Evolton

九州大学 2009年度 後期日程 第2次学力試験(数学理系)理系(後期)数学 第5問

f(x)x0で定義された連続な関数とし,abを正の定数とする.
このとき,f(x)x00f(x)a+b0xf(t)dtの関係を満たすものとする.以下の問いに答えよ.

(1) 関数gをg(x)=0xf(t)dtと定めるとき,ddx{g(x)ebx}aebxが成立することを示せ.

(2) f(x)aebxが成立することを示せ.

(3) F(x)xについて連続な関数で,任意の二つの実数αβに対して,
次の関係を満たすものとする.F(α)F(β)αβさらに,x0で定義された二つの連続な関数y(x)z(x)は次の関係式を満たすものとする.y(x)=0xF(y(t))dt,z(x)=0xF(z(t))dtこのとき,h(x)=y(x)z(x)とおけば,h(x)0xh(t)dtが成立することを示せ.

(4) x0y(x)=z(x)であることを証明せよ.

難易度7/ 10計算量5/ 10目安28

積分論証・証明 不等式評価定積分評価、存在証明

方針

(1) (2)はgをfの0からxまでの積分として定め,仮定を g(x)a+bg(x) に変える.ebx を掛けると左辺が積の微分になるので,積分してgを評価し,元の仮定へ戻してfを評価する.(3)はyとzの差を積分表示し,Fの条件から絶対値を積分で押さえる.(4)は(2)と同じ不等式評価をhに適用し,h0 と合わせて h=0 を示す.

解答

(1) g(x)=0xf(t)dtとおくと,fは連続なので g(x)=f(x) である.仮定は0f(x)a+b0xf(t)dtであるから,g(x)a+bg(x) と書ける.したがって g(x)bg(x)a である.

ここでddx{g(x)ebx}=g(x)ebxbg(x)ebx={g(x)bg(x)}ebxだから,ebx>0より ddx{g(x)ebx}aebx が成り立つ.

(2)

(1) の不等式を0からxまで積分する.g(0)=0 であるからg(x)ebxg(0)0xaebtdtすなわち g(x)ebxab(1ebx) である.よって g(x)ab(ebx1) となる.

仮定f(x)a+bg(x)に戻すと f(x)a+bab(ebx1)=aebx である.したがって f(x)aebx が示された.

(3)

与えられた積分方程式からy(x)z(x)=0x{F(y(t))F(z(t))}dtである.両辺の絶対値を取ると,三角不等式によりy(x)z(x)0xF(y(t))F(z(t))dtである.さらにFの条件 F(α)F(β)αβα=y(t),β=z(t)に適用すると F(y(t))F(z(t))y(t)z(t)=h(t) である.したがってh(x)=y(x)z(x)0xh(t)dtが成り立つ.

(4)

(3) より0h(x)0xh(t)dtである.ここで(2)の証明はa=0,b=1の場合にもそのまま成り立つ.実際,f=ha=0b=1として同じ議論を用いると h(x)0ex=0 となる.一方でh(x)0だから h(x)=0 である.よって y(x)z(x)=0 であり,すべてのx0y(x)=z(x) が成り立つ.

別解

別解((4)の反復評価)

方針

(3) の不等式を自分自身へ繰り返し代入する.有限区間でのhの最大値をHと置くと,n重積分から h(x)Hxn/n! が得られ,n で0になる.

解答

(1)

g(x) に積分因子 ebx を掛ける解法1の計算によりddx{g(x)ebx}aebx.(2)

(1) を0からxまで積分して g(x)a(ebx1)/b を得る.これを元の仮定へ戻すとf(x)aebx.(3)

2つの積分方程式の差を取り,Fの条件を使えばh(x)=y(x)z(x)0xh(t)dt.(4)

任意に X>0 を固定する.hは [0,X] で連続だから,最大値H=max0tXh(t)を持つ.(3)より,0xXh(x)0xh(t1)dt1.右辺のhにも同じ不等式を代入し,これをn回繰り返すとh(x)0x0t10tn1h(tn)dtndt2dt1Hxnn!を得る.

固定したxに対して xn/n!0 であるから,n とすれば0h(x)0.よって h(x)=0 であり,[0,X]y(x)=z(x) が成り立つ.Xは任意なので,すべての x0y(x)=z(x)である.

総評

難度7,計算量5,目安時間28分.(1)(2)は積分因子 ebx による不等式評価,(3)は絶対値とFのリプシッツ条件の適用である.(4)には,(2)を a=0,b=1 として使う解法と,有限区間上の最大値から h(x)Hxn/n! を得る反復評価の別解を収録した.後者は一意性が生まれる仕組みを直接示している.

冊子PDFで見る九大の積分の問題で問題集を作る

出典: 九州大学 2009年度 後期 理系(後期) 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。