方針
S1 は1の N 乗根の等比数列和として、z=1 とそれ以外に分ける。S2 は S1 の実部である。S3 は cos2x=(1+cos2x)/2 により、z2 を公比とする同じ型の和へ帰着し、z2=1 すなわち z=±1 の場合だけを別扱いする。
解答
(1) z=1 のときは S1=1+1+⋯+1=N である。 z=1 のときは (1−z)S1=1−zN である。仮定より zN=1 だから (1−z)S1=0 であり、1−z=0 より S1=0 である。したがってS1={N0(z=1),(z=1)である。
(2) z=cosθ+isinθ であるから zk=coskθ+isinkθ である。よって S2=1+cosθ+⋯+cos(N−1)θ は S1 の実部である。(1)の値はどちらの場合も実数なのでS2={N0(z=1),(z=1)である。
(3)
恒等式 cos2x=21+cos2x を用いるとS3=2N+21(1+cos2θ+cos4θ+⋯+cos2(N−1)θ)である。括弧内の和は、複素数 z2 に対して(2)と同じ和を考えたものの実部である。しかも (z2)N=z2N=1 である。
もし z2=1 なら、すなわち z=1 または z=−1 なら、括弧内の各項はすべて 1 なので、その和は N である。したがって S3=2N+2N=N である。
一方、z2=1 なら、(2)と同じ理由で括弧内の和は 0 である。したがって S3=2N である。以上よりS3=⎩⎨⎧N2N(z=1 または z=−1),(z=1,−1)である。
別解
解法2
方針
2coskθ=zk+z−k を使って余弦和を正負のべきの等比数列和に直す。さらに 4cos2kθ=z2k+2+z−2k とすれば、S3 は z2=1 かどうかだけで場合分けできる。
解答
(1)
z=1 なら S1=N である。z=1 なら(1−z)S1=1−zN=0より S1=0 である。
(2) 2coskθ=zk+z−kだから2S2=k=0∑N−1zk+k=0∑N−1z−k.z=1 なら右辺は 2N である。z=1 なら、z と z−1 はともに1ではない N 乗根なので両方の和が0になる。従ってS2={N0(z=1),(z=1).(3)4cos2kθ=z2k+2+z−2kより4S3=k=0∑N−1z2k+2N+k=0∑N−1z−2k.z2=1、すなわち z=±1 なら両方の和が N なので S3=N である。z2=1 なら両方とも等比数列和が0なので S3=N/2 である。よってS3=⎩⎨⎧N2N(z=1 または z=−1),(z=1,−1).
総評
1の累乗根の和を三角関数へ移す問題で、想定時間は18分程度。S1 では z=1 を分けてから割ること、S3 では z ではなく z2 の和に帰着することが要点である。z=−1 は zN=1 を満たす場合にだけ実際に起こるが、条件表示としては「z=1 または z=−1」で十分である。N/2 が整数とは限らない形で出ることにも慌てず、和の値としてそのまま扱えばよい。
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出典: 名古屋大学 1998年度 前期 理系 第4問(a)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。