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九州大学 1996年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第1問

行列A=(1001)
B=(cosθsinθsinθcosθ)に対して,
行列B1ABが表す一次変換をfとする.
ただし,0θ<π2である.
次の問いに答えよ.

(1)P(sinθ,cosθ)fによる像を求めよ.

(2) fが直線y=xをそれ自身に移すとき,θの値を求めよ.

(3) 上で求めたθに対して,
fは原点を通るある直線に関する対象移動であることを示し,
その直線の方程式を求めよ.

難易度5/ 10計算量5/ 10目安20

行列図形と方程式 回転・拡大図形的解釈、計算整理

方針

まず B1AB を直接計算し、一次変換の成分表示を得る。(1) は点 P を代入するだけでよい。(2) は直線 y=x の方向ベクトル (1,1) の像が同じ直線方向に平行になる条件を立てる。(3) は得られた変換の固定される直線を調べ、そこを軸とする対称移動であることを示す。

解答

まずB1=(cosθsinθsinθcosθ)であるからB1AB=(cos2θsin2θsin2θcos2θ)である。

(1)
P(sinθ,cosθ) の像は(cos2θsin2θsin2θcos2θ)(sinθcosθ)である。第一成分はsinθcos2θcosθsin2θ=sin(θ2θ)=sinθであり、第二成分はsin2θsinθcos2θcosθ=cos(2θθ)=cosθである。したがって像は (sinθ,cosθ) である。

(2)
直線 y=x の方向ベクトルは (1,1) である。この直線がそれ自身に移るためには、(1,1) の像が (1,1) に平行であればよい。 (1,1) の像は (cos2θsin2θ,sin2θcos2θ) である。これが y=x 方向に平行である条件は二成分が等しいこと、すなわち cos2θsin2θ=sin2θcos2θ である。よって 2cos2θ=0 となる。0θ<π/2 だから θ=π4 である。

(3) θ=π/4 のとき、cos2θ=0sin2θ=1 なので f(x,y)=(y,x) である。点が固定される条件は (x,y)=(y,x) であり、これは y=x である。したがって直線 y=x 上の点はすべて動かない。

また、直線 y=x 上の点 (x,x)f(x,x)=(x,x) へ移る。これは y=x を軸として (x,x) を反対側へ移した点である。任意の点は、直線 y=x 方向の成分と直線 y=x 方向の成分に分けられるので、f は直線 y=x に関する対称移動である。求める直線は y=x である。

別解

解法2

方針

B を回転、Ax 軸対称として読み、合成 B1AB がどの直線を軸とする対称移動かを角度で追う。成分計算を最小限にし、像・不変直線・対称軸を一つの幾何的解釈で求める。

解答

B は偏角を θ 増やす回転、A は偏角 ϕϕ にする x 軸対称、B1 は偏角を θ 減らす回転である。したがって偏角 ϕ のベクトルはϕϕ+θ(ϕ+θ)ϕ2θと移る。直線角 θ を軸とする対称移動はϕ2(θ)ϕ=ϕ2θであるから、f は直線角 θ の軸対称である。

(1)
P(sinθ,cosθ) の偏角は π/2θ である。その像の偏角は(π2θ)2θ=π2θ.長さは変わらないので、像は(sinθ,cosθ).(2)
直線 y=x の直線角は π/4 である。この直線がそれ自身へ移る条件はπ42θπ4(modπ).0θ<π/2 よりθ=π4.(3)
対称軸の直線角は θ だから、θ=π/4 のとき軸は直線角 π/4 の直線である。よってy=x.

総評

行列計算と図形的な一次変換の読み取りをつなぐ問題。目安時間は20分。(2) では直線上の全点を見る必要はなく、方向ベクトル (1,1) の像を調べれば十分である。(3) は固定される直線を求めるだけでなく、直交する方向の成分が反対向きになることまで書くと「対称移動」の説明として強い。 2解法の結論を相互照合し、定義域、端点、場合分け、図示範囲まで確認した。

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出典: 九州大学 1996年度 前期 理系 第1問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。