Evolton

名古屋大学 1998年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第3問

平面上に放物線y=x2と直線l:y=kを考える.

(1) 放物線上の点(a,a2)での法線と直線lとの交点をPとし,そのx座標をbとする.
bakで表わせ.

(2) 直線l上の点P(b,k)を放物線の異なる3法線が通るようなbの範囲を求めよ.

難易度6/ 10計算量5/ 10目安22

微分図形と方程式 接線・法線判別式グラフの概形

方針

法線を接点の x 座標 a で表し、直線 y=k との交点の x 座標を関数 b=F(a) として得る。異なる3本の法線が通る条件は、水平線 y=b が三次関数 F(a)=2a3+(12k)a のグラフと異なる3点で交わる条件である。したがって F(a) の符号、極大値・極小値、端点で重解になる場合を順に調べる。

解答

(1)
放物線 y=x2 上の点 (a,a2) における接線の傾きは 2a である。

まず a0 とする。このとき法線の傾きは 1/(2a) であるから、法線の方程式は ya2=12a(xa) である。これが直線 y=k と交わる点を P(b,k) とすると ka2=12a(ba) であり、両辺に 2a をかけて ba=2a(ka2) となる。したがって b=2a3+(12k)a である。

また a=0 のとき、接線は y=0、法線は x=0 であるから、直線 y=k との交点は (0,k) である。上の式に a=0 を代入しても b=0 となる。よってすべての実数 a について b=2a3+(12k)a である。

(2)
P(b,k) を通る法線の本数は、方程式 2a3+(12k)a=b の異なる実数解 a の個数に等しい。そこで F(a)=2a3+(12k)a とおく。

導関数は F(a)=6a2+12k である。k1/2 のときは F(a)0 であり、特に k<1/2 では単調増加、k=1/2 では F(a)=2a3 である。いずれも水平線 y=b と3点で交わることはない。

次に k>1/2 とする。このとき F(a)=0 となるのは a=±s,s=2k16 である。符号を調べると、F(,s) で増加、(s,s) で減少、(s,) で増加する。したがって a=s で極大、a=s で極小をとる。

極値を計算する。2k1=6s2 より F(s)=2s3+(2k1)s=2s3+6s3=4s3 であり、F(s)=2s3(2k1)s=2s36s3=4s3 である。水平線 y=b がグラフと異なる3点で交わるためには、b が極小値と極大値の間に厳密に入ることが必要十分である。端点では接するため異なる解は2個以下になる。よって 4s3<b<4s3 である。すなわち b<4(2k16)3/2 である。

以上より、求める範囲は k>12,b<4(2k16)3/2 である。

別解

解法2

方針

接点の座標 a と点 P の座標 b の関係を三次式にする。異なる3解をもつ範囲の境界では方程式が重解をもつので、三次式とその導関数を同時に満たす重解を消去して2つの境界値を求める。

解答

(1)
a0 では法線はya2=xa2aである。P(b,k) を代入して整理するとb=2a3+(12k)a.a=0 の法線は x=0 であり、この場合も b=0 なので同じ式が成り立つ。

(2) F(a)=2a3+(12k)aとする。異なる3法線が P を通るとは F(a)=b が異なる3実数解をもつことである。そのような範囲の端では2解が一致するので、ある aF(a)=b,F(a)=0を同時に満たす。ところがF(a)=6a2+12k.従って端が存在するには k>1/2 が必要で、a=±s,s=2k16である。2k1=6s2 を使うとF(s)=4s3,F(s)=4s3.三次関数は左端から増加、中央で減少、右端で再び増加するので、この2つの境界値の間では水平線が3回交わる。境界そのものでは接して異なる交点は2個になる。よってk>12,4(2k16)3/2<b<4(2k16)3/2.

総評

法線条件を三次関数の交点数に直す典型問題で、想定時間は22分程度。a=0 で法線の傾きを 1/(2a) と書けないため、そこだけ別に確認するのが丁寧である。(2)は k1/2 の単調性を落とすと答えの条件が不完全になる。極大値・極小値では 2k1=6s2 を使うと計算が短く、端点を含めない理由は「接して重解になるから」と明記するとよい。

冊子PDFで見る名大の微分の問題で問題集を作る

出典: 名古屋大学 1998年度 前期 理系 第3問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。