方針
積を一回増やしたときの四成分を計算し、対角成分と非対角成分がそれぞれ等しい形が保存されることを帰納法で示す。二つの成分の和と差を取って等比数列へ直す。
解答
(1) (abba)(1221)=(a+2b2a+b2a+ba+2b).右辺も対角成分どうし、非対角成分どうしが等しい。n=1 ではこの形であり、帰納法によりすべての自然数 n についてan=dn,bn=cnが成り立つ。
(2) (1)より(1221)n=(anbnbnan)と書ける。右から一回分を掛けるとan+1=an+2bn,bn+1=2an+bn.ここでun=an+bn,vn=an−bnとおけばun+1=3un,vn+1=−vn.初期値 u1=3,v1=−1 よりun=3n,vn=(−1)n.したがってan=23n+(−1)n.
別解
解法2(二つの基本ベクトルに分ける)
方針
列ベクトル (1,1) と (1,−1) に行列を掛けた結果を調べる。この二方向ではそれぞれ3倍、−1 倍になるので、標準基底を二方向の和に分けて第1列を直接求める。
解答
(1) (1221)(11)=3(11),(1221)(1−1)=−(1−1).この二方向を何回掛けても成分の入れ替えに対して同じ形が保たれるため、行列全体は(anbnbnan)の形になる。よって an=dn,bn=cn である。
(2) 第1列は、標準基底(10)=21(11)+21(1−1)を n 回変換したものである。したがって(anbn)=23n(11)+2(−1)n(1−1).第1成分を読めばan=23n+(−1)nとなる。
総評
難易度5、計算量4。目安時間は15分である。原問題が行列の累乗を明示しているため行列計算を用いてよい。四成分を別々に追わず、対称な形の保存と和・差の二方向に整理する。初期値 v1=−1 から (−1)n になる符号を落とさない。
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出典: 名古屋大学 1986年度 前期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。