方針
一次漸化式の固定点を見つけて、zn+1 を等比数列に直す。1+i は大きさ 2、偏角 4π の複素数なので、8乗すると実数 16 になる。(2)は指数 8m−8 が8の倍数になることを使う。(3)は隣り合う点の差 zn+1−zn を求め、次の辺がそれを 1+i 倍したものになることから、辺の長さと挟角 4π で三角形の面積を計算する。
解答
(1)
漸化式 zn+1=(1+i)zn+i の固定点を求める。z=(1+i)z+i を解くと −iz=i より z=−1 である。したがって両辺に1を加えると zn+1+1=(1+i)(zn+1) となる。 z1=3 だから z1+1=4 である。よって zn+1 は初項4、公比 1+i の等比数列であり、zn+1=4(1+i)n−1 である。したがって zn=4(1+i)n−1−1 である。
(2) n=8m−7 とすると n−1=8m−8=8(m−1) である。また (1+i)2=2i,(1+i)4=−4,(1+i)8=16 である。したがってz8m−7=4(1+i)8m−8−1=4{(1+i)8}m−1−1=4⋅16m−1−1=24m−2−1である。これは実数であり、求める式が示された。
(3)
(1) より zn+1−zn=4(1+i)n−4(1+i)n−1=4i(1+i)n−1 である。また zn+2−zn+1=4i(1+i)n=(1+i)(zn+1−zn) である。したがって、辺 PnPn+1 を表す複素数に 1+i を掛けると、辺 Pn+1Pn+2 を表す複素数になる。 1+i は大きさ 2、偏角 4π の複素数であるから、2つの辺のなす角は 4π である。また ∣zn+1−zn∣=4∣1+i∣n−1=4⋅(2)n−1 であり、∣zn+2−zn+1∣=4∣1+i∣n=4⋅(2)n である。よって三角形 PnPn+1Pn+2 の面積は 21⋅4⋅(2)n−1⋅4⋅(2)n⋅sin4π である。sin(4π)=22 だから、これは 2n+2 である。
別解
解法2(複素数の行列式)
方針
(1) (2)は固定点を用いて処理する。(3)では2辺の長さと角度を別々に求めず、複素数u,vが張る三角形の面積21∣Im(uv)∣を使う。
解答
(1) zn+1+1=(1+i)(zn+1),z1+1=4よりzn=4(1+i)n−1−1.(2)
したがってz8m−7=4(1+i)8(m−1)−1=4⋅16m−1−1=24m−2−1.(3)u=zn+1−zn=4i(1+i)n−1とおく。するとzn+2−zn+1=(1+i)uであるから、Pnから出るもう1本の辺はv=zn+2−zn=u+(1+i)u=(2+i)uで表される。よって三角形の面積SnはSn=21∣Im(uv)∣=21Im{(2+i)∣u∣2}=21∣u∣2.また∣u∣2=16∣1+i∣2n−2=16⋅2n−1なのでSn=2n+2.
総評
難度5、計算量5。目安時間は18〜24分。漸化式は非同次に見えるが、固定点 −1 を引くと等比数列になる。ここを見落として直接展開すると処理が長くなる。(2)は (1+i)8=16 によって、8項ごとに正の実数倍になることを使うだけでよい。(3)では、隣り合う差が毎回 1+i 倍されるため、図形的には辺が 45∘ 回転しながら 2 倍される。面積公式に入れる前に、2辺の長さと挟角を明示しておくと採点上も読みやすい。
冊子PDFで見る名大の複素数平面の問題で問題集を作る
出典: 名古屋大学 2004年度 前期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。