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九州大学 2010年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第5問

実数を成分とする2次正方行列A=(abcd)を考える。平面上の点 P(x,y) に対し、点 Q(X,Y)(XY)=(abcd)(xy)により定める。このとき、次の問いに答えよ。

(1) P が放物線 y=x2 全体の上を動くとき、Q が放物線 9X=2Y2 全体の上を動くという。このとき、行列 A を求めよ。

(2) P が放物線 y=x2 全体の上を動くとき、Q は常に円 X2+(Y1)2=1 の上にあるという。このとき、行列 A を求めよ。

(3) P が放物線 y=x2 全体の上を動くとき、Q がある直線 L全体の上を動くための a,b,c,d についての条件を求めよ。また、その条件が成り立っているとき、直線 L の方程式を求めよ。

難易度7/ 10計算量7/ 10目安22

行列図形と方程式 恒等式比較必要十分条件文字消去

方針

Pが放物線y=x2上を動くので,P=(x,x2)とおいてQ=(X,Y)=(ax+bx2,cx+dx2)と表す。軌跡が指定された曲線上にある条件はxの恒等式として係数比較する。(1)では放物線上に「乗る」だけでなく「全体を動く」ためにYが全実数を動く条件c0を確認する。(3)ではQ=x(a,c)+x2(b,d)が直線全体を動くため,二次項が残ると値域が半直線型になり全体にはならないことまで示す。

解答

(1)

Py=x2上を動くので,P=(x,x2) とおく。このとき X=ax+bx2,Y=cx+dx2 である。Qが放物線9X=2Y2上にあるためには,すべての実数xについて 9(ax+bx2)=2(cx+dx2)2 が成り立つ必要がある。展開すると 9ax+9bx2=2c2x2+4cdx3+2d2x4 である。係数を比較して 9a=0,9b=2c2,4cd=0,2d2=0 を得る。したがって a=0,d=0,b=2c29 である。

さらに,Qが放物線9X=2Y2の全体を動くには,Y=cxがすべての実数値を取る必要がある。したがってc0である。よってA=(02c29c0)(c0)である。このときY=cxは全実数を動き,X=2Y2/9となるので,確かに放物線全体が得られる。

(2)

円の条件は X2+(Y1)2=1 すなわち X2+Y22Y=0 である。X=ax+bx2Y=cx+dx2を代入すると (ax+bx2)2+(cx+dx2)22(cx+dx2)=0 がすべてのxで成り立つ。

x4の係数から b2+d2=0 である。b,dは実数なので b=0,d=0 である。すると恒等式は (a2+c2)x22cx=0 となる。xの係数よりc=0,さらにx2の係数よりa=0である。したがってA=(0000)である。このときQ=(0,0)であり,確かに円X2+(Y1)2=1上の点である。

(3)

P=(x,x2)に対して Q=(X,Y)=x(a,c)+x2(b,d) である。x=0のときQ=(0,0)だから,Qが動く直線Lは原点を通る直線でなければならない。

まずb=d=0かつ(a,c)(0,0)なら Q=x(a,c) である。xはすべての実数を動くので,Qは原点を通り方向ベクトル(a,c)をもつ直線全体を動く。この直線は cXaY=0 で表される。

逆に,Qがある直線全体を動くとする。するとすべてのQ=x(a,c)+x2(b,d)は同じ一本の原点を通る直線上にあるので,(a,c)(b,d)は同じ方向を向くか,どちらかが零ベクトルでなければならない。もし(b,d)(0,0)なら,その直線上の座標は αx+βx2(β0) という二次式で表される。二次式の値域は下または上に限界をもつため,直線全体を動くことはできない。したがって (b,d)=(0,0) でなければならない。さらに(a,c)=(0,0)ならQは原点だけにとどまり,直線全体を動かない。よって必要十分条件は b=d=0,(a,c)(0,0) である。

別解

方針

P=(t,t2) と置き、像を Q(t)=t(a,c)+t2(b,d) と見る。(1)(2)は恒等式の係数比較で決める。(3)では2つの係数ベクトルが直線方向に並ぶことと、非定数二次式の値域が全実数にはならないことを組み合わせる。

解答

(1) Q(t)=(at+bt2, ct+dt2)9X=2Y2 へ代入し、t の恒等式として係数比較するとa=d=0,b=2c29を得る。放物線全体を動くには Y=ct が全実数を動く必要があるから c\neqq0 である。よってA=(02c29c0)(c\neqq0)である。

(2)

X2+Y22Y=0 へ代入する。t4 の係数は b2+d2 なので b=d=0 である。残りは(a2+c2)t22ct=0であり、係数比較から a=c=0 を得る。したがって零行列だけが条件を満たす。

(3)

Q(t) が原点を通る1本の直線上にあるなら、ベクトルu=(a,c),v=(b,d)は同一直線方向にある。v\neqq0 の場合、適当な方向ベクトル w と実数 α,β を用いてQ(t)=(αt+βt2)w,β\neqq0と書ける。しかし非定数二次式 αt+βt2 の値域には上限または下限があり、直線全体を動けない。u=0, v\neqq0 の場合も t2v は半直線しか動かない。

したがって必要なのはv=0,u\neqq0すなわちb=d=0,(a,c)\neqq(0,0)である。このとき Q(t)=t(a,c) は実際に直線全体を動き、その方程式はcXaY=0である。

総評

難度7、計算量7。係数比較自体は標準的だが,「曲線上にある」と「曲線全体を動く」の違いが難所である。(1)ではc=0を許すと一点だけになってしまうためc0が必要であり,(3)では二次式の値域が全実数にならないことを説明する必要がある。目安時間は22分前後で,必要条件だけで終わらず,得た行列が本当に条件を満たすことまで確認したい。

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出典: 九州大学 2010年度 前期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。