

(2)

まず l=1 のときは (lm)n=1,lmn=1 となり、不等式は成り立たない。

以下 l>1 とする。このとき底 l が同じなので、指数を比較すればよい。 (lm)n=lmn,lmn=lmn であるから、条件は mn>mn と同値である。m は正の整数なので、これは n>mn1 と同値である。 m=1 のとき、この条件は n>1 である。したがって n2 で成り立つ。 m2 のとき、n=1 では mn=mn で不適である。また n2 なら mn12n1n であるから、n>mn1 は成り立たない。

よって求める組は l2,m=1,n2 である。

別解

解法2

方針

対称行列の内積恒等式から異なる固有方向の直交を示す。指数不等式は指数だけを比較する。

解答

(1)

対称行列の内積を使う。

直線 y=αxy=βx の方向ベクトルを、それぞれ u,v とする。不変直線なのでAu=λu,Av=μvと書ける。もし λ=μ なら、異なる2直線の方向ベクトルは一次独立だから A=λI となり、b0 に反する。よって λμ である。

A は対称行列なので(Au)v=u(Av).したがってλuv=μuv.λμ よりuv=0.ゆえに2直線は直交する。

(2)
l=1 では等号になる。l2 では(lm)n>lmn    mn>mn    n>mn1.m=1 なら n>1、すなわち n2 である。m2 なら、n=1 では等号であり、n2 ではmn12n1nなので不可能である。以上よりl2,m=1,n2.

総評

前半は対称な2次行列が保つ2直線の直交性、後半は指数不等式の整数条件を扱う問題。難度は標準で、目安時間は20分前後。(1)では「直線がそれ自身に移る」を方向ベクトルの平行条件に直すことが重要である。(2)では l=1 を先に除き、m=1m2 を分けると、余計な試行錯誤を避けられる。 2解法の結論を相互照合し、定義域、端点、場合分け、図示範囲、途中計算まで確認した。

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出典: 九州大学 1995年度 前期 理系 第1問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。