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名古屋大学 1999年度 後期日程 第2次学力試験理系(後期)数学 第3問

以下の問いに答えよ.

(1) y=f(x)のグラフのx=cnにおける接線がx軸と交わる点のx座標をcn+1とする.cn+1=cnf(cn)f(cn)であることを示せ,ただし,f(cn)0とする.

(2) f(x)={x(x1)(x0)x(x+1)(x<0)とする.初項c1を与えると(1)の漸化式により数列{cn}が定まる.

(a) 初項c1と第2項c2の符号が異なるようなc1の値の範囲を求めよ.

(b) 任意のn (1)に対してcn+1+cn=0となるc1の値を求めよ.

(c) 数列{cn}が0に収束するようなc1の値の範囲を求めよ.

難易度7/ 10計算量7/ 10目安30

微分数列関数 接線・法線漸化式の変形、範囲評価

方針

(1) は接線の方程式に y=0 を代入して交点の x 座標を求める。(2)では cn の符号によって関数と導関数が変わるので、写像 T(x)=cn+1x0, x<0 に分けて明示する。特に x<1/2 では符号が反転し、T(x)=x2/(12x) となるため、T(x)<x, T(x)=x, T(x)>x の境目 x=1/3 で分類する。

解答

(1) x=cn における接線の方程式は y=f(cn)(xcn)+f(cn) である。この接線が x 軸と交わる点の x 座標を cn+1 とすると、その点では y=0 だから 0=f(cn)(cn+1cn)+f(cn) である。f(cn)0 より f(cn)(cn+1cn)=f(cn) となるので cn+1=cnf(cn)f(cn) である。

(2)
まず漸化式を具体的に求める。x0 では f(x)=x(x1),f(x)=2x1 だから、x1/2 のとき T(x)=xx(x1)2x1=x22x1 である。x<0 では f(x)=x(x+1),f(x)=2x1 だから、x1/2 のとき T(x)=xx(x+1)2x1=x22x+1 である。ここで cn+1=T(cn) である。

(a) c1>0 のとき c2=c122c11 である。分子は正なので、c2<0 となるのは 2c11<0 すなわち 0<c1<12 のときである。 c1<0 のとき c2=c122c1+1 である。分子は正なので、c2>0 となるのは 2c1+1>0 すなわち 12<c1<0 のときである。c1=0 では符号は異ならず、c1=±1/2 では漸化式が定義できない。よって 12<c1<0,0<c1<12 である。

(b)
任意の n について cn+1+cn=0 となるには、まず c2=c1 が必要である。 c1>0 のとき c122c11=c1 である。c10 だから両辺を c1 で割って c12c11=1 となり、c1=13 を得る。 c1<0 のとき c122c1+1=c1 であり、同様に c12c1+1=1 から c1=13 を得る。

実際、cn=1/3 なら T(13)=13 であり、cn=1/3 なら T(13)=13 である。したがってこの2つの値では 1/31/3 が交互に現れ、任意の ncn+1+cn=0 が成り立つ。よって c1=±13 である。

(c) cn<1/2cn0 のとき、(a)で見たように符号は反転し、絶対値は cn+1=cn212cn となる。r=cn とおくと、0<r<1/2 において r212r<rr<12r すなわち r<13 と同値である。また r=1/3 では絶対値が変わらず、r>1/3 では絶対値が大きくなる。

したがって、c1<1/3 ならば cn+1<cn が続き、cn は0以上の単調減少列になる。極限を L とすると 0L<1/3 であり、漸化式の絶対値の式から L=L212L を満たす。これより L(13L)=0 だが、L<1/3 だから L=0 である。よって cn0 である。c1=0 の場合も明らかに cn=0 が続くので含まれる。

一方、c1=1/3 では(b)のように 1/31/3 の2周期になり、0には収束しない。1/3<c1<1/2 では、少なくとも次の絶対値がより大きく、しかも 1/3 より小さくなることはない。実際、cn(1/3,1/2) にある限り次の絶対値は増加し、cn1/2 になると次項も cn+1>1/2 であり、0に近づく範囲には戻らない。また c1>1/2 の場合も同様に cn>1/2 が続くので、0には収束しない。c1=±1/2 では漸化式が定義できない。

以上より、数列が0に収束する初項の範囲は 13<c1<13 である。

別解

解法2

方針

漸化式の絶対値だけを rn=cn として追う。r<1/2 では h(r)=r2/(12r) となり、しきい値 1/3 の内側では一様な縮小率を持つことを示す。外側の領域が0へ戻れないことも不変領域と単調性で示す。

解答

(1)
接線へ y=0 を代入すればcn+1=cnf(cn)f(cn)を得る。

(2)
写像 TT(x)={x22x1(x0, x1/2),x22x+1(x<0, x1/2)である。

(a)
分子は正なので、xT(x) の符号が異なる範囲は12<x<0または0<x<12.(b)
T(x)=x を正負それぞれで解くとx=±13.実際に2値は互いに移り合うので、任意の ncn+1+cn=0 となる。

(c)
rn=cn と置く。0<rn<1/2 なら符号が反転しrn+1=h(rn),h(r)=r212r.0<r<1/3 ではh(r)r=r12r<1.さらに h(r)<r だから、r1<1/3 なら全ての rnr1 である。従ってrn+1r112r1rnで、右の係数は1未満である。ゆえに rn0 となる。

r=1/3 では h(r)=r で2周期になる。1/3<r<1/2 では h(r)>r であり、0へ近づかない。もしこの区間にとどまれば増加極限は h(L)=L を満たす必要があるが、正の解は L=1/3 だけなので矛盾し、いずれ 1/2 以上へ出る。r>1/2 ではT(x)=r22r1>12だから、この領域から (1/2,1/2) へ戻らない。r=1/2 では次項が定義できない。

従って cn0 となる初項は13<c1<13である。

総評

Newton法の写像は原点について奇関数で、絶対値の力学はしきい値 1/3 で分かれる。内側では一様な縮小率から0へ収束し、境界は2周期、外側は増加して x1/2 の不変領域へ入る。c1=±1/2 は次項が定義できない。従って収束範囲は開区間 (1/3,1/3) である。

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出典: 名古屋大学 1999年度 後期 理系(後期) 第3問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。