方針
(1) は積分値を I と置き,u=π−x と変数変換すると,f(π−u)=f(u) により積分が −I になることを示す。(2)では g(x)=4−cos2xsin3x が g(π−x)=g(x) を満たすので,(1)を使って x を平均値 2π に置き換える。残る ∫0πg(x)dx は u=cosx とおき,偶関数の有理式積分に直す。
解答
(1) I=∫0π(x−2π)f(x)dx とおく。u=π−x と変数変換すると,dx=−du であり,x=0 のとき u=π,x=π のとき u=0 である。したがってI=∫π0(π−u−2π)f(π−u)(−du)=∫0π(2π−u)f(u)du=−∫0π(u−2π)f(u)du=−Iである。よって I=0 である。
(2) g(x)=4−cos2xsin3x とおく。sin(π−x)=sinx,cos(π−x)=−cosx より g(π−x)=g(x) である。したがって(1)を f(x)=g(x) に適用すると ∫0π(x−2π)g(x)dx=0 である。よって ∫0πxg(x)dx=2π∫0πg(x)dx である。
あとは J=∫0π4−cos2xsin3xdx を求めればよい。u=cosx とおくと du=−sinxdx であり,sin2x=1−cos2x=1−u2 だからJ=∫1−14−u2(1−u2)(−du)=∫−114−u21−u2duである。ここで 4−u21−u2=1−4−u23 なので J=∫−111du−3∫−114−u2du である。
また ∫4−u2du=41log2−u2+u+C であるから∫−114−u2du=[41log2−u2+u]−11=41{log3−log(31)}=21log3である。したがって J=2−23log3 である。
求める積分は2πJ=2π(2−23log3)=π−43πlog3である。
別解
解法2(対称な2点の平均)
方針
積分を変数変換した式と元の式を辺々加え、x と π−x の平均を取る。(2)も同じ対称化を直接適用し、残った積分を u=cosx で計算する。
解答
(1) I=∫0π(x−2π)f(x)dxとおく。x を π−x に置き換え、f(π−x)=f(x) を使うとI=∫0π(2π−x)f(x)dx.2式を加えれば 2I=0 だから I=0 である。
(2) g(x)=4−cos2xsin3xは g(π−x)=g(x) を満たす。求める積分を K とすると、対称化により2K=∫0π{x+(π−x)}g(x)dx=π∫0πg(x)dx.ここで u=cosx とおくと∫0πg(x)dx=∫−114−u21−u2du=∫−11(1−4−u23)du=2−23log3.したがってK=2π(2−23log3)=π−43πlog3.
総評
難度5、計算量5。対称性で x の重みを 2π に置き換え、残りを u=cosx で処理する積分問題で、目安は20分程度である。(1)は u=π−x の置換で積分が自分の反対になることを丁寧に示す。(2)では g(π−x)=g(x) の確認が核心で、ここを使わずに部分積分などへ進むと計算が重くなる。u=cosx の置換後は 4−u21−u2=1−4−u23 と分け、対数の端点代入を正確に行いたい。
冊子PDFで見る名大の積分の問題で問題集を作る
出典: 名古屋大学 2005年度 前期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。