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大阪大学 1985年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第2問

座標平面上で,点P(x,y)を点P(x,y)へうつす1次変換f(xy)=(3234)(xy)で与えられている.
P1(x1,y1)x1y1を満たすとし,
Pn+1=f(Pn) n=1,2,によってP2,P3,を定め,
Pnの座標を(xn,yn)とする.

(1) ベクトルP1P2は,
P1の位置に無関係な,
原点を通る定直線に平行であることを示せ.

(2) ベクトルP1Pn
P1P2によって表せ.

(3) どのynも0とならないとき,
数列{xnyn}は収束することを示し,
その極限値を求めよ.

難易度5/ 10計算量4/ 10目安15

行列ベクトル数列 ベクトル成分計算漸化式の変形極限計算

方針

固有方向 (1,1)(2,3) の倍率が1、6であることを使い、点列を両方向へ分解して差ベクトルと比の極限を求める。

解答

行列をA=(3234)とおく。

(1) P1 の位置ベクトルをp1=(x1y1)と書くと、P2 の位置ベクトルは Ap1 である。したがってP1P2=(AI)p1=(2233)(x1y1)=(x1y1)(23)である。仮定より x1y1 なので、このベクトルは0ではない。よって P1P2 は、点 P1 の位置によらず、常に(23)に平行である。これは原点を通る直線 3x+2y=0 の方向である。

(2)

次の2つの計算が成り立つ。A(11)=(11),A(23)=6(23)である。 (1,1)(2,3) は平行でないので、P1 の位置ベクトルは一意に(x1y1)=α(11)+β(23)と表せる。このとき、変換を n1 回くり返すと(xnyn)=α(11)+6n1β(23)である。

したがってP1Pn=(xnyn)(x1y1)=(6n11)β(23)である。一方、n=2 とすればP1P2=5β(23)である。ゆえにP1Pn=6n115P1P2である。

(3) x1y1 であるから、(1)の式より P1P20 である。したがって上の分解では β0 である。

(2) よりxnyn=α/(6n1β)+2α/(6n1β)3.ここで β0 かつ α/(6n1β)0 なので,数列は 2/3 に収束する。

点列は定方向 (2,3) の一直線上に並び、隣り合う差は毎回6倍になる。

別解

解法2(差ベクトルを等比数列にする)

方針

最初の差 v=P1P2 が方向 (2,3) をもち、変換で6倍されることを直接使う。隣接差を等比数列として足せば (2) が出て、その座標式から (3) の比の極限も分かる。

解答

変換を表す行列を A とする。

(1) v:=P1P2=(AI)(x1y1)=(x1y1)(23).x1y1 より v0 であり、定直線 3x+2y=0 に平行である。

(2) A(23)=6(23)だからP2P3=Av=6v.同様にPjPj+1=6j1vである。したがってP1Pn=j=1n1PjPj+1=(1+6++6n2)v=6n115P1P2.(3) cn=(6n11)/5 とおくと(xnyn)=(x1y1)+cn(x1y1)(23).よってxnyn=x1+2cn(x1y1)y13cn(x1y1).仮定により各分母は0でなく、また x1y10cn である。分子・分母を cn(x1y1) で割ればlimnxnyn=23を得る。

総評

難易度5、計算量4、想定時間16~22分。行列は問題文で明示された1次変換を扱うため使用している。変わらない方向と6倍される方向へ分解する方法と、隣接差が6倍されることを足し上げる方法の2通りで同じ式を確認した。(3)では x1y10 が支配項の係数を0にしないこと、yn0 が各比の定義を保証することを区別する。

冊子PDFで見る阪大の行列の問題で問題集を作る

出典: 大阪大学 1985年度 前期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。