方針
加法定理型の条件に、まず を代入して初期値を決める。次に を条件(A)で展開し、 の差分商から任意の での微分可能性と を示す。(3) では同様に得られる も使い、 と の2つの実関数が定数であることを示す。一般の では指数因子と変数変換で を標準形に直し、最後に と戻す。
解答
(1) 、 とおく。条件(A)で とすると である。また条件(B)で とすると である。
もし なら、 より である。これを に代入すると となり、 を意味する。これは が実数であることに反する。したがって である。
すると であり、条件(C)より だから である。よって である。
(2)
任意の実数 を固定し、 を に近づける。条件(A)より であるから、(1) の を用いて となる。両辺を で割ると である。
条件(D)より と は で微分可能で、、 である。したがって とすると右辺は に収束する。よって は任意の で微分可能であり、 が成り立つ。
(3)
同じように条件(B)から である。両辺を で割って とすれば を得る。
ここで とおく。、 を用いると であり、 である。したがって はともに定数である。 を代入すると、(1) より である。よってすべての で である。ところが であるから が成り立つ。
(4) とおく。まず条件(B)を確認する。任意の について、もとの条件(B)よりである。よってとなる。
次に条件(D)を確認する。一般の場合でも 、 であり、条件(D)'より 、 である。したがって であり、 である。よって は条件(D)を満たす。
なお、条件(A)についても同じ計算で が成り立ち、 であるから条件(C)も満たす。したがって前半の結果を に適用でき、 である。 とおくと である。したがって を得る。変数名を に戻せば、空欄は である。
別解
解法2(複素関数にまとめる方法)
方針
とおくと,条件(A),(B)は の1本にまとまる。原点の微分係数から任意点で を導き, の導関数が0であることを示す。一般の でも を同様に扱う。
解答
とおく。条件(A),(B)はまとめてと表せる。
(1)
(1) に を代入すると である。
条件(C)より だから であり,を得る。
(2)
である。(1) より とすれば実部を比較して ,虚部を比較して
を得る。
(3) とおく。 だからよって は定数で, よりである。
(4)
一般の条件(D)'では である。問題文の に対しとおく。(1) からであり,その虚部を比較すれば条件(B)を得る。まただから であり,条件(D)も成り立つ。
同様に実部から条件(A), から条件(C)も成り立つ。
前半の結果により とおくとだからである。
総評
加法定理を満たす関数を、原点での微分条件から決定する証明問題。目安時間は35〜40分。計算量よりも論理の順序が重要で、初期値、任意点での微分可能性、三角関数との比較、一般形への変換を分けて書くと崩れにくい。(2) では を固定して とする差分商の形を明示すること、(4) では指数因子と の変数変換が微分条件を標準形に直していることを確認するのが採点の中心である。 問題文に沿って実部・虚部を別々に追う方法に加え, で加法定理と微分を1本にまとめる別証を示した。一般の への変換も同じ枠組みで検算できる。