方針
対角線の交点を とし、対称性によって三角形 だけを考える。この三角形では、中心 より中心 の方が近いので、半径 の の円と半径 の の円で覆う条件になる。 の円の外側で から最も遠い点を、 と に分けて求め、 を最小化する。最後に等号候補が実際に全体を覆うことまで確認する。
解答
ひし形をと置き、対角線の交点を とする。
第1象限の三角形 にある点は、 より に近く、 より に近い。したがって、ひし形全体が覆われることは、三角形 が中心 、半径 の円の内部と、中心 、半径 の円の内部との和で覆われることと同値である。
4つのおうぎ形の面積の和はよって を最小にすればよい。
の場合。
辺 上で となる点を とする。 の円で覆われない部分を の円が覆うには、少なくとも が必要である。直角三角形の座標からしたがってこの条件が辺だけでなく三角形全体に対して十分な下限を与えることも確認する。 からの距離が である円弧上の点をと書く。この点と との距離の2乗は該当する円弧では である。関数はこの区間で上に凸なので最小値は端点で取り、その値は である。したがって、 の円の外側で から最も遠い点は であり、必要な半径はである。
の場合。
の円と辺 の交点の高さをとする。同じ円弧上の比較から、 の円の外側で から最も遠い点は である。よって と置けばこれは より大きい。
以上より、全範囲での下限は であり、等号が可能なのはのときである。すなわち上で示した最遠点の評価により、この半径の2円は三角形 を実際に覆う。対称性からひし形全体も4つのおうぎ形で覆われる。
別解
解法2:水平断面で必要十分性を確認する
方針
第1象限の三角形を高さ の水平線で切る。右端側を中心 の円、左端側を中心 の円で覆うと考え、2つの円が各断面上で途切れず重なる条件を求める。 では最も厳しい断面が底辺 、 では中心 の円が辺 と交わる高さになる。これを面積式へ代入して平方完成する。
解答
対称性により、三角形を、中心 、半径 の円と、中心 、半径 の円で覆えばよい。
高さ の断面で、中心 の円が届く左端はである。一方、中心 の円が届く右端は断面に隙間がないためには が必要である。
では、 の断面がを与える。すなわち実はこれで全断面が覆われる。 ではであるため、(1) から が従う。それより高い断面では、右端 まで中心 の円が届く。
したがって一方 では、中心 の円は辺 と高さで交わる。この断面の左端 を中心 の円が覆う必要があるから と置くとよって小さい方の下限は 。等号はで成立する。断面の重なりも上で確認済みなので、これが求める値である。
総評
難度は10段階で8、計算量は10段階で7程度。試験場では35〜40分を見込む。面積式だけを最小化しても、4つのおうぎ形がひし形を覆う条件を処理したことにはならない。対称性で三角形 に絞り、 と を分けるのが重要である。特に を無視した下限評価は論証不足になる。下限を出した後、等号候補で断面に隙間がないことまで確認できれば満点答案になる。