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名古屋大学 1992年度 前期日程 第2次学力試験 図形と方程式・微分理系数学 第4問(b)

1辺の長さが1の正方形 OABC の中に、
半径 s の円板 S が2辺 OA,OC に接するように置かれている。
この正方形内に別の円板 TS と重ならないように置く。

(1) T の半径 t の取り得る最大値を s を用いて表せ。

(2) s,t を変化させたときの S,T の面積の和の最大値を求めよ。

難易度7/ 10計算量6/ 10目安22

図形と方程式微分 円の性質、範囲評価、場合分け

方針

円板 T の中心が動ける小正方形を考え、S から最も遠い右上隅との距離で t の上限を求める。(2)は場合分けした上限を使って面積和を最大化する。

解答

(1)
正方形を 0x1,0y1 とおき、O=(0,0)A=(1,0)C=(0,1) とする。円板 S は2辺 OAOC に接するので、その中心は (s,s) である。正方形内に入るため、0<s12 である。

半径 t の円板 T の中心を (x,y) とすると、T が正方形内に入る条件は tx1t,ty1t である。したがって特に 0<t12 が必要である。

この小さい正方形の中で、点 (s,s) から最も遠い点は (1t,1t) である。実際、s12t12 なので、xy は大きいほど (s,s) から遠くなる。よって、ST が重ならない配置が可能であるための条件は (1ts)2+(1ts)2s+t すなわち 2(1st)s+t である。これを t について解くと t22s となる。

よって t12,t22s の2条件を同時に満たせばよい。2つの上限が入れ替わるのは 12=22s すなわち s=322 のときである。したがってtmax={12(0<s322),22s(322s12)である。境目では2つの式は同じ値になる。

(2)
面積の和は πs2+πt2=π(s2+t2) である。固定した s に対しては、t が大きいほど面積の和も大きいので、(1)の tmax を用いればよい。

まず 0<s322 では t=12 であり、s2+t2=s2+14 である。これは s が大きいほど大きいので、この範囲での最大は s=322 のときで、値は (322)2+14 である。

次に 322s12 では t=22s なので s2+t2=s2+(22s)2 である。右辺は s について上に開いた2次式だから、この閉区間での最大は端点で生じる。端点 s=322 では前の場合と同じ値であり、端点 s=12 でも 14+(322)2 となる。したがって全体の最大は π{14+(322)2} である。整理すると14+(322)2=14+9432+2=9232であるから、求める最大値は π(9232) である。この最大値は、たとえば(s,t)=(322,12),(12,322)で実現される。

別解

解法2

方針

2円板が正方形の対角方向に離れる配置から、s,t1/2s+t22 を得る。この一次条件の領域上で s2+t2 を直接最大化する。

解答

(1)

S の中心を (s,s) とする。半径 t の円板 T の中心が
(1t,1t) にあるとき、2中心の距離が最大になる。
したがって配置可能であるための条件は2(1st)s+t.これと t1/2 からtmin{12, 22s}.よってtmax={12(0<s322),22s(322s12).(2)

2円板が正方形内に入って重ならないための半径の条件は0<s12,0<t12,s+t22.s2+t2 は、s+t を固定すると2数の差が大きいほど大きい。
したがって最大点では一方が 1/2、もう一方が2212=322である。よって面積和の最大値はπ{14+(322)2}=π(9232).

総評

円板の中心が動ける範囲を先に小さい正方形として捉えると、距離条件が一本化できる。目安時間は22分。(1)では t12 と、S から離せる距離の上限を両方見る必要がある。後者だけで答えると小さい s の場合に T が正方形からはみ出す。(2)では t を最大にしてよい理由、境目 s=322、端点 s=12 の比較を省かないことが重要である。 2解法の結論、端点、等号条件を独立に照合した。行列・行列式・外積・固有値・対角化を用いず、高校数学の範囲内で完結させた。

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出典: 名古屋大学 1992年度 前期 理系 第4問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。