方針
条件 a+d=1 から d=1−a として A2 を直接計算する。任意の p=(x,y) に対して p⋅A2p=0 になるためには、x,y の2次式が恒等的に0でなければならない。そこで x2,xy,y2 の係数を比較し、最後に c=−b を代入して a,b,c,d を決める。
解答
条件 (i) より d=1−a である。したがってA=(acb1−a)とおける。このときA2=(a2+bcca+(1−a)cab+b(1−a)cb+(1−a)2)=(a2+bccbbc+(1−a)2)である。p=(xy)とするとA2p=((a2+bc)x+bycx+{bc+(1−a)2}y)である。よって内積はp⋅A2p=(a2+bc)x2+(b+c)xy+{bc+(1−a)2}y2である。
これが任意の x,y で 0 になるためには、2次式の各係数がすべて0でなければならない。したがって a2+bc=0,b+c=0,bc+(1−a)2=0 である。
第2式より c=−b である。これを第1式、第3式に代入すると a2=b2,(1−a)2=b2 となる。よって a2=(1−a)2 であり、a=21 である。さらに b2=41,c=−b である。
したがって求める行列は21−212121,2121−2121である。
二次式の3つの係数が、全て0でなければならない
別解
解法2
方針
恒等的な二次式の係数を一度に比較する代わりに、
p=(1,0),(0,1),(1,1) を順に代入する。
最初の2本で対角成分を0にし、3本目で非対角成分の和を0にする。
解答
条件(i)より d=1−a でありA2=(a2+bccbbc+(1−a)2).p=(1,0) を条件(ii)へ代入するとa2+bc=0.(1)p=(0,1) を代入するとbc+(1−a)2=0.(2)さらに p=(1,1) を代入する。(1),(2)を
用いれば内積は b+c だけになるからb+c=0.(3)任意の (x,y) に対する内積は、(1)--(3)が成り立てば(a2+bc)x2+(b+c)xy+{bc+(1−a)2}y2=0となるので、この3条件は十分でもある。
(3) から c=−b である。(1),(2)よりa2=b2,(1−a)2=b2.したがって a=21、b=±21、c=−b、
d=21 である。求める行列は21−212121,2121−2121.
総評
任意ベクトルに対する直交条件を2次式の恒等条件へ直す行列問題。目安時間は22分。A2 の非対角成分がそれぞれ b,c に簡約されるところを丁寧に計算する。内積の xy 係数は b+c になるため、ここを落とすと解が余分に出る。 2つの解法を相互に照合し、境界値・必要十分性・符号・最終値を確認した。
冊子PDFで見る名大の行列の問題で問題集を作る
出典: 名古屋大学 1984年度 前期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。