Evolton

大阪大学 1986年度 前期日程 第2次学力試験文系数学 第3問

行列A=(abca)
B=(0110)がある.
A+BABがいずれも逆行列をもたないとすれば,Aは回転を表す行列であることを示せ.
ただし,abcは実数とする.

難易度5/ 10計算量3/ 10目安12

行列 式変形、計算整理、必要十分条件

方針

問題が明示する行列について、逆行列をもたない条件を行列式0へ直す。二式の差から c=b、残る式から a2+b2=1 を得て回転行列の形にする。

解答

A+BAB が逆行列をもたないからa2(b+1)(c+1)=0,a2(b1)(c1)=0.二式を差し引くと2(b+c)=0,c=b.これを一つ目の式へ代入すればa2(b+1)(1b)=0,a2+b2=1.従って、ある実数 ϕ を用いてa=cosϕ,b=sinϕ,c=sinϕと表せる。よってA=(cosϕsinϕsinϕcosϕ),これは原点を中心とする角 ϕ の回転を表す。

別解

解法2(長さと直角を保つことを確かめる)

方針

特異条件から係数関係を得た後、任意のベクトルの長さと向きが保たれることを座標計算で示して、幾何的に回転と判定する。

解答

逆行列をもたない条件は(b+1)(c+1)=(b1)(c1)=a2である。左右を比較して b+c=0、従って c=b を得る。さらにa2=(b+1)(1b)=1b2だから a2+b2=1 である。

任意の点 (x,y)A により(x,y)(ax+by,bx+ay)へ移る。その原点からの距離の平方は(ax+by)2+(bx+ay)2=(a2+b2)(x2+y2)=x2+y2.従って原点からの距離を保つ。また A の二列 (a,b)(b,a) は長さ1で互いに直交し、向きはa2+b2=1>0なので反転しない。よってこの変換は原点中心の回転である。

総評

難易度5、計算量3。目安時間は12分である。この問題は原文が行列を明示しているため、行列式を正面から用いる。二つの特異条件を対称に並べて差を取ると c=b が直ちに出る。解法1は標準回転行列へ帰着し、解法2は長さ・直角・向きの保存から回転と判定する。

冊子PDFで見る阪大の行列の問題で問題集を作る

出典: 大阪大学 1986年度 前期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。