方針
この形の行列を掛けると、対角成分が等しく、非対角成分も等しい形が保たれる。そこで成分を と見て、行和 と差 を調べると、それぞれ , になる。(2)はこの考えを4乗で確認し、(3)は帰納法で一般の に広げる。(4)では から , となり、 を使って極限を出す。
解答
(1)
二項展開により であり、 である。
(2) と同じ形の行列どうしを掛けると、再びの形になる。 をとおく。
この行列の各行の和は である。一方、 の各行の和は なので、4回掛けると行和は となる。また、1行目の成分の差は であり、 ではその差が なので、同様に となる。
したがって である。よってである。
(3)
自然数 に対してであることを示す。 のとき、右辺はとなり成り立つ。
ある で成り立つとする。右辺の対角成分を 、非対角成分を とすれば である。これに を右から掛けた の対角成分を 、非対角成分を とすると である。よって かつ である。したがってとなり、 でも同じ形が成り立つ。以上より公式が示された。
(4) であるから である。(3)より、 の 成分は である。 より であるからである。したがってである。
和方向と差方向
別解
解法2
方針
と置き、, を使う。二項展開の偶数次・奇数次を分ければ一般の が直接得られる。
解答
(1) (2)と置くと , である。偶数次と奇数次を分ければ(3)
同じ二項展開を一般の で行うと(4)
のとき より だから
総評
難度5、計算量5。目安時間は18〜23分。対角化などを持ち出さなくても、行和と成分差を見るだけで十分に解ける。採点上は(3)の一般公式を「同様に」と済ませず、 の確認と帰納法の一歩を示すことが大切である。(4)は から が出る点が核心で、 が負の場合でも累乗は0に近づくことを明記したい。