方針
(1) は から逆行列を掛けて を得る。(2)は を4成分で書き、さらに を使って全成分に共通する因子 を取り出す。零行列でない条件から が必要になり、逆も直接確認する。(3)は(1)(2)でべき等行列を分類し、対角成分の和が なら2、それ以外なら1であることを使う。
解答
(1) であるから、 には逆行列が存在する。 の両辺に左から を掛けると である。したがってである。
(2) とする。 を成分で書くとである。また仮定より すなわち である。
これを上の4式に代入して整理するととなる。 がべき等行列なら、定義より零行列ではない。したがって の少なくとも1つは0でないので、上の4式から が必要である。すなわち である。
逆に、 かつ とする。このとき であり である。同様に となるから が成り立つ。また なので零行列ではない。
よって必要十分条件は である。
(3)
まず(1)(2)から、べき等行列の対角成分の和を調べる。行列が なら対角成分の和は である。 でないべき等行列は、(1)より行列式が0であり、(2)より対角成分の和は である。
ここで、もし なら である。一方 なので、 がべき等行列なら となり を得る。これは がべき等行列であることに反する。したがって である。同様に である。
よって と はどちらも対角成分の和が である。したがって の対角成分の和は である。 はべき等行列である。もし なら、上で見た分類により対角成分の和は でなければならない。しかし実際には であるから矛盾する。したがって である。
実際にそのような例としてを取れば、、、かつ である。
別解
解法2(2次行列の恒等式)
方針
2次行列が満たす
を成分計算で確認して用いる。
べき等条件と比較すると、行列式0の非零解は対角和1に分類できる。
解答
2次行列 について成分を掛ければが確かめられる。
(1)
なら の両辺に を掛けて(2)
のとき上の恒等式は かつ であるための必要条件は逆に なら恒等式から であり、
対角和が1なので零行列でもない。よって必要十分条件は である。
(3)
なら と から となり、
に反する。よって であり、(2)から両者の対角和は1。
したがって の対角和は2である。
もべき等行列である。これが でなければ、(2)により
対角和は1でなければならず矛盾する。よって例としてがある。
総評
難度6、計算量6。目安時間は
24〜30分。
主題は行列(問題が明示的に行列を扱う場合、または出題範囲が許す場合のみ)である。解法1では誘導に沿った標準的な答案を、解法2では
異なる見方から全小問を再構成した。採点では、途中の必要条件を十分条件まで戻すこと、
場合分けの境界・等号条件・定義域を明記することが重要である。