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九州大学 2023年度 前期日程 一般選抜理系数学 第3問

Oを原点とする座標平面上の0でない2つのベクトルm=(a,c),n=(b,d)に対して,D=adbcとおく。座標平面上のベクトルqに対して,次の条件を考える。

条件I rm+sn=qを満たす実数rsが存在する。

条件II rm+sn=qを満たす整数rsが存在する。

以下の問いに答えよ。

(1) 条件Iがすべてのqに対して成り立つとする。D0であることを示せ。

以下,D0であるとする。

(2) 座標平面上のベクトルvwmv=nw=1,mw=nv=0を満たすものを求めよ。

(3) さらにabcdが整数であるとし,x成分とy成分がともに整数である
すべてのベクトルqに対して条件IIが成り立つとする。
Dのとりうる値をすべて求めよ。

難易度6/ 10計算量5/ 10目安20

ベクトル整数 必要十分条件ベクトル成分計算、合同式

方針

(1)D=0 なら m,n が平行になり、一次結合で平面全体を表せないことを示す。(2) は文系第3問と同じく、内積条件を2元連立方程式として解く。(3) は整数成分の任意の q が整数係数で表せるなら、特に (1,0),(0,1) を表す係数が整数であることを使い、Da,b,c,d をすべて割ることから D=±1 に絞る。逆向きも、D=±1 なら係数を取り出すベクトルが整数成分になることから確認する。

解答

(1)
仮に D=0 とする。このとき adbc=0 であるから、m=(a,c)n=(b,d) は平行である。実際、a0 なら (b,d)=ba(a,c)a=0 なら c0 かつ b=0 なので (b,d)=dc(0,c) と書ける。

したがって、rm+sn で表されるベクトルはすべて m と平行な1本の直線上にある。例えば (c,a) は零ベクトルでなく、m と垂直なので、その直線上にはない。よってすべての q に対して条件Iが成り立つことはない。したがって条件Iがすべての q に対して成り立つなら、D0 である。

(2) v=(x,y) とおくと、条件mv=1,nv=0ax+cy=1,bx+dy=0 である。D=adbc0 なので、これを解いて v=(dD,bD) を得る。

同様に w=(X,Y) とおくと、aX+cY=0,bX+dY=1 であり、w=(cD,aD) となる。

(3) a,b,c,d は整数であるから、D=adbc も整数である。まず、すべての整数成分の q に対して条件IIが成り立つと仮定する。 q=(1,0) のとき、(2) のベクトルを用いて係数を取り出すとr=qv=dD,s=qw=cDである。条件IIより、これらは整数でなければならない。q=(0,1) のときも同様に r=bD,s=aD が整数である。したがって aD,bD,cD,dD はいずれも整数である。

そこで a=DA,b=DB,c=DC,d=DE と書く。ただし A,B,C,E は整数である。すると D=adbc=D2(AEBC) である。D0 なので両辺を D で割って 1=D(AEBC) を得る。右辺の AEBC は整数だから、D1 の約数である。よって D=1, 1 である。

逆に D=±1 とする。このとき (2) で求めたv=(dD,bD),w=(cD,aD)はいずれも整数成分のベクトルである。整数成分の任意の q に対してr=qv,s=qwとおけば、r,s は整数であり、rm+sn=q が成り立つ。したがって条件IIは成り立つ。

以上より、D のとりうる値は 1, 1 である。

別解

解法2(クラメルの公式で整数条件を読む方法)

方針

q=(x,y) として成分の連立方程式を直接解き,r=(dxby)/Ds=(cx+ay)/D を得る。任意の整数 x,y で両係数が整数になる条件を,(1,0),(0,1) を代入して調べる。これにより Da,b,c,d をすべて割ることと D=adbc を組み合わせる。

解答

(1)
D=0 なら m,n は平行である。
したがって両者の一次結合は1本の直線上にしかない。q=(c,a) は零ベクトルでなく
m に垂直だから,この q は表せない。
よって条件Iがすべての q で成り立つならD0である。

(2)
(d,b)n に垂直で,m(d,b)=D である。同様に
(c,a)m に垂直で,n(c,a)=D である。よってv=(dD,bD),w=(cD,aD)である。

(3)
q=(x,y) とする。成分で書けばar+bs=x,cr+ds=y.D0 なのでr=dxbyD,s=cx+ayD.(1)すべての整数 x,y に対して (1) が整数になるとする。
(x,y)=(1,0),(0,1) を代入すればdD, cD, bD, aDはすべて整数である。したがってa=DA,b=DB,c=DC,d=DEと整数 A,B,C,E を用いて書ける。これを
D=adbc へ代入するとD=D2(AEBC).D0 だから1=D(AEBC),よって D=±1 である。

逆に D=±1 なら,任意の整数 x,y に対して (1) は整数であり,
条件IIを満たす。したがってD=1, 1である。

総評

平面ベクトルの一次結合と整数格子を結びつける問題。目安時間は22〜27分。(1) は D=0 なら平行であり、平面全体を表せないという幾何的意味を書くとよい。(3) では「すべての整数格子点」を表せるという強い条件から、特に基本ベクトル (1,0),(0,1) の係数が整数になることを使う。必要条件だけで終わらず、D=±1 なら実際に十分であることまで確認するのが満点答案の形である。 双対ベクトルによる解法とクラメルの公式による成分解法を分離した。任意の整数格子点を表す条件から Da,b,c,d を導き,必要十分性まで確認した。

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出典: 九州大学 令和5年度一般選抜(前期日程)数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。