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名古屋大学 1988年度 前期日程 第2次学力試験文系数学 第2問

1辺の長さ1,A=C=120のひし形ABCDがある.
ab0<a320<b1の数とし,
ひし形ABCDに含まれる次の4つのおうぎ形P1P2P3P4を考える.
それらは中心A,半径a,中心角120のおうぎ形P1
中心C,半径a,中心角120のおうぎ形P2
中心B,半径b,中心角60のおうぎ形P3
中心D,半径b,中心角60のおうぎ形P4である.
P1P2P3P4がひし形ABCDと一致するもののうち,
これら4つのおうぎ形の面積の和が最小となるabの値を求めよ.

難易度8/ 10計算量7/ 10目安30

図形と方程式三角関数 座標設定円の性質不等式評価

方針

対角線の交点を O とし、対称性によって三角形 OCB だけを考える。この三角形では、中心 A,D より中心 C,B の方が近いので、半径 aC の円と半径 bB の円で覆う条件になる。C の円の外側で B から最も遠い点を、a1/2a1/2 に分けて求め、2a2+b2 を最小化する。最後に等号候補が実際に全体を覆うことまで確認する。

解答

ひし形をA=(12,0),C=(12,0),B=(0,32),D=(0,32)と置き、対角線の交点を O=(0,0) とする。

第1象限の三角形 OCB にある点は、A より C に近く、D より B に近い。したがって、ひし形全体が覆われることは、三角形 OCB が中心 C、半径 a の円の内部と、中心 B、半径 b の円の内部との和で覆われることと同値である。

4つのおうぎ形の面積の和は2120360πa2+260360πb2=π3(2a2+b2).よって 2a2+b2 を最小にすればよい。

0<a1/2 の場合。

OC 上で CX=a となる点を X とする。C の円で覆われない部分を B の円が覆うには、少なくとも BXb が必要である。直角三角形の座標からBX2=(12a)2+34=a2a+1.したがって2a2+b23a2a+1=3(a16)2+1112.この条件が辺だけでなく三角形全体に対して十分な下限を与えることも確認する。C からの距離が a である円弧上の点を(12a2y2,y)と書く。この点と B との距離の2乗は1+a2a2y23y.該当する円弧では 0y3a/2 である。関数a2y2+3yはこの区間で上に凸なので最小値は端点で取り、その値は a である。したがって、C の円の外側で B から最も遠い点は X であり、必要な半径はb2a2a+1である。

1/2a3/2 の場合。

C の円と辺 OB の交点の高さをy0=a214とする。同じ円弧上の比較から、C の円の外側で B から最も遠い点は (0,y0) である。よってb32a214.u=a21/4 と置けば2a2+b22a2+(32u)2=3u23u+54=3(u36)2+11.これは 11/12 より大きい。

以上より、全範囲での下限は 11/12 であり、等号が可能なのはa=16,b2=3136のときである。すなわちa=16,b=316.上で示した最遠点の評価により、この半径の2円は三角形 OCB を実際に覆う。対称性からひし形全体も4つのおうぎ形で覆われる。

別解

解法2:水平断面で必要十分性を確認する

方針

第1象限の三角形を高さ y の水平線で切る。右端側を中心 C の円、左端側を中心 B の円で覆うと考え、2つの円が各断面上で途切れず重なる条件を求める。a<1/2 では最も厳しい断面が底辺 OCa1/2 では中心 C の円が辺 OB と交わる高さになる。これを面積式へ代入して平方完成する。

解答

対称性により、三角形T={(x,y) | 0y32, 0x12y3}を、中心 C=(1/2,0)、半径 a の円と、中心 B=(0,3/2)、半径 b の円で覆えばよい。

高さ y の断面で、中心 C の円が届く左端はxC(y)=12a2y2である。一方、中心 B の円が届く右端はxB(y)=b2(32y)2.断面に隙間がないためには xB(y)xC(y) が必要である。

0<a1/2 では、y=0 の断面がb23412aを与える。すなわちb2a2a+1.(1)実はこれで全断面が覆われる。0y3a/2 ではa2y2+3yaであるため、(1) から xB(y)xC(y) が従う。それより高い断面では、右端 BC まで中心 B の円が届く。

したがって2a2+b23a2a+1=3(a16)2+1112.一方 a1/2 では、中心 C の円は辺 OB と高さy0=a214で交わる。この断面の左端 (0,y0) を中心 B の円が覆う必要があるからb32y0.u=y0 と置くと2a2+b23(u36)2+11.よって小さい方の下限は 11/12。等号はa=16,b=316で成立する。断面の重なりも上で確認済みなので、これが求める値である。

総評

難度は10段階で8、計算量は10段階で7程度。試験場では35〜40分を見込む。面積式だけを最小化しても、4つのおうぎ形がひし形を覆う条件を処理したことにはならない。対称性で三角形 OCB に絞り、a1/2a1/2 を分けるのが重要である。特に a1/2 を無視した下限評価は論証不足になる。下限を出した後、等号候補で断面に隙間がないことまで確認できれば満点答案になる。

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出典: 名古屋大学 1988年度 前期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。