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九州大学 2020年度 後期日程 第2次学力試験理系(後期)数学 第5問

以下の規則にしたがって数直線上を移動する点Aを考える。

(規則) 点Aが座標xにあるとき,表が出る確率がα (0<α<1)のコインを投げて,
表が出たらxからx2へ移動し,
裏が出たらxから1x2へ移動する。

点Aがはじめに座標0にあるとして,事象「上記の規則を適用する操作をn(n1)繰り返した直後に
点Aが座標yにある」の確率を記号Pn(y)で表す。このとき以下の問いに答えよ。

(1) P1(y)>0となるy (0y1)とその確率P1(y)の組をすべて答えよ。

(2) y<0またはy>1のとき,Pn(y)=0であることを示せ。

(3) Pn(1)を求めよ。

(4) kを自然数とするとき,以下のそれぞれの条件でPn(2k)を求めよ。

(i) nkのとき

(ii) n>kのとき

難易度6/ 10計算量5/ 10目安25

確率数列 確率漸化式状態分類、場合分け

方針

区間 [0,1] が2つの写像で不変であることを示す。端点0と1への直前状態を決定し、2k から逆向きに前状態をたどると、1,1/2,,2k という経路が固定されることを使う。

解答

(1)
はじめ点Aは座標0にある。1回操作した後、表が出れば 002=0 であり、裏が出れば 0102=1 である。したがって P1(y)>0 となる組は P1(0)=α,P1(1)=1α である。

(2) 0x1 とする。このとき表が出た後の座標は 0x212 であり、裏が出た後の座標は 121x21 である。したがって、座標が [0,1] にあれば、次の操作後も必ず [0,1] にある。

はじめの座標は0で [0,1] に含まれるので、数学的帰納法により、任意の n 回後の座標も [0,1] に含まれる。よって、y<0 または y>1 のとき Pn(y)=0 である。

(3)
まず、座標0にいるためには、はじめからずっと表が出続けるしかない。実際、1x2=0 となるには x=2 が必要だが、(2)より座標は [0,1] を出ないので、裏によって0へ来ることはない。したがって Pn(0)=αn である。

座標1にいるには、直前に座標0にいて裏が出るしかない。x2=1 には x=2 が必要であり、1x2=1 には x=0 が必要だからである。よって n1Pn(1)=(1α)Pn1(0)=(1α)αn1 である。したがって Pn(1)=(1α)αn1 である。

(4)
(i) nk のとき。
座標 2k に到達する経路を逆向きに見る。2k に到達するには、まずどこかの時刻で1にいて、次の1回で 12 に移り、その後、表による半減を k1 回続ける必要がある。したがって、1から 2k までだけでも合計 k 回の操作が必要であり、さらに座標1に初めて到達するには少なくとも1回必要である。よって最短でも k+1 回かかる。

したがって nk では回数が足りず、Pn(2k)=0 である。

(ii) n>k のとき。
上の逆向きの考察を正確に使う。時刻 n2k にいるためには、時刻 nk に1にいる必要がある。そこから次の1回で 12 に移るが、座標1からは 12,112=12 となるので、表でも裏でも必ず 12 に移る。この1回の確率は1である。その後、12 から 2k へ行くには、表が k1 回連続して出る必要がある。

したがってPn(2k)=Pnk(1)1αk1=(1α)αnk1αk1=(1α)αn2である。よって Pn(2k)=(1α)αn2 である。

別解

解法2(確率の逆向き漸化式を立てる)

方針

目的座標 y へ来る直前の座標を、表・裏それぞれの逆写像から求める。y<1/2y=1/2y>1/2 で確率漸化式を分け、2k の式を 1/2、さらに1まで順に戻す。

解答

(1)
初期位置は0である。表なら 00、裏なら 01 だからP1(0)=α,P1(1)=1αであり、これ以外は0である。

(2)
0x1 なら0x212,121x21.したがって [0,1] はどちらの移動でも不変である。初期位置0もこの区間にあるから、帰納的に y<0 または y>1 ではPn(y)=0となる。

(3)
0へ移る直前の位置は、表の場合は0、裏の場合は2である。(2)より2にはいないのでPn(0)=αPn1(0)=αn.同様に1へ移る直前は、表の場合は2、裏の場合は0である。よってPn(1)=(1α)Pn1(0)=(1α)αn1.(4)
逆写像から、0<y<1/2 では表による前状態 2y だけが可能なのでPn(y)=αPn1(2y).一方 y=1/2 では、位置1から表でも裏でも 1/2 へ移るためPn ⁣(12)=Pn1(1).k2 ではこれを反復してPn(2k)=αPn1(2(k1))==αk1Pnk+1 ⁣(12)=αk1Pnk(1).nk なら、初期時刻より前まで戻ることになり到達不能だからPn(2k)=0.n>k なら (3) を代入してPn(2k)=αk1(1α)αnk1=(1α)αn2.目標点へ至る部分だけを抜き出すと、逆向き漸化式の構造は次の鎖で見える。

総評

難度6、目安時間25分。前向きに全状態を追うより、到達したい点から逆向きに直前の座標を調べる方が整理しやすい。(3)では1へ行く直前が0に限られること、0に居続けるには表が続くしかないことを明記する必要がある。(4)の要点は、2k へ至る直前列が 1,12,14,,2k に固定されることと、1から 12 へは表裏どちらでも移るため確率1になることである。回数条件 nk の除外を忘れやすい。

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出典: 九州大学 2020年度 一般選抜(後期日程)数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。