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九州大学 2016年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第3問

座標平面上で円x2+y2=1に内接する正六角形で,点P0(1,0)を1つの頂点とするものを考える。
この正六角形の頂点をP0から反時計まわりに順にP1,P2,P3,P4,P5とする。
ある頂点に置かれている1枚のコインに対し,1つのサイコロを1回投げ,
出た目に応じてコインを次の規則にしたがって頂点上を動かす。

(規則)

(i) 1から5までの目が出た場合は,出た目の数だけコインを反時計まわりに動かす。
例えば,コインがP4にあるときに4の目が出た場合はP2まで動かす。

(ii) 6の目が出た場合は,x軸に関して対称な位置にコインを動かす。
ただし,コインがx軸上にあるときは動かさない。
例えば,コインがP5にあるときに6の目が出た場合はP1に動かす。

はじめにコインを1枚だけP0に置き,1つのサイコロを続けて何回か投げて,
1回投げるごとに上の規則にしたがってコインを動かしていくゲームを考える。
以下の問いに答えよ。

(1) 2回サイコロを投げた後に,コインがP0の位置にある確率を求めよ。

(2) 3回サイコロを投げた後に,コインがP0の位置にある確率を求めよ。

(3) nを自然数とする。
n回サイコロを投げた後に,コインがP0の位置にある確率を求めよ。

難易度4/ 10計算量3/ 10目安8

確率 状態分類対称性の利用数え上げ

方針

現在どの頂点にいても、次の1回で P0 に移るサイコロの目がちょうど1つだけあることを確認する。すると、直前の位置の分布がどのようなものでも、次の1回で P0 にいる条件付き確率は常に 1/6 である。全確率の考え方で、2回後・3回後・一般の n 回後を同じ理由で処理する。

解答

各頂点から、次の1回で P0 に移る目を調べる。

P0 にいるときは、6の目が出ると x 軸に関して対称な位置、すなわち P0 自身にとどまる。1から5の目では P0 以外へ移るので、P0 から P0 へ移る目は6だけである。

Pj (j=1,2,3,4,5) にいるときは、1から5の目で反時計まわりに進む。Pj から P0 に戻るには、頂点番号を6で割った余りで考えて j+r0(mod6) となる目 r が必要である。これは現在位置P1P2P3P4P5P0へ移る目54321のように、各頂点でちょうど1つずつ存在する。6の目による対称移動は、P1P5P2P4 を入れ替え、P3 は動かさないので、これも上の唯一性を崩さない。

したがって、ある回の直前にどの頂点にいても、次の1回で P0 にいる確率は常に 16 である。

(1)

1回投げた後の位置がどこであっても、2回目で P0 に移る確率は 1/6 である。よって 16 である。

(2)

2回投げた後の位置がどこであっても、3回目で P0 に移る確率は 1/6 である。したがって3回後に P0 にある確率も 16 である。

(3)

n は自然数である。n1 回投げた後の位置がどの頂点であっても、次の1回で P0 に移る目はちょうど1つである。よって全確率を足し合わせると、n 回後に P0 にある確率はj=05P(n1回後にPjにいる)16=16j=05P(n1回後にPjにいる)=16である。したがって 16 である。

別解

解法2

方針

1回後に6頂点へ一様に分布することを示し,その一様分布が次の1回でも保たれることを帰納的に証明する。各目による移動が頂点集合の置換であるため,どの到着頂点にも同じ総確率が流れ込む。

解答

最初の位置は P0 である。1から5の目ではそれぞれP1,P2,P3,P4,P5へ移り,6の目では P0 にとどまる。したがって1回後には6頂点のどこにいる確率も 1/6 であり,一様に分布している。

この一様分布が1回の操作で保たれることを示す。到着先 Pk を1つ固定する。1から5の各目 r について,反時計回りに r 個進んで Pk に着く出発点はただ1つある。よって,1から5の目によって Pk へ入る確率の合計は51616=536.また,x 軸対称は頂点集合上の1対1対応であるから,6の目によって Pk に着く出発点もただ1つである。その確率は1616=136.したがって次の回の後に Pk にいる確率は536+136=16.これは k=0,1,,5 のすべてで成り立つ。よって帰納法により,1回以上投げた後の位置は常に6頂点上の一様分布である。

したがって(1)16,(2)16,(3)16である。

総評

難度4、計算量3。見かけは確率過程の問題だが、各頂点から P0 に入る目が1つだけという対称性を見抜けば非常に短い。目安時間は8分程度。2回後、3回後を個別に樹形図で計算し始めると手間が増えるため、まず「直前の位置によらない」性質を確認したい。注意点は、6の目では反時計まわりに6進むのではなく、x 軸対称に移ること、また P0 は6の目でその場に残ることである。

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出典: 九州大学 2016年度 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。