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大阪大学 1984年度 前期日程 第2次学力試験文系数学 第4問

r>00θ<2πとして,行列A=(rcosθrsinθrsinθrcosθ)を考える.
A6=Iであって,1n<6に対してはAnIであるとき,次の問に答えよ.
ただしIは単位行列(1001)を表す.

(1) rおよびθを求めよ.

(2) 原点を通らない1つの直線をlとし,
行列Anで表される1次変換によってlをうつした直線をlnとする.
6本の直線l,l1,,l5の交点の個数を求めよ.

難易度6/ 10計算量4/ 10目安15

行列図形と方程式 回転・拡大図形的解釈、場合分け

方針

行列 A は、原点中心の回転と r 倍の拡大を同時に表す。A6=I から r=1θ=mπ/3 を得て、さらに 1n<6AnI となる条件から回転の周期がちょうど6になる m だけを残す。(2) は6本を原点中心の60度回転で得られる直線群として見て、3組の平行対を除いて交点を数える。

解答

(1)
行列A=(rcosθrsinθrsinθrcosθ)は、原点のまわりに角 θ だけ回転し、長さを r 倍する変換を表す。したがって A6 は、角 6θ の回転と r6 倍の拡大を表す。 A6=I より r6=1 である。r>0 だから r=1 である。また回転角について 6θ=2mπ となる整数 m が存在するので θ=mπ3 である。範囲 0θ<2π より m=0,1,2,3,4,5 を考えればよい。

さらに 1n<6AnI であるためには、回転の周期がちょうど6でなければならない。つまり m6 が互いに素である必要がある。よって m=1, 5 であり、r=1,θ=π3 または 5π3 である。

(2)
(1)より A60 または 60 の回転である。向きが逆でも得られる6本の直線の集合は同じなので、60 ずつ回転する場合で考える。

座標軸を回転して、最初の直線を x=h と書いてよい。ただし l は原点を通らないので h0 である。すると6本の直線は、原点からの距離が h で、法線方向が 60 ずつ異なる直線である。これは、原点を中心とする正六角形の6辺を含む直線と同じ配置になる。

6本の直線のうち、180 だけ向きが違うものは互いに平行である。したがって平行な組は 3 組ある。また h0 なので、180 回転した直線は元の直線と一致せず、平行な別の直線である。

6本から2本を選ぶ組は 652=15 組である。このうち3組は平行で交わらない。残りの12組は交わる。正六角形の辺を含む直線の配置では、平行でない2本の交点にさらに別の1本が通ることはないので、これらの交点はすべて別々である。

よって交点の個数は 153=12 である。

15組から平行な3組を除き、12個の交点が得られる

別解

解法2

方針

平面上の点を複素数 z で表し、与えられた一次変換を
zreiθz と読む。変換の位数が6である条件を
複素数の積で決める。直線群は法線方向が60度ずつ変わる6本として、
平行組と重複しない交点を数える。

解答

(1)
与えられた変換は複素数表示ではzreiθzである。6回で恒等変換になる条件は(reiθ)6=1.よって r=16θ2π の整数倍である。
さらに6未満では1にならないので、eiθ の位数は6である。
0θ<2π からθ=π3,5π3を得る。

(2)
回転方向を逆にしても6本の集合は変わらない。座標を回して最初の
直線を x=h (h0) とすれば、各直線の法線方向は0, π3, 2π3, π, 4π3, 5π3である。反対向きの法線をもつ直線同士が平行になるので平行組は3組。
全ての2直線の組は15組だから、交わる組は153=12組である。これらは正六角形の6辺を延長した配置であり、3本が
1点に集まることはない。したがって交点は12個である。

総評

行列を回転として読むことが出発点である。目安時間は15分。(2) は「6本あるからたくさん交わる」と数えるだけでなく、向きが3種類で平行対が3組あること、原点を通らないため向かい合う直線が一致しないことを明記する。 2つの解法を相互に照合し、境界値・必要十分性・符号・最終値を確認した。

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出典: 大阪大学 1984年度 前期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。