方針
絶対値があるため,[0,π] では f(x)=e−xsinx,[π,2π] では f(x)=−e−xsinx と符号を分ける。(1)の極大点は各区間で微分し,cosx−sinx=0 またはその符号反転から求める。(2)の不定積分は,e−x(Asinx+Bcosx) 型を微分して係数比較する。(3)は各区間を (n−1)π+u と置き換えると,面積が e−(n−1)π 倍になる。最後は等比数列の和を取る。
解答
(1) f(x)=∣e−xsinx∣ であり,e−x>0 なので,f(x)=0 は sinx=0 と同値である。したがって 0≦x≦2π では x=0,π,2π である。
次に極大値を与える x を求める。0<x<π では sinx>0 なので f(x)=e−xsinx である。微分すると f′(x)=e−x(cosx−sinx) である。よって f′(x)=0 は cosx=sinx であり,0<x<π では x=4π である。符号を見れば,ここで極大となる。 π<x<2π では sinx<0 なので f(x)=−e−xsinx である。微分すると f′(x)=e−x(sinx−cosx) であり,f′(x)=0 から sinx=cosx を得る。この区間では x=45π であり,ここで極大となる。
(2) ∫e−xsinxdx を求める。−21e−x(sinx+cosx) を微分すると{−21e−x(sinx+cosx)}′=21e−x(sinx+cosx)−21e−x(cosx−sinx)=e−xsinxである。したがって ∫e−xsinxdx=−21e−x(sinx+cosx)+C である。
(3)
まず1区間分を計算する。∫0πe−xsinxdx=[−21e−x(sinx+cosx)]0π=21e−π+21=21+e−πである。 (n−1)π≦x≦nπ で x=(n−1)π+u(0≦u≦π) とおく。このとき e−x=e−(n−1)πe−u であり,∣sin((n−1)π+u)∣=sinu である。したがってSn=e−(n−1)π∫0πe−usinudu=21+e−πe−(n−1)πである。
(4)
(3) より Sn は初項 21+e−π 公比 e−π の等比数列である。0<e−π<1 だからn=1∑∞Sn=21+e−π⋅1−e−π1=2(eπ−1)eπ+1である。
別解
解法2(隣接区間の相似性)
方針
絶対値関数が f(x+π)=e−πf(x) を満たすことから、面積列の公比を先に得る。初項だけを積分して等比級数を完成させる。不定積分は部分積分を2回行って求める。
解答
(1)
e−x>0 だから零点は sinx=0 よりx=0, π, 2π.0<x<π では f′(x)=e−x(cosx−sinx)、
π<x<2π では f′(x)=e−x(sinx−cosx) である。符号変化も確認すると極大点はx=4π,x=45π.(2)I=∫e−xsinxdxとする。部分積分を2回行うとI=−e−xsinx+∫e−xcosxdx=−e−xsinx−e−xcosx−I.したがってI=−21e−x(sinx+cosx)+C.(3)f(x+π)=e−(x+π)sin(x+π)=e−πf(x).よって隣り合う区間の面積にはSn+1=e−πSnが成り立つ。一方S1=∫0πe−xsinxdx=21+e−π.したがってSn=21+e−πe−(n−1)π.(4)
0<e−π<1 なのでn=1∑∞Sn=21+e−π⋅1−e−π1=2(eπ−1)eπ+1.
総評
難度5、計算量5。絶対値付きの指数三角関数を、区間ごとの符号と等比数列に分けて処理する問題で、目安は20分程度である。(1)では零点と極大点を分け、[0,π] と [π,2π] で sinx の符号が変わることを明示する。(3)では各区間の面積が単に同じではなく、指数因子によって e−(n−1)π 倍される点が核心である。(4)は公比 e−π の等比級数として処理できる。積分の符号と端点代入を間違えると全体がずれるので、(2)の原始関数を微分で確認しておきたい。
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出典: 名古屋大学 2005年度 後期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。