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九州大学 2014年度 後期日程 第2次学力試験理系(後期)数学 第1問

行列A=14(5335)
B=(20012)について
以下の問いに答えよ。

(1) abcdを実数とする。
行列T=(abcd)
AT=TBかつadbc=1を満たすとき,
bcdをそれぞれaを用いて表せ。

(2) xy平面内の点Pn(αn,βn)(αnβn)=A(αn1βn1),n=1,2,3,で定める。ただし,α0=1β0=0とする。
このときαnおよびβnを求めよ。
また,点Pnを通り,y=xで与えられる直線lと直交する直線mの方程式を求めよ。

(3) 直線lと直線mの交点をQnとし,PnQnの距離をdnとする。
このときlimndnを求めよ。

難易度5/ 10計算量5/ 10目安20

行列数列 恒等式比較漸化式の変形極限計算

方針

(1)AT=TB を成分比較し、c=ad=b まで出してから adbc=1b,d を決める。(2) は αn+βnαnβn を考えると、行列 A による変化がそれぞれ2倍、1/2倍になることを使う。これにより αn,βn を明示し、直線 m は傾き 1Pn を通る直線として求める。(3) は l:y=xm の交点を出し、2点間距離の極限を取る。

解答

(1) T=(abcd)とする。まずAT=14(5335)(abcd)=14(5a+3c5b+3d3a+5c3b+5d)である。一方TB=(abcd)(2001/2)=(2ab/22cd/2)である。 AT=TB より成分を比較すると 5a+3c=8a,5b+3d=2b, 3a+5c=8c,3b+5d=2d である。これらから c=a,d=b を得る。さらに adbc=1c=a,d=b を代入すると a(b)ba=2ab=1 である。したがって a0 であり、b=12a,c=a,d=12a である。よって b=12a,c=a,d=12a である。

(2) (αnβn)=14(5335)(αn1βn1)よりαn=5αn1+3βn14,βn=3αn1+5βn14である。和と差を取ると αn+βn=2(αn1+βn1) であり、αnβn=12(αn1βn1) である。初期値 α0=1,β0=0 から α0+β0=1,α0β0=1 なので αn+βn=2n,αnβn=2n である。したがってαn=2n+2n2,βn=2n2n2である。

直線 l:y=x と直交する直線は傾き 1 である。点 Pn(αn,βn) を通るので yβn=(xαn) すなわち x+y=αn+βn=2n である。よって m:x+y=2n である。

(3)

直線 l:y=xm:x+y=2n の交点 QnQn=(2n1,2n1) である。したがってQnPn=(2n+2n22n1,2n2n22n1)=(2n1,2n1)である。よって dn=(2n1)2+(2n1)2=2n2 である。したがって limndn=0 である。

別解

解法2((1)を用いる行列分解)

方針

(1) で得た T のうち a=1/2 を選ぶと、列ベクトルの長さが1で互いに直交する行列になる。AT=TB から A=TBT1、したがって An=TBnT1 として漸化式を一度に解く。最後は点と直線 y=x の距離公式で極限を求める。

解答

(1) AT=TB を成分比較すると c=a,d=b である。さらに adbc=1 より 2ab=1 だからb=12a,c=a,d=12aである。

(2) a=1/2 を選べばT=12(1111),T1=12(1111)となる。AT=TB より A=TBT1 だからAn=TBnT1=12(2n+2n2n2n2n2n2n+2n)である。初期ベクトルは (1,0)T なのでαn=2n+2n2,βn=2n2n2を得る。また Pn を通り y=x と直交する直線はm:x+y=αn+βn=2nである。

(3) QnPn から直線 y=x へ下ろした垂線の足である。よって点と直線の距離公式からdn=αnβn2=2n2であり、limndn=0である。

総評

難度5、計算量5。目安時間は20分。行列の成分比較と、和・差への変換を組み合わせる問題である。(1) は AT=TB から c=a,d=b が出るので、最後に行列式条件で b を決めればよい。(2) では αn±βn を作ると漸化式が一気に分離し、計算が短くなる。直線 m は傾きで考えるより、x+y=αn+βn とまとめると(3)の交点もすぐ出る。距離計算では差が 2n1 になる点を丁寧に確認したい。 第2解法では(1)の行列Tを実際に用いてAの累乗を計算し、距離公式で結論を得た。

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出典: 九州大学 2014年度 後期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。