方針
定義式の積分部分は、x に関しては常に e−x 倍の定数になる。そこで fn(x)=x+Cne−x の形を予想し、代入して係数 Cn の漸化式に落とす。f1(x)=x から C1=0、Cn=(1+Cn−1)/2 が得られるので、これを解いて一般項を出す。最後に n→∞ として係数の極限を取る。
解答
(1)
定義よりf2(x)=x+21∫01e−x+yydy=x+21e−x∫01yeydyである。部分積分により ∫01yeydy=[yey]01−∫01eydy=e−(e−1)=1 である。したがって f2(x)=x+21e−x である。
(2) fn(x)=x+Cne−x の形になることを示す。f1(x)=x だから C1=0 である。いま fn−1(x)=x+Cn−1e−x と書けるとする。このとき fn(x)=x+21e−x∫01ey{y+Cn−1e−y}dy である。すでに ∫01yeydy=1 であり、また ∫01eyCn−1e−ydy=Cn−1 であるから fn(x)=x+21(1+Cn−1)e−x となる。よって Cn=21+Cn−1 である。
この漸化式は 1−Cn=21(1−Cn−1) と変形できる。C1=0 なので 1−Cn=(21)n−1 であり Cn=1−2n−11 である。したがって fn(x)=x+(1−2n−11)e−x である。
(3)
(2)の式で 2n−11→0 だから、各 x について n→∞limfn(x)=x+e−x である。
別解
解法2:隣り合う関数の差を追う
方針
gn=fn−fn−1 とおく。最初の差は e−x/2 であり、漸化式の差を取ると同じ形の係数が毎回半分になる。差を等比級数として足して fn と極限を得る。
解答
(1) f2(x)=x+21e−x∫01yeydy=x+21e−x.ここでは部分積分により∫01yeydy=1を用いた。
(2) gn(x)=fn(x)−fn−1(x)(n≧2)とおく。まずg2(x)=21e−x.また定義式の差を取るとgn(x)=21e−x∫01eygn−1(y)dy.gn−1(y)=2−(n−2)e−yならgn(x)=21e−x∫012−(n−2)dy=2−(n−1)e−x.よって数学的帰納法によりgn(x)=2−(n−1)e−x.したがってfn(x)=f1(x)+k=2∑ngk(x)=x+(j=1∑n−12j1)e−x=x+(1−2n−11)e−x.(3)n→∞limfn(x)=x+e−x.
総評
積分で定義された関数列を、係数の漸化式に変換する問題である。目安時間は16分。積分の中の e−x+y を e−xey と分けると、x 依存は e−x だけになる。この観察から fn(x)=x+Cne−x と置けるかが勝負である。部分積分 ∫01yeydy=1 と、Cn=(1+Cn−1)/2 の解法を省略せず書けば、極限は直ちに従う。 2解法の結論を相互照合し、定義域、符号、端点、等号成立条件を確認した。 問題に即した高校数学の範囲だけで構成した。 図は立式の対応を示す解説図であり、結論には依存しない。
冊子PDFで見る名大の積分の問題で問題集を作る
出典: 名古屋大学 1991年度 前期 第3問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。