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名古屋大学 1985年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第2問

実数abに対して行列ABを次のように定める.A=(a12bb52a),B=(0110)A(0110)(1) aをどのように与えても,それに対して,B=A1が成り立つように実数bを選ぶことが可能であることを示せ.

(2) bを(1)のように選んだとき,
(A+A1)2+(A+A1)を求め,
A5=(1001)を示せ.

難易度7/ 10計算量6/ 10目安30

行列数と式 式変形、不等式評価漸化式の変形

方針

B=A1detA=1 に帰着し、A+A1=λIλ2+λ=1 から A5=I を導く。

解答

(1)
与えられた行列はA=(a12bb52a)である。問題で定めたB=(0110)A(0110)を計算するとB=(52abba12)である。これは A の逆行列の公式で現れる行列である。

実際,detA=(a12)(52a)+b2 であり,detA=1 ならA1=(52abba12)=Bとなる。したがって (a12)(52a)+b2=1 となるように b を選べばよい。

すなわち b2=1(a12)(52a) とすればよい。ここで X=a12,Y=52a とおくと X+Y=512 である。和が一定の2数の積は,2数が等しいとき最大になるので XY(X+Y)24=(51)216<1 である。よって 1XY>0 であり,任意の実数 a に対して実数 b を選ぶことができる。

(2)
(1) のように b を選ぶと B=A1 である。したがって A+A1=A+B であり,成分を足すとA+B=(51200512)である。ここで λ=512 とおくと A+A1=λI である。また λ2+λ=1 が成り立つ。よって (A+A1)2+(A+A1)=(λ2+λ)I=I である。

次に A5=I を示す。A+A1=λI の両辺に右から A を掛けると A2+I=λA である。したがって A2=λAI である。これを順に用いるとA3=λA2A=(λ21)AλI=λAλI,A4=λA2λA=(λ2+λ)A+λI=A+λI,A5=A2+λA=Iである。したがってA5=I=(1001)が示された。

別解

解法2

方針

(1) では b2a の平方完成で表し,常に正であることを直接示す。(2) では A2λA+I=0 を作り,5乗まで逐次計算せず,等比和型の因数分解 A5I=(AI)(A4+A3+A2+A+I) を使う。

解答

(1) B=(52abba12)である。これは A の余因子を並べた行列なので,detA=1 なら B=A1 となる。

必要な条件を b2 について解くとb2=1(a12)(52a)である。右辺を平方完成するとb2=(a5+14)2+5+58>0となる。したがって任意の実数 a に対して,この正の数の平方根またはその負を b に選べばよい。

(2) λ=512とおくと,成分計算からA+A1=λI,λ2+λ=1である。したがって(A+A1)2+(A+A1)=(λ2+λ)I=Iとなる。

また A+A1=λIA を掛けてA2=λAIを得る。この関係からA3=λAλI,A4=A+λIである。よってA4+A3+A2+A+I=(A+λI)+(λAλI)+(λAI)+A+I=Oとなる。ゆえにA5I=(AI)(A4+A3+A2+A+I)=Oであり,A5=I が示された。

総評

難易度は7,計算量は6程度である。想定時間は26分から36分程度。問題が明示的に行列を扱うため行列計算を用いる。(1) は B が逆行列の分子に当たることを見抜き,b2 の右辺がすべての実数 a で正になることまで示す。(2) は A+A1=λIλ2+λ=1 を核にする。逐次計算と等比和型因数分解の2通りを示したが,いずれも A2=λAI の符号が要点である。

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出典: 名古屋大学 1985年度 前期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。