方針
(1) は ex と2次式との差を、導関数の符号で評価する。下からの正値性は f′′(x)=ex−1>0 から、上からの x3 評価は h(x)=x3−f(x) を作り、h′′′(x)=6−ex>0 を使って示す。(2)では左端長方形和 Kn を等比数列で表し、e1/n=1+1/n+1/(2n2)+o(1/n2) に相当する評価を(1)から導く。誤差は (e−1)/(2n) 程度なので、最大の k は1になる。
解答
(1) f(x)=ex−(1+x+21x2) とおく。f(0)=0 であり、f′(x)=ex−1−x,f′′(x)=ex−1 である。0<x<1 では f′′(x)>0 なので f′(x)>f′(0)=0 であり、さらに f(x)>f(0)=0 である。よって f(x)>0 である。
次に h(x)=x3−f(x) とおく。すると h(0)=h′(0)=h′′(0)=0 であり、h′′′(x)=6−ex である。0<x<1 では ex<e<3 としてよいから h′′′(x)>0 である。したがって h′′(x)>0、h′(x)>0、h(x)>0 が順に従う。よって f(x)<x3 である。以上より 0<f(x)<x3(0<x<1) が示された。 x=1/n とすると 0<n2f(n1)<n2⋅n31=n1 である。はさみうちの原理よりn→∞limn2f(n1)=0である。
(2)
左端を高さにする長方形和はKn=n1j=0∑n−1ej/nである。これは等比数列の和なので Kn=n1⋅e1/n−1e−1=(e−1)e1/n−11/n である。一方∫01exdx=e−1である。
(1) より、h=1/n とおくと eh=1+h+21h2+εn で、n2εn→0 である。すなわち εn=o(1/n2) である。したがって e1/n−1=n1+2n21+εn であり、e1/n−11/n=1+1/(2n)+nεn1 となる。ここで nεn→0 だから1−e1/n−11/n=1+1/(2n)+nεn1/(2n)+nεnである。両辺に n を掛けると n(1−e1/n−11/n)→21 である。
よってn(∫01exdx−Kn)=(e−1)n(1−e1/n−11/n)→2e−1である。極限値は正の有限値なので、k=1 では有限値に収束する。一方、k=2 では上の差にさらに n を掛けることになり無限大へ発散する。したがって最大の自然数は k=1 で、そのときの極限値は 2e−1 である。
別解
解法2
方針
(1) では ex−1 の上下評価を積分して2次近似の誤差を挟む。
(2)では等比数列の厳密式に
e1/n=1+1/n+1/(2n2)+εn を代入し、
分母を払った式のまま極限を取る。
解答
(1)
f(0)=f′(0)=f′′(0)=0、f′′′(x)=ex>0 なので、
順に積分して f(x)>0 を得る。
一方 0<x<1 では ex<e<3 だからf′′′(x)<3<6=(x3)′′′.f と x3 は0で2階微分まで一致するので、
この不等式を3回積分して f(x)<x3 を得る。
よって0<n2f(n1)<n1,したがって極限は0である。
(2) Kn=n1j=0∑n−1ej/n=n(e1/n−1)e−1.εn=f(1/n) とおけば(1)より
n2εn→0 で、e1/n−1=n1+2n21+εn.したがってn{(e−1)−Kn}=(e−1)1+2n1+nεn21+n2εn⟶2e−1.誤差は正であるから絶対値を付けても同じである。
k=1 で正の有限値へ収束し、k≧2 ならさらに
nk−1 を掛けるため発散する。よってk=1,極限値 2e−1.
総評
指数関数の2次近似の誤差評価と、左端リーマン和の誤差を結びつける問題。難度は高め、計算量は中程度で、目安時間は25〜30分。(1)では名称だけで近似を使うのではなく、導関数の符号で 0<f(x)<x3 を証明する必要がある。(2)は Kn を等比数列の和に直すところが第一の山で、その後 e1/n−1 の2次までの形を使って誤差が 1/n 程度であることを示す。k=1 の極限が正であるため、k=2 以上は有限に収束しない、という最大性の確認を忘れないこと。
冊子PDFで見る九大の指数・対数の問題で問題集を作る
出典: 九州大学 2001年度 前期 理系 第5問(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。