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名古屋大学 1984年度 前期日程 第2次学力試験文系数学 第1問

行列A=(abcd)
次の2つの条件を満たすものをすべて求めよ.

(i) a+d=1

(ii) 任意のベクトルp=(xy)に対して,
pA2pは直交する.
ここで,A2=AAとする.

難易度6/ 10計算量5/ 10目安22

行列ベクトル 恒等式比較内積の利用文字消去

方針

条件 a+d=1 から d=1a として A2 を直接計算する。任意の p=(x,y) に対して pA2p=0 になるためには、x,y の2次式が恒等的に0でなければならない。そこで x2,xy,y2 の係数を比較し、最後に c=b を代入して a,b,c,d を決める。

解答

条件 (i) より d=1a である。したがってA=(abc1a)とおける。このときA2=(a2+bcab+b(1a)ca+(1a)ccb+(1a)2)=(a2+bcbcbc+(1a)2)である。p=(xy)とするとA2p=((a2+bc)x+bycx+{bc+(1a)2}y)である。よって内積はpA2p=(a2+bc)x2+(b+c)xy+{bc+(1a)2}y2である。
これが任意の x,y0 になるためには、2次式の各係数がすべて0でなければならない。したがって a2+bc=0,b+c=0,bc+(1a)2=0 である。

第2式より c=b である。これを第1式、第3式に代入すると a2=b2,(1a)2=b2 となる。よって a2=(1a)2 であり、a=12 である。さらに b2=14,c=b である。
したがって求める行列は(12121212),(12121212)である。

二次式の3つの係数が、全て0でなければならない

別解

解法2

方針

恒等的な二次式の係数を一度に比較する代わりに、
p=(1,0),(0,1),(1,1) を順に代入する。
最初の2本で対角成分を0にし、3本目で非対角成分の和を0にする。

解答

条件(i)より d=1a でありA2=(a2+bcbcbc+(1a)2).p=(1,0) を条件(ii)へ代入するとa2+bc=0.(1)p=(0,1) を代入するとbc+(1a)2=0.(2)さらに p=(1,1) を代入する。(1),(2)を
用いれば内積は b+c だけになるからb+c=0.(3)任意の (x,y) に対する内積は、(1)--(3)が成り立てば(a2+bc)x2+(b+c)xy+{bc+(1a)2}y2=0となるので、この3条件は十分でもある。

(3) から c=b である。(1),(2)よりa2=b2,(1a)2=b2.したがって a=12b=±12c=b
d=12 である。求める行列は(12121212),(12121212).

総評

任意ベクトルに対する直交条件を2次式の恒等条件へ直す行列問題。目安時間は22分。A2 の非対角成分がそれぞれ b,c に簡約されるところを丁寧に計算する。内積の xy 係数は b+c になるため、ここを落とすと解が余分に出る。 2つの解法を相互に照合し、境界値・必要十分性・符号・最終値を確認した。

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出典: 名古屋大学 1984年度 前期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。