方針
u=logx,s=logt と置換すると,dx/x=du であり,積分は区間 0≦u≦logn 上で ∣s−u∣ を積分する問題になる。1≦t≦n では 0≦s≦L=logn なので,絶対値を u=s で分けて二次式を得る。その二次式の最大・最小を端点と頂点で求める。(2)は An=(logn)2/2 を用い,差を積の形にして与えられた極限で0に落とす。
解答
(1) L=logn,s=logt とおく。1≦t≦n であるから 0≦s≦L である。また u=logx とおくと dx/x=du で,x=1 のとき u=0,x=n のとき u=L である。したがってfn(t)=∫0L∣s−u∣duとなる。
絶対値を u=s で分けるとfn(t)=∫0s(s−u)du+∫sL(u−s)du=2s2+2(L−s)2である。これを整理すると fn(t)=(s−2L)2+4L2 である。
よって最小値は s=L/2,すなわち t=n のとき Bn=4L2=4(logn)2 である。最大値は区間 0≦s≦L の端点 s=0 または s=L,すなわち t=1 または t=n のとき An=2L2=2(logn)2 である。
(2)
(1) より An+1−An=21{(log(n+1))2−(logn)2} である。平方差に直すと An+1−An=21lognn+1⋅log{n(n+1)} である。
ここで 0<log(1+n1)<n1 を用いると 0≦An+1−An<2n1log{n(n+1)} である。さらに n(n+1)<(n+1)2 より 0≦An+1−An<nlog(n+1) である。与えられた x→∞limxlogx=0 を使えば右辺は0に近づく。したがって n→∞lim(An+1−An)=0 である。
別解
解法2
方針
対数変数 s=logt に移した後、積分値を先に展開せず s で微分する。絶対値の左右から導関数 2s−L を得て最小点を決め、凸性から最大値は端点にあると判断する。(2)は An+1−An を1区間の積分に戻してはさみうちする。
解答
(1) L=logn,s=logt,u=logxとおくとfn(t)=F(s):=∫0L∣s−u∣du,0≦s≦L.0<s<L ではF′(s)=∫0s1du−∫sL1du=2s−L.したがって F は s=L/2 まで減少し、その後増加する。よって最小はs=2L⟺t=nであり、Bn=F(2L)=4L2=4(logn)2.また F′ が単調増加するので F は下に凸であり、閉区間での最大値は端点にある。F(0)=F(L)=2L2だからAn=2(logn)2,最大となるのは t=1,n である。
(2) dxd{2(logx)2}=xlogxだからAn+1−An=∫nn+1xlogxdx.n≦x≦n+1 では0≦xlogx≦nlog(n+1)なので0≦An+1−An≦nlog(n+1).右辺は与えられた極限から 0 に収束する。よってn→∞lim(An+1−An)=0.
総評
対数置換で絶対値つき積分を1変数二次式に変える問題である。難易度は6,計算量は5程度で,想定時間は18分前後。1≦t≦n を 0≦s≦L に直してから絶対値を外すと,最大・最小の位置がはっきりする。(2)は差を log((n+1)/n)log(n(n+1))/2 と因数分解するのが要点で,log(1+1/n)<1/n と与えられた極限をつなげればよい。 2解法の結論を相互照合し、定義域、端点、場合分け、問題文の解釈、図示範囲を確認した。
冊子PDFで見る名大の積分の問題で問題集を作る
出典: 名古屋大学 1996年度 前期日程 第2次学力試験 理系 前期 第3問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。