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九州大学 2000年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第3問

nを自然数として,f(x)=k=1nxkkとおく.

(1) x<1において,f(x)=log(1x)0xtn1tdtが成り立つことを示せ.
ここで、log は自然対数を表す。

(2) x13とするとき,次の不等式が成り立つことを示せ.

(i) x0において,0xtn1tdt3xn+12(n+1)

(ii) x<0において,0xtn1tdtxn+1n+1

(iii) f(x)f(x)log1+x1x5xn+12(n+1)

(3) この不等式を用いて,log2の近似値を誤差が1100以下となるような分数で求めよ.

難易度7/ 10計算量7/ 10目安30

指数・対数積分数列 定積分評価、はさみうち、和の計算

方針

(1) は等比数列の有限和 1/(1t)=1+t++tn1+tn/(1t) を積分して示す。(2)は x1/3 の範囲で 1/(1t) を上から評価し、正の場合と負の場合で積分区間の向きに注意する。(iii)は(1)を xx に適用して余り積分の差にする。(3)では (1+x)/(1x)=2 となる x=1/3 を選び、奇数次だけが残る f(x)f(x) を使って log2 を近似する。

解答

(1) t<111t=1+t+t2++tn1+tn1t が成り立つ。これを 0 から x まで積分すると0x11tdt=k=1nxkk+0xtn1tdtである。左辺は log(1x) であり、中央の和は f(x) である。したがって f(x)=log(1x)0xtn1tdt である。

(2)
(i) 0x1/3 とする。この範囲では 0tx1/3 なので 11t111/3=32 である。よって00xtn1tdt320xtndt=3xn+12(n+1)である。

(ii) 1/3x<0 とする。積分区間の向きに注意すると0xtn1tdt=x0tn1tdtx0tn1tdtである。t0 では 1t=1t1 だから0xtn1tdtx0tndt=xn+1n+1である。

(iii) (1)を xx に適用する。 f(x)=log(1x)0xtn1tdt であり、f(x)=log(1+x)0xtn1tdt である。差を取るとf(x)f(x)log1+x1x=0xtn1tdt+0xtn1tdtである。

右辺の絶対値は、(i)(ii)の評価を合わせて3xn+12(n+1)+xn+1n+1=5xn+12(n+1)以下である。したがってf(x)f(x)log1+x1x5xn+12(n+1)である。

(3) 1+x1x=2 となる xx=13 である。n=3 とすると、(2)(iii)より誤差は 5(1/3)42(3+1)=5648<1100 である。

このとき f(13)f(13) では偶数次の項が消え、奇数次の項だけが2倍される。n=3 だからf(13)f(13)=2(13+13(13)3)=2(13+181)=5681である。よって log25681 とすれば、誤差は 1/100 以下である。

別解

解法2(奇数次対数級数と余項評価)

方針

有限等比級数を積分して誤差項を得る。
log2 については x=1/3 の奇数次級数を直接用い、
残りを等比級数で上から抑える。

解答

(1) 11t=j=0n1tj+tn1tを0から x<1 まで積分するとlog(1x)=f(x)+0xtn1tdt,従って所要の式を得る。

(2)
0tx1/3 では11t32だから0xtn1tdt3xn+12(n+1).1/3x<0 では 1t1 より0xtn1tdtxn+1n+1.(1)を x,x へ適用して三角不等式を使えばf(x)f(x)log1+x1x5xn+12(n+1).(3)log1+x1x=2j=0x2j+12j+1(x<1)である。x=1/3 とし、最初の2項を取ると2(13+1333)=5681.残りは0<2j=2(1/3)2j+12j+125j=2(13)2j+1=1540<1100.よって log2 の所要の近似分数は 56/81 である。

総評

難度は10段階中7、計算量は10段階中7。目安は30分。有限等比和の余りを積分する発想が(1)の中心であり、以後はその余りをどれだけ正確に抑えるかの問題になる。x<0 の場合は積分の向きと絶対値の扱いを丁寧に書くこと。log2 では x=1/3 を選ぶと、f(x)f(x) で偶数次が消えて計算が軽くなる。誤差評価を先に確認してから分数を出す流れが安全である。

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出典: 九州大学 2000年度 前期 理系 第3問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。