方針
(1) は方程式の左辺を h(x) とおき,導関数の符号から h が一度下がってから上がることを示す。x=0 も解になるが,求めるのは正の解なので,0<x<m−1 で負,x=m で正になることを使って,正の解が (m−1,m) にただ一つあることを示す。(2) は f′(x) の分子が同じ h(x) になる点を利用する。(3) は最小値を c で表し,m−1<c<m から c が m と同じ大きさであることを使って極限を計算する。
解答
(1) h(x)=xex−mex+m=(x−m)ex+m とおく。すると h′(x)=ex+(x−m)ex=(x+1−m)ex である。ex>0 だから,h(x) は 0<x<m−1 で減少し,x>m−1 で増加する。
また h(0)=0 であり,0<x<m−1 では h が減少するので h(x)<0(0<x≦m−1) である。さらに h(m)=(m−m)em+m=m>0. したがって中間値の定理より,(m−1,m) に正の解が少なくとも一つ存在する。一方,x>m−1 では h(x) は増加するので,この区間に解は高々一つである。よって正の解はただ一つである。その解を c とすると m−1<c<m である。
(2) f(x)=xmex−1(x>0) とする。微分するとf′(x)=x2mexxm−(ex−1)mxm−1=xm+1xex−m(ex−1)=xm+1xex−mex+m=xm+1h(x). x>0 では分母 xm+1 は正であるから,f′(x) の符号は h(x) の符号と同じである。(1) より h(x)<0 は 0<x<c,h(x)>0 は x>c で成り立つ。したがって f(x) は (0,c) で減少し,(c,∞) で増加する。
よって f(x) は x=c で最小となる。
(3)
最小値を am=f(c) とする。c は cec−mec+m=0 を満たすので m(ec−1)=cec. したがって ec−1=mcec であり,am=cmec−1=mcm−1ec. 対数をとると logam=c−logm−(m−1)logc. よってmlogmlogam=mlogmc−m1−mm−1⋅logmlogc.(1) より 1−m1<mc<1 であるから c/m→1,したがって logc/logm→1 である。また c/(mlogm)→0 である。ゆえにm→∞limmlogmlogam=−1である。
別解
解法2
方針
最小値問題から逆に出発し、対数微分の符号を調べる。臨界点の方程式を x=m(1−e−x) と書くと、直線と上に凸でない曲線の交点として一意性と位置を確認できる。最後は臨界点方程式を最小値に代入して対数の主要項を取り出す。
解答
(1)
方程式はx=m(1−e−x)と同値である。右辺を r(x) とするとr′(x)=me−x>0,r′′(x)=−me−x<0.r(0)=0 で、正の範囲では直線 y=x と凹曲線 y=r(x) は高々もう1回しか交わらない。またh(m−1)<0,h(m)>0より、その正の交点 c はただ1つでm−1<c<m.(2)f(x)f′(x)=ex−1ex−xm=x(ex−1)xex−m(ex−1).分母は正で、分子は (1) の h(x) だから、c の前で負、後で正となる。従って x=c で最小。
(3)
m(ec−1)=cec よりam=mcm−1ec,logam=c−logm−(m−1)logc.m−1<c<m から c/m→1, logc/logm→1。従ってm→∞limmlogmlogam=−1.
総評
導関数の符号を二度使う問題で,所要時間は18分程度。(1) では h(0)=0 であることに注意が必要で,0 は解だが「正の解」には含まれない。h が (0,m−1) で減少し,(m−1,∞) で増加することを明確に書けば,一意性と m−1<c<m が同時に出る。(2) は f′(x) の分子が (1) の左辺と一致することを見抜くのが得点源。(3) は am を ec/(mcm−1) に変形してから対数を取ると,主要項が −(m−1)logc であることが見えやすい。 主解法と第2解法を別々に再計算し、条件範囲、端点、等号成立条件まで照合した。
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出典: 九州大学 1999年度 前期 理系 第1問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。