Evolton

九州大学 2009年度 後期日程 第2次学力試験(数学理系)理系(後期)数学 第4問

Qは次の規則で数直線上の負でない整数の上を正の方向へ動くものとする.
ただしnは負でない整数とする.

(a) 時刻0では点Qは原点にある.

(b) 点Qが時刻Tで座標2nにあるとき,
時刻T+1には確率12で座標2n+1へ移動し,
確率12で座標2n+2へ移動する.

(c) 点Qが時刻Tで座標2n+1にあるとき,
時刻T+1には確率1で座標2n+2へ移動する.

Qが時刻Tで座標jにある確率をP(T,j)と書くことにする.以下の問いに答えよ.

(1) すべての自然数jに対してP(2,j)を求めよ.

(2) Tjが自然数であるとき,P(T,j)=0となる条件をTjを用いて表せ.

(3) Tが自然数であるときP(T,2n)を求めよ.

難易度7/ 10計算量5/ 10目安27

確率数列 状態分類数え上げ確率漸化式

方針

偶数点にいるときだけ選択があり,偶数点2rから次の偶数点2r+2へは,1回で進む短いブロックと,奇数点を経由して2回で進む長いブロックの2種類がある.(1)(2)は小さい時刻と到達可能範囲を確認する.(3)は座標2nまでに偶数点間のブロックをn個終えると考え,全時刻Tにするには長いブロックがTn個必要であることから組合せで数える.

解答

(1)

時刻0ではQは0にある.0は偶数点なので,時刻1には 1または2 にそれぞれ確率1/2でいる.

時刻1で1にいる場合,1は奇数点なので時刻2には必ず2に進む.時刻1で2にいる場合,2は偶数点なので時刻2には3または4にそれぞれ確率1/2で進む.したがってP(2,2)=12,P(2,3)=1212=14,P(2,4)=1212=14である.それ以外の自然数jについては到達できないのでP(2,2)=12,P(2,3)=14,P(2,4)=14,その他は 0である.

(2)

1回の移動による増加量は1または2なので,到達できるならTj2Tが必要である.以下,この不等式を満たすjには実際に正の確率で到達できることを,jの偶奇に分けて示す.

j=2n のとき,後述の「偶数点から次の偶数点まで」を1ブロックと考える.n個のブロックの所要時間は,各ブロックが1回または2回なので,nから2nまでのすべての整数値を取る.したがってnT2nのとき,かつそのときに限って P(T,2n)>0 である.これは T2n2T と同値である.

j=2n+1 のとき,最後の1回は偶数点 2n から 2n+1 への移動でなければならない.よってP(T,2n+1)>0であることは,時刻 T12n にいる確率が正であることと同値である.偶数の場合の結果からnT12n.これはT2n+12Tと同値である.

以上より,偶数・奇数のどちらでもP(T,j)>0Tj2T.したがってP(T,j)=0j<T または j>2T.(3)

偶数点2rから次の偶数点2r+2へ進む方法を1つのブロックとして見る.方法は次の2種類である. 2r2r+2 と1回で進む場合,確率は1/2である.また 2r2r+12r+2 と2回で進む場合も,最初に奇数点へ進む確率が1/2,その後は確率1で進むので,全体の確率は1/2である.

座標2nに到達するには,この偶数点間ブロックをちょうどn個完了する必要がある.n個のうち,2回かかる長いブロックがr個,1回で進む短いブロックがnr個あるとすると,全体の時刻は 2r+(nr)=n+r である.これがTに等しいためには r=Tn でなければならない.したがって0Tnn,すなわち nT2n のときだけ可能である.

そのとき,長いブロックをn個中 Tn 個選ぶ方法はn!(Tn)!(2nT)!通りである.各ブロックは,短い場合も長い場合も最初の選択の確率が 1/2 なので,指定したn個の並びが生じる確率は 1/2n である.よってP(T,2n)={n!(Tn)!(2nT)!2n,nT2n,0,それ以外.偶数点間の2種類のブロック

総評

難度7,計算量5,目安時間27分.偶数点から次の偶数点までを,所要時間1または2・確率はいずれも 1/2 のブロックとして捉える.(2)の十分性は増分1・2を自由に並べるだけでは規則を保証できないため,偶数座標と奇数座標に分けて厳密に証明した.(3)は長いブロックを選ぶ組合せを階乗表示し,図でも2種類の遷移を確認できる.

冊子PDFで見る九大の確率の問題で問題集を作る

出典: 九州大学 2009年度 後期 理系(後期) 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。