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名古屋大学 2003年度 後期日程 第2次学力試験理系(後期)数学 第3問

x2+y2=a2で表される図形のy0の部分をy軸のまわりに1回転してできる容器Aと,
x2a2+y2b2=1で表される図形のy0の部分を
y軸のまわりに1回転してできる容器Bがある.
いずれの容器にも水がいっぱいに満たされているとする.
これらの容器をそれぞれゆっくりと傾けて水を出すとき,つぎの各問に答えよ.
ただし,a,b>0とする.

(1) 容器Aを角度θラジアン(0θπ2)だけ
傾けたときの水面の面積SA(θ)を求めよ.

(2) 容器Aを傾け始めてから傾きがθラジアンになるまでに流れ出る水量WA(θ)を求めよ.

(3) 容器Bを傾け始めてから傾きがϕラジアンになるまでに流れ出る水量をWB(ϕ)とする.
このとき,比r=WB(π2)WA(π2)を求めよ.

(4) WB(ϕ)=rWA(θ)となるとき,tanθϕの関数として求めよ.

難易度8/ 10計算量7/ 10目安30

積分図形と方程式 体積計算座標設定置換

方針

球では水面を中心から距離 a sinθ の平面切断として扱い、断面積を積分して流出量を求める。楕円体は y 方向の拡大縮小で球へ移し、体積比と切断面までの無次元距離を比較する。

解答

(1)

容器 A は半径 a の球の下半分である。角度 θ だけ傾けて水が静止したとき、水面は傾いた縁の最も低い点を通る平面になる。この平面と球の中心との距離は asinθ である。

したがって水面の円の半径はa2a2sin2θ=acosθである。よってSA(θ)=πa2cos2θ.(2)

球の中心から水面へ向かう座標を u とする。距離 u の平面による球の断面積は π(a2u2) であるから、WA(θ)=0asinθπ(a2u2)du=π[a2uu33]0asinθ=πa33(3sinθsin3θ).(3)

容器 B は、半径 a の球の下半分を y 方向へ b/a 倍した楕円体である。したがって体積は容器 Ab/a 倍である。角度 π/2 まで傾ければ、どちらも全量が流れ出るのでr=WB(π/2)WA(π/2)=ba.(4)

Y=ay/b とおくと、楕円体 B は半径 a の球へ移る。傾き ϕ の水面は、断面内でxsinϕ+ycosϕ=asinϕと表せる。正規化後はxsinϕ+baYcosϕ=asinϕ.この直線と原点との距離を as と書くとs=asinϕa2sin2ϕ+b2cos2ϕ.正規化した球で距離比 s までに流出する体積はπa33(3ss3)であり、元の楕円体ではこれを b/a 倍する。したがってWB(ϕ)=baπa33(3ss3).r=b/a と (2) を使うと、条件 WB(ϕ)=rWA(θ)3ss3=3sinθsin3θとなる。関数 3uu30u1 で単調増加するからsinθ=s.ゆえにtanθ=s1s2=abtanϕ.

別解

解法2(正規化座標で流出量を直接比較)

方針

球・楕円体の両方で、流出部分を表す無次元距離 s を導入する。体積は共通関数 3ss3 になるため、単調性から距離比だけを比較できる。

解答

(1)

水面は球の中心から距離 asinθ の平面であり、切り口の半径は acosθ である。よってSA(θ)=πa2cos2θ.(2)

中心からの無次元距離を s=sinθ とする。流出部分は球の断面積を積分してWA(θ)=0asπ(a2u2)du=πa33(3ss3).(3)

楕円体は半径 a の球を y 方向へ b/a 倍したものだから、全体積も b/a 倍である。直角まで傾けると全量が流出するのでr=ba.(4)

楕円体で Y=ay/b と正規化すると球になる。傾き ϕ の水面に対応する平面の、球中心からの距離を asϕ とするとsϕ=asinϕa2sin2ϕ+b2cos2ϕ.したがってWB(ϕ)=baπa33(3sϕsϕ3).WB(ϕ)=rWA(θ)r=b/a から3sϕsϕ3=3sinθsin3θ.3uu30u1 で単調増加するのでsinθ=sϕ.よってtanθ=sϕ1sϕ2=abtanϕ.

総評

難度8、計算量7。目安時間は30〜35分。水面を球の平面切断とみなす空間把握と、楕円体を一方向の拡大縮小で球へ戻す発想が核心である。積分は独立行に置き、流出量を無次元量 s の共通関数 3ss3 で表した。最後はこの関数が [0,1] で単調増加することを明示して体積の等式から sinθ=s を導き、tanθ=abtanϕ へつなぐ。

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出典: 名古屋大学 2003年度 後期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。