Evolton

九州大学 2009年度 前期日程 第2次学力試験(数学理系)理系数学 第2問

kは2以上の自然数とする.
「1」と書かれたカードが1枚,「2」と書かれたカードが2枚,…,「k」と書かれたカードがk枚ある.
そのうちの偶数が書かれたカードの枚数をM,奇数が書かれたカードの枚数をNで表す.
この(M+N)枚のカードをよくきって1枚を取り出し,
そこに書かれた数を記録してもとに戻すという操作をn回繰り返す.
記録されたn個の数の和が偶数となる確率をpnとする.
次の問いに答えよ.

(1) p1p2MNで表せ.

(2) pn+1pnMNで表せ.

(3) MNM+Nkで表せ.

(4) pnnkで表せ.

難易度6/ 10計算量5/ 10目安22

確率場合の数 確率漸化式、場合分け、式変形、期待値、独立性の利用

方針

記録された数の和の偶奇だけを見る.偶数カードを引くと偶奇は変わらず,奇数カードを引くと偶奇が反転するので,pnについて一次漸化式が立つ.M,Nはkの偶奇で分けて,偶数ラベルのカード総数と奇数ラベルのカード総数を和で計算する.漸化式はpn1/2の形に直すと等比数列になる.初期値は0回の和が偶数であることを使うと簡潔である. M,Nはカードの種類数ではなくカード枚数である点を最初に固定する.

解答

(1)

全カード枚数はM+Nである.1回だけ取り出すとき,記録された和が偶数になるのは偶数が書かれたカードを引くときである.したがって p1=MM+N である.

2回取り出すとき,和が偶数になるのは,偶数を2回引く場合,または奇数を2回引く場合である.毎回カードは戻すので各回は同じ確率であり,p2=M2+N2(M+N)2 である.

(2) n回までの和が偶数で,n+1回目に偶数カードを引けば,和は偶数のままである.また,n回までの和が奇数で,n+1回目に奇数カードを引けば,和は偶数になる.したがって pn+1=MM+Npn+NM+N(1pn) である.

(3) kが偶数の場合,k=2mとおく.偶数が書かれたカードの枚数は M=2+4++2m=2m(m+1)2=m(m+1) であり,奇数が書かれたカードの枚数は N=1+3++(2m1)=m2 である.よってMNM+N=mm(m+1)+m2=12m+1=1k+1である. kが奇数の場合,k=2m1とおく.偶数が書かれたカードの枚数は M=2+4++2(m1)=m(m1) であり,奇数が書かれたカードの枚数は N=1+3++(2m1)=m2 である.したがってMNM+N=mm(m1)+m2=12m1=1kである.

(4)

(2) を整理するとpn+1=NM+N+MNM+Npnである.両辺から1/2を引くとpn+112=MNM+N(pn12)となる.

0回の記録では和は0で偶数だから,p0=1と考えることができる.したがって p012=12 であり,pn12=12(MNM+N)n である.よって pn=12+12(MNM+N)n である.

(3) の結果を代入してpn={12+12(1k+1)n(k が偶数),12+12(1k)n(k が奇数)である.

別解

解法2

方針

各回に偶数カードを引いたら +1,奇数カードを引いたら 1 となる変数を対応させる.その積が +1 であることと,記録和が偶数であることは同値である.積の平均を独立性から計算すると,2pn1 を直接求められる.

解答

(1)

偶数カードを引く確率をu=MM+N,奇数カードを引く確率を v=NM+Nとする.1回ではp1=u=MM+N.2回の和が偶数であるのは偶数2回または奇数2回だからp2=u2+v2=M2+N2(M+N)2.(2)

n回までの和が偶数で次に偶数を引く場合と,奇数で次に奇数を引く場合を加えてpn+1=upn+v(1pn)である.

(3)

k=2m のときM=2+4++2m=m(m+1),N=1+3++(2m1)=m2だからMNM+N=1k+1.k=2m1 のときM=m(m1),N=m2だからMNM+N=1k.(4)

i 回目に偶数カードを引いたら Ei=1,奇数カードを引いたら Ei=1 とする.積E1E2Enは,奇数カードを引いた回数が偶数,すなわち記録和が偶数のとき 1,それ以外では 1 である.したがってこの積の平均はpn(1pn)=2pn1.一方,各回は独立でEi の平均=uv=MNM+Nだから,積の平均は(MNM+N)nである.よってpn=12+12(MNM+N)n.(3)を代入するとpn={12+12(1k+1)n(k が偶数),12+12(1k)n(k が奇数)である.

総評

難度6,計算量5,目安時間22分.偶奇2状態の確率漸化式と,値が ±1 の変数の積の平均を使う直接法を収録した.M,N はカードの種類数ではなく枚数であり,kの偶奇で和を分ける.最終式の符号がkの奇数時だけ (1/k)n になることを確認する.

冊子PDFで見る九大の確率の問題で問題集を作る

出典: 九州大学 2009年度 前期 理系 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。