問題
点を原点とする座標平面上のでない2つのベクトル
に対して,とおく。座標平面上のベクトルに対して,次の条件を考える。
条件I を満たす実数,が存在する。
条件II を満たす整数,が存在する。
以下の問いに答えよ。
(1) 条件Iがすべてのに対して成り立つとする。であることを示せ。
以下,であるとする。
(2) 座標平面上のベクトル,で
を満たすものを求めよ。
(3) さらに,,,が整数であるとし,成分と成分がともに整数であるすべてのベクトルに対して条件IIが成り立つとする。のとりうる値をすべて求めよ。
方針
解法1(標準解法)
(1) は なら が平行になり、一次結合で平面全体を表せないことを示す。(2) は文系第3問と同じく、内積条件を2元連立方程式として解く。(3) は整数成分の任意の が整数係数で表せるなら、特に を表す係数が整数であることを使い、 が をすべて割ることから に絞る。逆向きも、 なら係数を取り出すベクトルが整数成分になることから確認する。
解法2(クラメルの公式で整数条件を読む方法)
として成分の連立方程式を直接解き,, を得る。任意の整数 で両係数が整数になる条件を, を代入して調べる。これにより が をすべて割ることと を組み合わせる。
解答
解法1(標準解法)
(1)
仮に とする。このとき であるから、 と は平行である。実際、 なら 、 なら かつ なので と書ける。
したがって、 で表されるベクトルはすべて と平行な1本の直線上にある。例えば は零ベクトルでなく、 と垂直なので、その直線上にはない。よってすべての に対して条件Iが成り立つことはない。したがって条件Iがすべての に対して成り立つなら、 である。
(2)
とおくと、条件
は である。 なので、これを解いて を得る。
同様に とおくと、 であり、 となる。
(3)
は整数であるから、 も整数である。まず、すべての整数成分の に対して条件IIが成り立つと仮定する。 のとき、(2) のベクトルを用いて係数を取り出すと
である。条件IIより、これらは整数でなければならない。 のときも同様に が整数である。したがって はいずれも整数である。
そこで と書く。ただし は整数である。すると である。 なので両辺を で割って を得る。右辺の は整数だから、 は の約数である。よって である。
逆に とする。このとき (2) で求めた
はいずれも整数成分のベクトルである。整数成分の任意の に対して
とおけば、 は整数であり、 が成り立つ。したがって条件IIは成り立つ。
以上より、 のとりうる値は である。
解法2(クラメルの公式で整数条件を読む方法)
(1)
なら は平行である。したがって両者の一次結合は1本の直線上にしかない。 は零ベクトルでなく に垂直だから,この は表せない。よって条件Iがすべての で成り立つなら
である。
(2)
は に垂直で, である。同様に は に垂直で, である。よって
である。
(3)
とする。成分で書けば
なので
すべての整数 に対して (1) が整数になるとする。 を代入すれば
はすべて整数である。したがって
と整数 を用いて書ける。これを へ代入すると
だから
よって である。
逆に なら,任意の整数 に対して (1) は整数であり,条件IIを満たす。したがって
である。