Evolton

名古屋大学 1998年度 前期日程 第2次学力試験 複素数平面・数列理系数学 第4問(a)

Nを自然数とし,複素数z=cosθ+isinθzN=1を満たすとして,
以下の級数和S1S2S3の値を求めよ.
ただし,ここでiは虚数単位(i2=1)である.

(1) S1=1+z+z2++zN1

(2) S2=1+cosθ+cos2θ++cos(N1)θ

(3) S3=1+cos2θ+cos22θ++cos2(N1)θ

難易度6/ 10計算量5/ 10目安18

複素数平面数列三角関数 和の計算、複素数の極形式、実部虚部比較

方針

S1 は1の N 乗根の等比数列和として、z=1 とそれ以外に分ける。S2S1 の実部である。S3cos2x=(1+cos2x)/2 により、z2 を公比とする同じ型の和へ帰着し、z2=1 すなわち z=±1 の場合だけを別扱いする。

解答

(1) z=1 のときは S1=1+1++1=N である。 z1 のときは (1z)S1=1zN である。仮定より zN=1 だから (1z)S1=0 であり、1z0 より S1=0 である。したがってS1={N(z=1),0(z1)である。

(2) z=cosθ+isinθ であるから zk=coskθ+isinkθ である。よって S2=1+cosθ++cos(N1)θS1 の実部である。(1)の値はどちらの場合も実数なのでS2={N(z=1),0(z1)である。

(3)
恒等式 cos2x=1+cos2x2 を用いるとS3=N2+12(1+cos2θ+cos4θ++cos2(N1)θ)である。括弧内の和は、複素数 z2 に対して(2)と同じ和を考えたものの実部である。しかも (z2)N=z2N=1 である。

もし z2=1 なら、すなわち z=1 または z=1 なら、括弧内の各項はすべて 1 なので、その和は N である。したがって S3=N2+N2=N である。

一方、z21 なら、(2)と同じ理由で括弧内の和は 0 である。したがって S3=N2 である。以上よりS3={N(z=1 または z=1),N2(z1,1)である。

別解

解法2

方針

2coskθ=zk+zk を使って余弦和を正負のべきの等比数列和に直す。さらに 4cos2kθ=z2k+2+z2k とすれば、S3z2=1 かどうかだけで場合分けできる。

解答

(1)
z=1 なら S1=N である。z1 なら(1z)S1=1zN=0より S1=0 である。

(2) 2coskθ=zk+zkだから2S2=k=0N1zk+k=0N1zk.z=1 なら右辺は 2N である。z1 なら、zz1 はともに1ではない N 乗根なので両方の和が0になる。従ってS2={N(z=1),0(z1).(3)4cos2kθ=z2k+2+z2kより4S3=k=0N1z2k+2N+k=0N1z2k.z2=1、すなわち z=±1 なら両方の和が N なので S3=N である。z21 なら両方とも等比数列和が0なので S3=N/2 である。よってS3={N(z=1 または z=1),N2(z1,1).

総評

1の累乗根の和を三角関数へ移す問題で、想定時間は18分程度。S1 では z=1 を分けてから割ること、S3 では z ではなく z2 の和に帰着することが要点である。z=1zN=1 を満たす場合にだけ実際に起こるが、条件表示としては「z=1 または z=1」で十分である。N/2 が整数とは限らない形で出ることにも慌てず、和の値としてそのまま扱えばよい。

冊子PDFで見る名大の複素数平面の問題で問題集を作る

出典: 名古屋大学 1998年度 前期 理系 第4問(a)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。