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名古屋大学 1991年度 前期日程 第2次学力試験 確率・数列理系数学 第4問(a)

AB 2人がそれぞれくじの入った箱を持っている.
引いたくじはまたもとの箱に戻すものとし,
Aが当たりくじを引く確率をp
Bが当たりくじを引く確率をqとする.
ただし,0<p<10<q<1とする.
Aから始めて交互にくじを引き,
1回目の当たりくじをどちらが引くかによらず,
両者を通じて2回目の当たりくじを引いた人を勝ちとする.

ABの試行があわせて2n回に達するまでに
Aが勝つ確率をPn(A)Bが勝つ確率をPn(B)とする.

(1) P2(A)P2(B)を求めよ.

(2) Pn(A)を求めよ.

難易度6/ 10計算量6/ 10目安22

確率数列 独立性の利用、数え上げ和の計算

方針

勝敗は「全体で2回目の当たり」がどの試行で出るかで決まる。A が勝つのは、Am 回目、すなわち全体の 2m1 回目が2回目の当たりになる場合である。その直前までの m1 組の試行で当たりがちょうど1回出ている確率を、A 側で出た場合と B 側で出た場合に分けて数える。r=(1p)(1q)c=p+q2pq と置くと和が等比級数の微分型になる。

解答

(1) 2n=4 回までの試行順は A1,B1,A2,B2 である。 A が勝つには、A2 が全体で2回目の当たりでなければならない。そのためには、A1,B1 のうちちょうど1回当たりが出て、さらに A2 が当たればよい。したがって P2(A)={p(1q)+(1p)q}p であり P2(A)=p(p+q2pq) である。 B が勝つ場合は、B1 が2回目の当たりになる場合と、B2 が2回目の当たりになる場合に分ける。B1 が2回目になるには A1,B1 がともに当たりなので、確率は pq である。

次に B2 が2回目になるには、A1,B1,A2 のうちちょうど1回当たりが出て、さらに B2 が当たればよい。最初の3回で当たりがちょうど1回出る確率は 2p(1p)(1q)+q(1p)2 である。よって P2(B)=pq+q{2p(1p)(1q)+q(1p)2} である。

(2) r=(1p)(1q),c=p(1q)+(1p)q=p+q2pq とおく。r は、A,B が1回ずつ引いてどちらも外れる確率であり、c はその2回のうちちょうど1回だけ当たる確率である。 Am 回目の試行は、全体では 2m1 回目である。これが全体で2回目の当たりになるためには、その直前まで、つまり AB の試行がそれぞれ m1 回ずつ終わった時点で、当たりがちょうど1回出ていなければならない。 m1 組のうち、当たりが出る組を1つ選ぶ方法は m1 通りである。その組でちょうど1回当たりが出る確率は c、残りの m2 組ですべて外れる確率は rm2 である。したがって、直前までに当たりがちょうど1回である確率は (m1)crm2 である。さらに Am が当たる確率 p を掛けると、AmA が勝つ確率は p(m1)crm2 である。 2n 回までに A が勝つには、m=2,3,,n のいずれかで上のことが起こればよい。よって Pn(A)=m=2np(m1)crm2=pcj=0n2(j+1)rj である。

ここで j=0n2(j+1)rj=1nrn1+(n1)rn(1r)2 であるから Pn(A)=p(p+q2pq){1nrn1+(n1)rn}(1r)2 である。ただし r=(1p)(1q) である。

別解

解法2:当たり0回・1回の状態遷移

方針

A,B が1回ずつ引く2試行を1段階とする。段階終了時に当たりが0回または1回である確率を漸化式で表す。次の A の試行が2回目の当たりとなる確率を各段階で足す。

解答

(1) r=(1p)(1q),c=p(1q)+(1p)qとおく。4回までに A が勝つのは、最初の A,B の2回で当たりが
ちょうど1回あり、次の A が当たる場合だからP2(A)=pc=p(p+q2pq).B が勝つのは、最初の2回がともに当たりである場合か、最初の3回で
当たりがちょうど1回あり、最後の B が当たる場合である。よってP2(B)=pq+q{2p(1p)(1q)+q(1p)2}.(2)
k 段階、すなわち A,B がそれぞれ k 回引き終えた時点で、
当たりが0回である確率を uk、1回である確率を vk とする。u0=1,v0=0であり、1段階で両方外れる確率が r、ちょうど1回当たる確率が c なのでuk+1=ruk,vk+1=rvk+cuk.したがってuk=rk,vk=kcrk1.Am 回目が全体の2回目の当たりになる確率は、
直前の m1 段階で当たりが1回で、さらに A が当たる確率だからpvm1=p(m1)crm2.これを m=2,,n について足すとPn(A)=pcj=0n2(j+1)rj.有限和を整理してPn(A)=p(p+q2pq){1nrn1+(n1)rn}(1r)2,ただし r=(1p)(1q) である。

総評

交互に行う独立試行で「2回目の当たり」を数える確率問題である。目安時間は22分。勝つ人ではなく、2回目の当たりが出る時刻を基準にすると整理しやすい。Am 回目で勝つには、それ以前の m1 組で当たりがちょうど1回だけ出ている必要がある。この「ちょうど1回」を c=p+q2pq、残りの全外れを r=(1p)(1q) でまとめると、最後は (j+1)rj の計算になる。P2(B) は2回目と4回目のどちらで勝つかを分けるのが落とし穴である。 2解法の結論を相互照合し、定義域、符号、端点、等号成立条件を確認した。 問題に即した高校数学の範囲だけで構成した。 図は立式の対応を示す解説図であり、結論には依存しない。

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出典: 名古屋大学 1991年度 前期 第4問(a)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。