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九州大学 2020年度
後期・理系数学 後期 第5問

問題

以下の規則にしたがって数直線上を移動する点Aを考える。

(規則) 点Aが座標にあるとき,表が出る確率が のコインを投げて,表が出たらからへ移動し,裏が出たらからへ移動する。

点Aがはじめに座標0にあるとして,事象「上記の規則を適用する操作を繰り返した直後に点Aが座標にある」の確率を記号で表す。このとき以下の問いに答えよ。

(1) となる とその確率の組をすべて答えよ。

(2) またはのとき,であることを示せ。

(3) を求めよ。

(4) を自然数とするとき,以下のそれぞれの条件でを求めよ。

(i) のとき

(ii) のとき

出典:九州大学 2020年度 後期日程 第2次学力試験 後期・理系 後期 第5問

方針

解法1(到達経路を後ろから一意にたどる)

区間 が2つの写像で不変であることを示す。端点0と1への直前状態を決定し、 から逆向きに前状態をたどると、 という経路が固定されることを使う。

解法2(確率の逆向き漸化式を立てる)

目的座標 へ来る直前の座標を、表・裏それぞれの逆写像から求める。 で確率漸化式を分け、 の式を 、さらに1まで順に戻す。

解答

解法1(到達経路を後ろから一意にたどる)

(1)

はじめ点Aは座標0にある。1回操作した後、表が出れば であり、裏が出れば である。したがって となる組は である。

(2)

とする。このとき表が出た後の座標は であり、裏が出た後の座標は である。したがって、座標が にあれば、次の操作後も必ず にある。

はじめの座標は0で に含まれるので、数学的帰納法により、任意の 回後の座標も に含まれる。よって、 または のとき である。

(3)

まず、座標0にいるためには、はじめからずっと表が出続けるしかない。実際、 となるには が必要だが、(2)より座標は を出ないので、裏によって0へ来ることはない。したがって である。

座標1にいるには、直前に座標0にいて裏が出るしかない。 には が必要であり、 には が必要だからである。よって である。したがって である。

(4)

(i) のとき。座標 に到達する経路を逆向きに見る。 に到達するには、まずどこかの時刻で1にいて、次の1回で に移り、その後、表による半減を 回続ける必要がある。したがって、1から までだけでも合計 回の操作が必要であり、さらに座標1に初めて到達するには少なくとも1回必要である。よって最短でも 回かかる。

したがって では回数が足りず、 である。

(ii)

のとき。上の逆向きの考察を正確に使う。時刻 にいるためには、時刻 に1にいる必要がある。そこから次の1回で に移るが、座標1からは となるので、表でも裏でも必ず に移る。この1回の確率は1である。その後、 から へ行くには、表が 回連続して出る必要がある。

したがって

である。よって である。

解法2(確率の逆向き漸化式を立てる)

(1)

初期位置は0である。表なら 、裏なら だから

であり、これ以外は0である。

(2)

なら

したがって はどちらの移動でも不変である。初期位置0もこの区間にあるから、帰納的に または では

となる。

(3)

0へ移る直前の位置は、表の場合は0、裏の場合は2である。(2)より2にはいないので

同様に1へ移る直前は、表の場合は2、裏の場合は0である。よって

(4)

逆写像から、 では表による前状態 だけが可能なので

一方 では、位置1から表でも裏でも へ移るため

ではこれを反復して

なら、初期時刻より前まで戻ることになり到達不能だから

なら (3) を代入して

目標点へ至る部分だけを抜き出すと、逆向き漸化式の構造は次の鎖で見える。