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九州大学 2000年度 前期日程 第2次学力試験 行列(問題が明示的に行列を扱う場合、または出題範囲が許す場合のみ)・方程式・不等式理系数学 第5問(c)

3次単位行列Eの第1行の2倍を第3行に加えた行列をPとする.

(1) QP=Eとなる行列Qを求めよ.

(2) 行列R=(a1a2a3a4b1b2b3b4c1c2c3c4)
について,S=PRを求めよ.

(3) 3×3行列A3×1行列Bが与えられているとき,
PAX=PBを満たす行列Xは,またAX=Bを満たすことを示せ.

(4) xyzを未知数とする連立1次方程式{3x2y+z=a3x+4y5z=b6x5y+4z=cの係数が作る行列をAとして,この方程式をAX=Bで表すとき,
この両辺に左からPをかけた連立1次方程式を書け.

(5) 上と同様の操作を繰り返すことにより,(4)で与えた連立1次方程式が解を持つための条件を求め,
解があるときはその解をすべて求めよ.

難易度6/ 10計算量6/ 10目安25

行列方程式・不等式 文字消去、計算整理、必要十分条件

方針

行基本変形を左から行列を掛ける操作として読む。(1)では第3行に第1行の 2 倍を加える操作の逆、つまり第3行に第1行の2倍を加える行列を求める。(2)は実際に左から掛けて第3行だけが変わることを確認する。(3)は逆行列 Q を左から掛ければ同値性が戻る。(4)(5)では拡大係数行列に同じ行基本変形を続け、最後の行が条件式を与えることを読む。

解答

(1)
3次単位行列の第1行の 2 倍を第3行に加えるのでP=(100010201)である。この操作の逆は、第1行の2倍を第3行に加える操作である。したがってQ=(100010201)であり、実際に QP=E となる。

(2)
左から P を掛けることは、第3行を 第3行2×第1行 に置き換えることである。したがってS=PR=(a1a2a3a4b1b2b3b4c12a1c22a2c32a3c42a4)である。

(3) PAX=PB が成り立つとする。両辺に左から Q を掛けると QPAX=QPB である。(1)より QP=E だから AX=B となる。したがって PAX=PB を満たす X は、もとの AX=B も満たす。

(4)
係数行列をA=(321345654),B=(abc)とする。左から P を掛けると、第3行から第1行の2倍を引くのでPA=(321345012),PB=(abc2a)である。したがって連立方程式は{3x2y+z=a,3x+4y5z=b,y+2z=c2aである。

(5)
(4)で得た連立方程式をさらに掃き出す。第1式と第2式を加えると 2y4z=a+b すなわち y2z=a+b2 である。一方、第3式は y+2z=c2a であり、これは y2z=2ac と同値である。したがって解をもつためには a+b2=2ac が必要である。整理して b+2c=3a である。

この条件が成り立つとき、z=t とおく。第3式から y=2z(c2a)=2t+2ac である。条件 b+2c=3a を用いると 2ac=a+b2 なので y=a+b2+2t である。第1式 3x2y+z=a に代入すると 3x2(a+b2+2t)+t=a であり、3x=2a+b+3t となる。したがって x=2a+b3+t である。

よって解をもつための条件は b+2c=3a であり、この条件が成り立つときの解は (x,y,z)=(2a+b3+t,a+b2+2t,t) である。ただし t は任意の実数である。

別解

解法2(拡大係数行列の掃き出し)

方針

P を第3行から第1行の2倍を引く基本行列として扱う。
最後は拡大係数行列を掃き出し、零行が与える整合条件と自由変数を読む。

解答

(1)
逆操作は第3行へ第1行の2倍を加えることなのでP=(100010201),Q=P1=(100010201).(2)PR=(a1a2a3a4b1b2b3b4c12a1c22a2c32a3c42a4).(3)
PAX=PB の両辺へ Q=P1 を左から掛ければ AX=B である。

(4)
第3式から第1式の2倍を引いて{3x2y+z=a,3x+4y5z=b,y+2z=c2a.(5)
第1行と第2行を加え、第3行と比べるとy2z=a+b2,y2z=2ac.従って整合条件はb+2c=3a.この条件のもとで z=t とすれば(x,y,z)=(2a+b3+t,a+b2+2t,t)(tR).

総評

難度・計算量はいずれも10段階中6。目安25分。P を行基本変形と読めばよい。(3)は逆行列 Q による同値性、(5)は同じ左辺 y2z から整合条件 b+2c=3a を得る。自由変数を置いた後、元の式で検算する。

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出典: 九州大学 2000年度 前期 理系 第5問(c)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。