Evolton

九州大学 2012年度 後期日程 第2次学力試験理系(後期)数学 第5問

数直線上に2点X1X2を取り,それぞれの座標をa1およびa2とする。ただし,0<a1<a2とする。
線分X1X2s:1sに内分する点をX3,線分X2X3s:1sに内分する点をX4
同様に自然数kに対して線分XkXk+1s:1sに内分する点をXk+2とする。ただし,0<s<1とする。
このとき,以下の問いに答えよ。

(1) 2点X2n1X2nの座標を並べて
ベクトル(a2n1a2n)で表し,(a2n+1a2n+2)=A(a2n1a2n)と書くとき,行列Asを用いて表せ。ただし,nは自然数である。

(2) 行列PP=(11s11)とし,行列BB=P1APとする。行列Bを求めよ。

(3) 座標a2n+1およびa2n+2nsa1a2を用いて表せ。

(4)Xkの座標akの極限limkakを求めよ。

難易度7/ 10計算量6/ 10目安30

行列数列 漸化式の変形、計算整理、極限計算

方針

内分点の定義から3項間漸化式を立て、奇数番目と偶数番目を2項ずつまとめて行列 A を作る。与えられた P の2列がA の固有ベクトルであることを AP=PB で確認し、An=PBnP1 から一般項と極限を求める。

解答

(1)
線分 XkXk+1s:1s に内分する点が Xk+2 であるから、座標について ak+2=(1s)ak+sak+1 が成り立つ。

したがって a2n+1=(1s)a2n1+sa2n であり、さらに a2n+2=(1s)a2n+sa2n+1 である。第2式に第1式を代入すると a2n+2=s(1s)a2n1+{1s+s2}a2n となる。

よって(a2n+1a2n+2)=(1sss(1s)1s+s2)(a2n1a2n)であるからA=(1sss(1s)1s+s2)である。

(2) P=(11s11)であり、detP=1(s1)=2s である。0<s<1 だから 2s0 であり、P は逆行列をもつ。

計算するとAP=((1s)21(1s)31)=P((1s)2001)である。したがってB=P1AP=((1s)2001)である。

(3)
(1)(2)より(a2n+1a2n+2)=An(a1a2)=PBnP1(a1a2)である。

まずP1=12s(111s1)であるからP1(a1a2)=12s(a1a2(1s)a1+a2)である。またBn=((1s)2n001)である。

したがって(a2n+1a2n+2)=12s(11s11)((1s)2n(a1a2)(1s)a1+a2)である。よって a2n+1=a2+(1s)a1+(1s)2n(a1a2)2s, a2n+2=a2+(1s)a1(1s)2n+1(a1a2)2s である。

(4)
0<s<1 だから 0<1s<1 である。したがって (1s)2n0,(1s)2n+10 である。(3)の式から、奇数番目も偶数番目も同じ値に収束し、limkak=a2+(1s)a12s である。

別解

解法2(隣接差の等比数列)

方針

(1) (2)で指定された行列を確認した後、(3)(4)ではdk=ak+1ak とおく。隣接差が公比 (1s) の等比数列になるので、その和から ak を直接求める。極限は 0<1s<1 を使って指数項を消す。

解答

(1)
内分点の公式よりak+2=(1s)ak+sak+1である。したがってa2n+1=(1s)a2n1+sa2n,a2n+2=s(1s)a2n1+(1s+s2)a2n,なのでA=(1sss(1s)1s+s2).(2)
問題で与えられたP=(11s11)について直接計算するとAP=P((1s)2001).0<s<1 では detP=2s0 だから、B=P1AP=((1s)2001).(3)
ここからは行列の累乗を使わず、隣り合う差dk=ak+1akを考える。漸化式よりdk+1=ak+2ak+1=(1s)ak(1s)ak+1=(1s)dk.したがってdk={(1s)}k1(a2a1).これを d1,,dk1 について加えるとak=a1+(a2a1)j=0k2{(1s)}j=a2+(1s)a1(a2a1){(1s)}k12s.よって k=2n+1,2n+2 を代入すればa2n+1=a2+(1s)a1+(1s)2n(a1a2)2s,a2n+2=a2+(1s)a1(1s)2n+1(a1a2)2s.(4)
0<1s<1 なので、(3)の指数項は k で0に収束する。
したがってlimkak=a2+(1s)a12s.

総評

内分点で作る3項間漸化式を、2項ベクトルの対角化と隣接差の等比数列という2方向から解く問題である。目安時間は30分。(1)では内分比 s:1s から係数が 1s,s になること、(2)では AP=PB を成分まで確認することが重要である。(3)の指数と符号は、別解の一般式へ k=2n+1,2n+2 を代入して相互検算できる。

冊子PDFで見る九大の行列の問題で問題集を作る

出典: 九州大学 2012年度 後期日程 理系 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。